好事家の世迷言。

調べたがり屋の生存報告。シティーハンターとADV全般の話題が主。※只今、家族の介護問題が発生中です。あしからず。

猫×旅行×本格推理。

2023-12-17 | その他ミステリ

『猫魔温泉殺人事件』(by吉村達也)、読了。

図書館で偶然見かけて借りたノベルス。
1996年初出。

私が今まで読んだ吉村作品は、『ボクサー』『王様のトリック』『トリック狂殺人事件』といったところ。
本作は『トリック狂~』より後の作品である。

話の筋書きは、ミステリの、というより、往年の2時間サスペンスドラマの定番王道。
冷めた夫婦仲からの不倫旅行から勃発する殺人事件。
その一方で、なぜか温泉巡り大好きの刑事キャラ達が事件と接触する。
警察の捜査が行き詰まったところに、推理作家の名探偵が颯爽と謎を解く。

しかしながら、作中で描かれる謎たちは、むしろ硬派な本格推理。
「幕間」の章は事実上、「読者への挑戦」の代わりと言える。

葬式に真っ白なスーツで参列する男。
観光地で猫を抱いて歩く女。
絶対に見破られない究極の尾行方法。
殺人犯が長く抱えていた凄絶な動機。

ミステリ好きの読者なら、全てが明かされた時に膝を打つだろう。
あと、猫好きの読者なら、早めに色々と察する事が出来るかも。

ところで、この本、巻末に「取材旅ノート」というページがある。
舞台として挙げられた「野口英世記念館」や、「偕楽園の好文亭」など、旅行気分も楽しめるのは、お得な内容と言えよう。

それでは。また次回。


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