炎と水の物語 2013 Apprehensio ad Ignis et Aquarius.

広大な宇宙を旅する地球。私たちは今、どの辺にいるのでしょう. 

・  世 阿 弥 の 謡 曲   『 錦 木 』 考

2005-10-27 | 休憩室
奥州の悲恋伝説を元に、世阿弥が書いた 謡曲『 錦木 』。青年の手向ける錦木の質を、良しとしない親が、交際を認めなかったが故の若い悲劇を、旅の僧が救済する話です。

大陸との交易が活発化し、通貨が中国銭となり、人や物資の往来も盛んであった事を伺わせる時代背景を感じます。
私は、世阿弥の作品から、少なくとも、平安時代に日本に入って来た、漢字の音読みの発音( 中国の一方言 )とは異なる、より新しい中国の標準語の発音が、大挙、人々の間に、流入した事を感じるのです。それは当時の流行語ともなり、能の中にも取り込まれているのではないでしょうか。

ともあれ、植物の錦木の美しい枝を見つけるのも、また、たいへんです。陽当りが良いと、錦木は、真っ赤になってしまいます。

それは、それで、美しいのですが、木洩れ陽の当たる環境にある錦木は、文字のごとく、多色爛漫の格別絶妙な色逢いとなります。
娘の交際を認めなかった父親も、そんな錦木を見つける甲斐性を、青年に求めたのでしょうか。

伝説は、自給自足的な社会から、外国から、陶器、錦の織物、珍宝、贅沢品が押し寄せたこの時代への、庶民のささやかな批判なのかも知れません。

外国製の財貨が、溢れる一方、非道、無法、悪党が、はびこった時代でもあり、人々は、能の上演に涙し、幽玄の中に、亡くした子や行方の知れぬ肉親に再開し、還らぬ人々と、肩を抱き合ったのでしょうか。

能の文字は、中国語の可能の助動詞に用いられ、英語のcanにあたります。日本語の訓では、「 よい 」 とも、読まれます。

当時、政府の力が弱まり、無法状態となった日本...。
無数の庶民の涙が、国中に流された時代です。
「 能 」は、娯楽ではなく、時代の必然として、人々の中に生まれた芸能、とも言われ、誇るべき、無形の世界遺産です。







紅葉はいよいよ、これからが、見頃です。
陸奥の枕詞を聴く旅など、いかがでしょうか。






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4 コメント

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ニシキギ (林の子)
2005-10-27 23:04:32
秋の稔りは冬への前奏なので、昆虫や鳥たちが蓄えにする前に撮らないといけないのですが、陽射しが強すぎる陽はいけませんね。

「花」しかないブログですが、時に目に留まった樹木の葉や果実も撮っていましたので、それがお目に止まったのでしようか。

今後も、何かお気に入りがあればお訪ね下さい。
西陽木 (U-1)
2005-10-27 23:05:31
林の子さん、ようこそ。

秋は鳥君たちが、猛烈な食欲ですものね。

私のカメラは、赤と青の系統が、蛍光色になってしまいます。夕日の強い光を当てると、緩和されますので、こんな写真ばかりです(^^;。

伝説の青年も、こんな、けばいのを持って行って断られたのでしょうか (笑)

そちらのお写真、ニシキギの錦木らしいかったです。
電波時計 (おかん)
2005-10-29 11:11:38
 こんにちは、はじめまして。

コメントありがとうございました。あまり内容の

ないブログで恥ずかしい限りです。

 
時間 (U-1)
2005-10-29 12:53:30
おかんさん、こんにちは。ようこそ。

楽しいブログですよ。はい(^^)。。



電波時計の狂いについては、時計会社のHPにいろいろと出ています。

http://watch.citizen.co.jp/cs/faq/ans/m_ans.htm 時間って、興味深いですね。

ちなみに私のPCの時計は、2003年を指しています.....



ここも聴いてみてねhttp://www.angelrecords.com/brightmanlive/player.html

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