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中国探査機、月裏側の土壌採取し帰還 資源開発で優位に

2024-06-25 18:46:07 | NATO・ウクライナ・ロシア・中国・中東情勢


25日、中国内モンゴル自治区に帰還した無人探査機「嫦娥6号」=新華社・共同

 

【北京=多部田俊輔】

中国の無人月面探査機「嫦娥(じょうが)6号」は25日、月裏側の土壌サンプルの持ち帰りに世界で初めて成功した。国営新華社が伝えた。

米国との対立が激化するなか、中国は月面基地の建設を進めることで資源開発や宇宙を含めた安全保障で優位に立つことを目指す。

 

新華社によると、習近平(シー・ジンピン)国家主席は世界で初めての成功について「宇宙強国と科学技術強国の建設における象徴的な成果だ」と指摘した。

今後についても「宇宙強国の目標に向けて勇ましく強い意志を持って前進し、民族復興の偉業に新たに貢献することを希望する」などと強調した。

 

嫦娥6号は同日午後2時(日本時間同3時)過ぎ、中国北部の内モンゴル自治区の四子王旗着陸場に帰還した。

5月3日に南部の海南省から打ち上げ、6月2日に月裏側に軟着陸した。土壌サンプルや岩石を採取した後、4日に月を離陸して地球へと向かっていた。

 

 

 

 

 

月の裏側は地球からの電波が届かず、探査機とは直接交信ができない。

このため、土壌サンプルを地球に持ち帰る「サンプルリターン」は難度が高いとされる。中国は今回、別の中継衛星を使って月裏側の探査機を誘導し、回収に成功した。

 

月の裏側には巨大な隕石(いんせき)が衝突した跡があり、約40億年前の土壌サンプルの採取が期待できるという。

中国メディアによると、米国とロシアが過去に持ち帰った土壌サンプルは約30億年前のものだった。月の鉱物組成の研究や資源開発で先行できる可能性がある。

 

中国は今回の成功をテコに、月面開発を進める。

2026年前後には嫦娥7号を、28年前後には嫦娥8号をそれぞれ打ち上げる計画だ。月面基地の基礎となる研究ステーションを建設する方針。30年までに月面に宇宙飛行士を送り込む。

 

 

宇宙開発の予算でも科学技術の分野を手厚くする。

中国メディアによると、同国の宇宙関連の支出において実験にかかる費用は全体の10%未満にとどまり、米国の30%と開きがある。

 

実験費用が全体に占める比率を35年に15%、49年に20%まで引き上げて米国に追随する。

中国の宇宙開発は軍事と表裏一体とされる。習指導部は22年に中国独自の宇宙ステーションを完成させた。

宇宙関連の技術は安全保障に直結している。今後は月面探査や火星探査を加速させ、安保面で米国に対抗できる「宇宙強国」の確立をめざす。

 

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※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

 

 

 

益尾知佐子のアバター
益尾知佐子
九州大学大学院比較社会文化研究院 教授

ひとこと解説

中国の成長はピークアウトした、強権化する習近平指導部では中国を発展し続けられないーーというような見方もあるのですが、未来予想を難しくしている要素のひとつが科学技術です。

中国の宇宙開発はとても安定的で、これまで長期間、目標を期限内達成し続けています。

おそらく10年後には、月面基地は本当に実現するでしょう。

中国はロシアや中東諸国を計画に誘ってもいます。 中国の民間イノベーションは停滞していますが、中国の科学技術者数は世界最大で、習政権も支援に積極的です。

国による大型の資本投下が功を奏すいくつかの分野では、中国は今後も成長し続けるでしょうし、米中間競争はますます激しくなるでしょう。

 

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小玉祥司
日本経済新聞社 編集委員

ひとこと解説

月の裏側は表側に比べて地形や鉱物の組成で違いがあり、表裏のサンプルを比較することは科学的に大きな意味を持ちます。

原始の地球に火星ほどの大きさの惑星が衝突して地球と月が誕生したとする説も有力で、月を詳しく調べると地球のこともよりよく理解できるはずです。

一方で中国は2013年に探査機の月面着陸に成功して以降、21世紀に入ってからの月探査で世界をリードしてきました。

日本のSLIMや米国民間企業も今年、月着陸に成功しましたが、近年の実績では嫦娥6号を含めて中国が先行しています。

日本は米国中心の月探査「アルテミス計画」で宇宙飛行士の月面着陸が決まったことに浮かれず、着実な取り組みが必要です。

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日経記事2024.06.25より引用
 
 
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