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九州流通業界のいま・これから No.1 マックスバリュー九州 その1 

2013-11-06 00:01:15 | 九州経済(地域経済)

 鹿児島県を地盤とする食品スーパーのタイヨー(鹿児島市)は10月12日、株式の非公開を目指した経営陣による自社買収(MBO)の結果、応募があった1393万株を10月19日に取得すると発表した。今後はタイヨー社長の清川和彦氏が社長を務める「清和薩摩」(鹿児島市)がタイヨーの親会社となり、東京証券取引所第2部と福岡証券取引所は上場廃止となる。
 同社は非上場化により,「
迅速かつ柔軟な意思決定を可能にする機動的な組織体制・経営体制を直ちに構築し,独自の事業戦略を検討・確立・実行し,強固な利益体質を確立する。」としている。その目論見は,果たして可能なのであろうか。

  私は,タイヨーの前途は極めて厳しいと見る。その理由・根拠は,「九州流通業界の今後」をテーマとして,このブログを通じて随時,書き込んでいくので,お読みいただきたい。まず, 問題の前提として,タイヨーは,MBOを仕掛けたいきさつ,理由とその目論見を概括し,同社の当面のライバルである「マックススバリュ九州」の現状分析と経営戦略を分析してみたい。

1  スーパータイヨーのMBO成立

 問題の前提として,タイヨーは,MBOを仕掛けたいきさつ,理由とその目論見について,「 意見表明報告書  http://toushi.kankei.me/docs/text/S000E47J  から,その要点をピックアップして下述する。

◆ 存在領域の確保/持続的発展に向けての方策
  当社が競争優位性を引き続き維持し、将来にわたって安定的かつ持続的に企業価値を向上させていくには、
①新規出店によって売上拡大を志向していた従来の経営方針を脱却し、既存の事業内容を前提とした強固な利益体質を確立する。
②大手資本のディスカウント戦略等に正面から対抗するのではなく、例えば、「地産地消」を取り入れた地元密着の強い企業として、南九州特有のライフスタイルやお客様のニーズに対応したサービスを柔軟かつ迅速に提供する。
 といった,大手資本には実現できない当社独自の事業戦略を直ちに検討・確立し、かかる事業戦略を効率的かつ実効的に実施していかなければならない。

◆ 具体的に方策 
   既存の事業内容を前提とした強固な利益体質を確立しつつ、並行して、当社独自の事業戦略を検討・確立・実行するためには、MBO(非上場化)により,迅速かつ柔軟な意思決定を可能にする機動的な組織体制・経営体制を直ちに構築しなければならない。当社において様々な施策を実施する体力が残されている今こ そが、まさにその時期である。
  具体的には、機動的な経営体制を構築することにより、

①既存の事業内容を前提とした強固な利益体質の確立に向けての取り組み
 (i)店長の公募制導入、本社のレイアウト変更等を通じて、当社役職員の一体感の醸成及び利益体質の確立に向けた抜本的な意識改革並びに社内体制の再編が可能となる。
 (ii)赤字店舗の閉鎖、老朽店舗の改装、省エネ設備の導入、人員配置の合理化、並びに、遊休不動産及び賃貸不動産の売却等の抜本的なコストの合理化施策等が今までとは全く次元の異なるスピード感をもって推進できると考えている。

②当社独自の事業戦略の検討・確立・実行
 当社独自の事業戦略の検討・確立・実行に向けては、
 (iii)ネットスーパー事業等の時代に対応した新サービスの拡大、
 (iv)既存店舗について、高齢化社会に対応した店舗、小型化店舗等、新しいコンセプトや業態を導入することによる、お客様のニーズに応えた店舗改装の促進を、社会や地域のニーズを汲み取りつつ、迅速かつ柔軟に実施すること等が可能になる。

③財務の裏付け
 当社独自の事業戦略を検討・確立・実行するためには、一時的な収益の悪化や設備投資等の一時的なキャッシュアウトへの万全の備えが求められる。

◆ MBOの目的=資本と経営の一体化による機動的・柔軟な経営体制を実現
  以上の通り,当社が今後も上場を維持することによるメリット・デメリットを勘案した。その結果,競争優位性を維持し、かつ持続的に企業価値を向上させてい くには、MBOにより当社株式を非公開化し、所有と経営を一致させた上で、短期的な業績変動に左右されない機動的かつ柔軟な意思決定を可能とする経営体制 を構築することが最善の手段であるとするに至った。

