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ビフォア・ウォッチメン:コメディアン/ロールシャッハ

2013-12-01 | 漫画
1986年、アメリカンコミック界、さらにはSF界、
いや、アメリカ文学界においても重要な作品となった
リミテッド・シリーズが始まりました。
そのタイトルは「WATCHMEN」。

「スーパーヒーローが存在したことで歴史が変わったもう一つの1985年」を舞台に
一人のヒーローの死から始まる、『正義』『平和』という価値観を揺さぶる物語は
ここ日本でも2度の邦訳、そして現在も続く重版によって
(邦訳アメリカンコミックという分野では)多くの方に愛読される作品となりました。

2009年には(一部を除いて)忠実な実写映画化がザック・スナイダー監督によって為され
この物語のもつ求心力は『冷戦』がすっかり過去となった現在においても
いささかも損なわれるものではありませんでした。

2012年、DCコミックスから驚きの発表が行われます。
「WATCHMEN」の登場キャラたちの過去を描くシリーズを刊行する
「BEFORE WATCHMEN」シリーズの開始、でした。

しかし「WATCHMEN」の生みの親たるアラン・ムーアは
「もうDCコミックの仕事はしない」「一切関わるつもりはない」とアナウンス。
本当に大丈夫なのかな・・・と思わされるスタートでしたが
ブライアン・アザレロやJ・マイケル・ストラジンスキーなどの
現代最高レベルのライターたちが参加することで、
この「前史」も人気を得る事ができたわけです。

そして、今回邦訳第1弾として刊行されたのが
「ウォッチメン」の物語の発端となった男、コメディアンと
物語の主役といってもいいロールシャッハの二人の物語です。

コメディアン編は1962年から68年を舞台にしています。
彼の物語を語る縦糸は「ケネディ兄弟」、横糸は「ベトナム戦争」。
アメリカの「理想」「希望」の終わり、ともいえるこの時代・・・
ある意味「アメリカ」を体現する存在ともいえるコメディアンの
変質とその行動が、当時のアメリカ史を映す鏡になっているように思いました。
(この世界の歴史では、この後投入された「彼」が歴史を変えてしまうのですが・・・)

ロールシャッハ編は1977年が舞台。
自警団活動が禁止される直前の時期。犯罪との孤独な戦いを続ける
ロールシャッハの前に立ちはだかるベトナム帰還兵の犯罪組織と、
素顔のロールシャッハ・・・ウォルター・コバックスに向けられた善意の結果、の物語。
(この世界では歴史が変わった、とはいうものの)ベトナム戦争の爪痕と
社会不安、混沌で猥雑とした都会の闇に、単身立ち向かう男。

どちらも血と暴力、死と混沌に満ちた物語でありますが
その闇にぐいっ、と引き込まれてついつい読み込んでしまう、そんな作品です。

これから3か月毎に1冊ずつ・・・
2014年2月にミニッツメン/シルクスペクター、
5月にナイトオウル/Dr.マンハッタン、
8月にオジマンディアス/クリムゾン・コルセア(劇中漫画の「黒い船」の前史!)と
刊行されていく予定のこのシリーズ。
あの物語に続いていく彼らの過去がどういうものであったのか、楽しみです。

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