1937年、それまでいろんなジャンルの漫画を雑多に載せていたコミックブック
(そもそもは新聞漫画の再録からスタートしたものでした)に、
初めてのジャンル専門誌として創刊した「Detective Comics」。
タイトルが示すように探偵コミックを集めたこの雑誌は好評を博し、
この雑誌内で「スラム・ブラッドレー」(腕っぷしが自慢の探偵)を連載していた
ジョリー・シーゲルとジョー・シャスタ―は、翌年創刊したアクションコミックを集めた専門誌
「Action Comics」の創刊号で、アメリカの漫画史を変えるキャラクターを生み出します。
そう、スーパーマンです。
このキャラクターの登場により「アメリカンコミック=スーパーヒーロー物」となる時代が始まり、
ディテクティブコミックにおいてもスーパーヒーローを生み出す必要が出てきました。
ボブ・ケインが原案を考え、ビル・フィンガーが作り出した、
スーパーマンの対極となる、ヒーロー。
陽のスーパーマンに対する闇。
「ザ・シャドウ」などのパルプ雑誌の探偵ヒーローの影響を受けながらも
蝙蝠をモチーフにし、超人であるスーパーマンに対して常人。
そして世界最高の探偵。
バットマンの誕生でした。
27号でのこのヒーロー誕生以来、ディテクティブコミックは大人気になり
翌年にはバットマン誌も誕生、ジョーカーたち人気ヴィラン、
そして初のサイドキック(助手)であるロビンの登場によって
バットマンはスーパーマンと並ぶ2枚看板へとなり、
犯罪と戦うヒーロー、クライムファイターというジャンルの代名詞となりました。
そして時は流れ。
途中週刊化を行ったアクションコミックスから遅れること1年。
バットマン80周年の記念すべき年に刊行された、ディテクティブコミックス♯1000。
アクションコミックス♯1000同様、これまでバットマンに関わってきた
当代最高のクリエイターたちによる短編集、となっています。
記念号に集ったクリエイターは
スコット・スナイダー、グレッグ・カプロ、ケビン・スミス、ジム・リー、
ポール・ディニ、ダスティン・ヌエン、ウォーレン・エリス、ベッキー・クルーナン、
デニー・オニール、スティーブ・エプティング、クリストファー・プリースト、ニール・アダムス、
ブライアン・マイケル・ベンディス、アレックス・マリーブ、ジェフ・ジョーンズ、ケリー・ジョーンズ、
ジェームズ・タイノン4世、アルヴァロ・マルティネス・ブエノ、トム・キング、トニー・S・ダニエル、
ピーター・J・トマシ、ダグ・マンケ、ロバート・ベンディッティ、スティーブン・セゴヴィア、
アラン・グラント、スコット・マクダニエル。
さらにヴァリアントカバーアートには、フランク・ミラーやアレックス・ロス、アンソニー・ラウ等が
この闇の騎士生誕80年と、探偵コミック専門誌1000号到達を祝いに集まったのです。
「探偵」である事実にフォーカスした作品、過去の名作エピソードの続編的なもの、
ファミリー集合、未来を描いたもの・・・そして今後の展開の予告。
ある意味スーパーマンよりもおなじみとなったバットマンであるからこそ、
あらゆる作品でもその軸のぶれてなさが確認できることも面白いと思えたり。
いよいよ明日はバットマン最大の敵である「ジョーカー」新作映画公開日。
DCFUとも過去のどの作品とも繋がらない作品ではありますが、
すでにその凄さが評判となっております。
見に行くのにかなり精神と肉体を整えておく必要はありそう、ですが。
そして次に来るのは、ハーレイ・クインとバーズ・オブ・プレイ。
さらにはスーサイド・スクワッドのリブート作に、
新バットマンのキャストも決定済み。
これからも一番目が離せないヒーローで居続けるのは確実なようです。
次回もバットタイム、バットチャンネルで!