>>>JR九州、新幹線の客室に貨物 迅速・大量輸送を実証
source:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOJC211JK0R20C23A2000000/
JR九州は21日、鹿児島中央駅から博多駅まで九州新幹線の客室を使って貨物を輸送する実証実験をした。両駅間を約1時間半で結ぶ臨時列車を使い、朝に鹿児島で水揚げした2トンの魚を鮮度を保ったまま消費地の福岡まで運んだ。「2024年問題」をにらみ、新幹線を使った貨物の迅速、大量輸送の実用化を目指す。
同社は2021年5月から、車内販売などのための業務用室に荷物を積み輸送するサービスをしている。ただ、同室には30箱程度しか積むことができない。今回は魚を詰めた200箱を初めて、乗客が乗っていない車両1両に積載して運んだ。
輸送コストは現時点で、通常のトラック輸送の2倍ほどかかるという。担当者は「物流費も上昇傾向にあり、価格面でも他社と競争できる」と期待する。今回の実証実験を踏まえホーム上での動線などを見直し、コスト削減を進める。JR九州は、鹿児島県とは物流で新幹線を活用する協定を結んだ。
................▼ 参考情報....................
元JR九州元社長石井幸孝氏は、自著『国鉄―「日本最大の企業」の栄光と崩壊』 (中公新書)で、九州新幹線西九州ルート(長崎ルート)についての 佐賀国際空港と、福岡国際空港との連携による「新幹線物流でサプライチェーン構想」を提言している。
国鉄―「日本最大の企業」の栄光と崩壊 (中公新書 2714) 新書 –
元JR九州社長が語る『国鉄―「日本最大の企業」の栄光と崩壊』 (中公新書)。著者の石井幸孝氏は、1987年の分割民営化にあたってJR九州の初代社長に就任。条件の悪い三島会社であるJR九州の経営を軌道に乗せ,1997年,会長就任,2002年退任。
本書では、JR九州について、「終章 JRの誕生と未来」で、次の章立てで、持論を展開している。
1 JR九州の経営改革
①優秀な国鉄職員を駄目にしたのは組織
②「お客さま第二「地域密着」のスローガン
③多角経営による利益構造 鉄道利益率・人口密度相関図 上下分離の 「光」と「影」
2 完全民営化の達成 2
JR本州3社と私鉄との葛藤 総論的には大成功 本州3社が主眼だった
JR九州は脱鉄道会社で生き残り
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9月23日に開業の九州新幹線西九州ルート(長崎ルート)についての 佐賀国際空港と、福岡国際空港との連携による「新幹線物流でサプライチェーン構想」は、時代対応の示唆に富む提言である。
⑥新幹線物流でサプライチェーン大国の未来 p355~p356
新幹線物流の項の冒頭で述べてきた骨太の国策を、国民の支持を得て、国も交通事業者も一体になって考えるときだ。1Rグループにとって、最大の課題だ。
このような新幹線物流を前提にしてみると、鉄道による国の明るい未来が見えてくる。我が国は、遅れている、「ハブ空港」と「ハブ港湾」を早急に整備しなければならない。平地の少ない我が国の事情と、早急な実現のため、「複合型ハブ空港」と「複合型ハブ港湾」を考える。いずれも新幹線での直結が前提で、その典型的事例を次に述べる。
九州新幹線西九州ルート (長崎ルート) は、西日本で唯一、本格的ハブ空港としての素質のある佐賀国際空港と、福岡国際空港の両空港に近い。そこで西九州新幹線の佐賀県内ルートを佐賀空港経由とし、両空港に指令機能を持たせ、新幹線直結の佐賀・福岡・長崎(新大村)空港を一元管理する。やがては、北九州空港や熊本空港も仲間入りする。長崎港と福岡・関門港の連携した「複合型西日本ハブ港湾」ともセットだ。高速道路とも連節して西日本広域はもとより、アジア一円、インド・太平洋圏のサプライチェーンの拠点を目指すべきだ。少し先になるが、新幹線佐賀空港駅は、将来構想のある佐賀~釜山間のアジア海峡トンネル (標準軌)の起点ともなる。
▼JR九州 路線図
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