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港街で港街を見る

2019-04-18 | アート

今日は朝からスーパー銭湯へ。
このところ腰とか肘に負担かかってるなー、と思ってたので。
電気風呂にも慣れてまいりました。EMSってやつよね。

入浴後、美術館に行こう・・・と思って移動していると
本日から「長崎帆船まつり」が開催、ちょうどこれから入港パレード、ということで
ちょうどいいから見ていくか・・・と美術館目の前の水辺の森公園に。

空は晴れ、海は輝き、絶好の港日和、という風情。
帆船というのは思っていた以上にゆっくりで、
女神大橋の向こうからゆっくりと帆船たちが向かってくるのを撮影したりしていたら、
すっかりお腹も空いてしまって、出島ワーフでごはんを食べて長崎県美術館へ。

長崎県美術館では企画展
奇蹟の芸術都市バルセロナ展 ガウディ、ピカソ、ミロ、ダリ――美の巨星たちを育んだカタルーニャの煌めき」が
6月9日まで開催中です。

独自の言語を持っていたカタルーニャの城塞都市、バルセロナ。
地中海貿易で富み栄えていたこの地も、スペイン統一によって独自言語の使用を禁じられ、
新大陸発見によって貿易の中心は大西洋へと移り、二つの砦によって監視され、自治権も制限された都市。

しかし、19世紀も半ばを過ぎ、大西洋貿易への参加や産業革命、万国博覧会によって
城壁を取り壊し、都市計画に沿った近代都市として拡大していくことになります。
そして拡大するのは都市だけではなく、住人の貧富の差も。

ガウディ、ムンタネー、カダフェルクといった建築家や芸術家たちの作品による
贅を尽くしたブルジョアたちの暮らしに対し、
貧民たちに浸透するコミュニズムやアナーキズム、そして連発するテロ。

その一方で芸術家たちは最先端の芸術都市・パリに幾度も訪れ
そこで学んだ「新しい芸術」をバルセロナへと持ち込んで生きます。
アール・ヌーヴォーや抽象芸術、そしてそれについて発表や議論を行うサロン。
バルセロナ旧市街に作られたカフェレストラン「四匹の猫」には
そんな最先端の芸術家が集まっていきます。
その中には、まだ若く、この店で初の個展を開いたパブロ・ピカソも。
これらの芸術は、「ムダルニズマ」と呼ばれました。

一方で、このムダルニズマへの反動から、
ナショナリズムを元にした地中海文明に根ざした表現への回帰を訴える
「ノウサンティズマ」の動きが起こります。
その流れはバルセロナ国際博覧会でひとつの結実を見ることに。

前衛美術も「四匹の猫」閉店後、印刷技術の発展などを背景にさらに進み
ジョアン・ミロ、サルヴァドール・ダリといったスターたちを育んでいきます。
特にダリは旧来の芸術を否定する新しい芸術を訴える宣言・・・
「黄色宣言(カタルーニャ反芸術宣言)」なんて過激なものも出しています。
(今回の企画展のいいところは、こういう印刷物をレイアウトも忠実に訳したものを並べてくれるところです)

そんなバルセロナの幸せな時代も、フランコ将軍によるクーデターからのスペイン内戦、
そして共和国側の最後の戦場となり、敗れることで終焉を迎えます。

19世紀半ばから20世紀半ばまでの約1世紀のバルセロナの芸術史を辿れる展覧会。
長崎から全国5会場巡回となっていますので、お近くに来たら見てほしい内容です。
(東京巡回も決定してます)
そして長崎県美術館のいいところは、常設展示の須磨コレクションが
「スペイン美術の収集」を行うコレクションであり、
常設展示がこの企画展をサポートしてくれる内容になっていること。

帆船まつりやゴールデンウィークのついでにぜひ、お越しください。

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