⇒⇒ 株式会社 タイヨー 意見表明報告書  http://toushi.kankei.me/docs/text/S000E47J

 

2 「マックススバリュ九州」 (1)-沖縄を除く九州各地に120店舗余を出店

 2010年2月22日、ジャスダック市場に上場のマックスバリユ九州。上場はグループ本社であるイオンが進める主要スーパーマーケット(SM)子会社の株式公開の一環によるもので、2002年3月の会社設立から10年でのスピード上場となった。同社は本拠地のある福岡県福岡市はもとより、佐賀、大分、宮崎、鹿児島と沖縄を除く九州各県に出店する。

 九州のスーパーマーケットでは福岡県北九州市のサンリブに次ぐ業界2位の地位にある。2012年までは鹿児島県鹿児島市のタイヨーに次ぐ業界3位だったが、2013年2月期非連結決算では売上高1342億8800万円を達成。前年対比は同期より決算日を2月20日から2月末に変更している関係で計上(表示)していないが、前期よりも約100億円増収,約7%の増収を達成した。
 現在、沖縄を除く九州各地に120店舗以上出店。今後も年間7~8店舗の出店を予定している。

⇒⇒ 業績予想の修正に関するお知らせ  http://navigator.eir-parts.net/EIRNavi/DocumentNavigator/ENavigatorBody.aspx?cat=tdnet&sid=1092343&code=3171&ln=ja&disp=simple

 

◆参考情報-2013年 地方スーパーの経営破綻相次ぐ

・1月 石川県の「東京ストアー」民事再生法申請
・5月 新潟の「パワーズフジミ」が自己破産申請
・5月 徳島の「ファミリー両国」が倒産
・6月 兵庫の「パワーストアシーダー」が破産
・7月 宮崎の「スーパー江南」が破産
・8月 業務用食品スーパー「肉のハナマサ」茨城のジャパンミートの傘下入り
・8月 東京神田 地場食品スーパーの「スーパーストア冨士屋」倒産
・8月 神奈川の地域スーパー「松慶」が民事再生法申請-負債総額4億円
・9月 千葉県銚子の地域スーパー「ミヤスズ」自己破産

◆関連ブログ アーカイブス

鹿児島の食品スーパー タイヨー 「経営陣のMBO成立」・3

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鹿児島の食品スーパー タイヨー 「経営陣がMBO」・1

セブン-イレブンの鹿児島進出で大苦戦のスーパー「タイヨー」・1


コスモス薬品の快進撃止まらず!!

九州でのセブン-イレブンの存在-<地域大手のイオン,トライアルカンパニー,コスモス薬品をしのぐ規模>

 

 

産能マネジメントスクール
 -新エリアマーケティング実践-小商圏市場戦略を考えるー 




 
第58回 2013年12月11日~12日
第59回 2014年09月01日~02日
第60回 2014年12月09日~10日


1.支店・営業所のエリア単位での市場分析と、それに基づく具体的な営業計画の立て方を学ぶ
2.現在のエリア営業戦略の適合性、妥当性を検証するための手段を学ぶ
3.現顧客の満足度を高め、新たな顧客層を開拓する策を学ぶ






地 域別に販売組織を組んでいる企業の方々が参加対象です。自社の特定エリアの活性化策を実際に策定する演習を通して、「地域対応のマーケティング」の実践的 進め方を学んでいただきます。お客様の現状、ニーズ、具体的に欲している事柄をひとつひとつ明確にしていくことによってマーケットセグメンテーションを見直し、営業活動や販売促進のあり方を再構築します。

  参加費:73,500円       講師:小林 隆一 
  お問い合わせ先:産能マネジメントスクールへ 0120-113644
  会場(東京・代官山)         
   セミナー Q and A (セミナーで何を知り,実務にどのように役立つか)

 

「身の丈」を強みとする経営―縮小の時代に勝つ「新リージョナルマーケティング」
クリエーター情報なし
日本経済新聞出版社

 


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