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誤算のイラン指導部、民意離反を軽視 大統領に改革派 中東・アフリカ

2024-07-07 10:46:06 | 中東情勢・基礎知識・歴史・問題・真実


イラン大統領選決選投票で5日、みずからの票を投じるハメネイ最高指導者=WANA・ロイター

 

【ロンドン=岐部秀光】

イラン大統領選の決選投票で改革派のペゼシュキアン元保健相が次期大統領に選出された。事故で急死したライシ大統領の保守強硬路線を続けたかったハメネイ最高指導者ら指導部にとっては誤算が重なった。

イランの実質的なトップは直接の選挙で選ばれない最高指導者だ。大統領の権限には限界がある。それでも選挙結果は、社会の自由化への民衆の強い欲求を映した。

 

イランの国家体制はイスラム教シーア派の権威主義的な神権国家だ。そのイランが直接投票による選挙を実施し、民意を政治に反映させる民主主義の装置を持ち合わせていることは一見すると不思議もある。

イランがアラブ諸国など中東の他の権威主義体制と異なるのは、現体制が革命によって生まれたという点だ。王政支配に反発した民衆の蜂起が1979年のイスラム革命のエネルギーとなった。民衆の支持という建前がイスラム体制の正統性を支える重要な柱なのだ。

 

 

実際の選挙では指導部の意に沿わない候補は事前の資格審査によってふるい落とされる。今回も女性候補は軒並み出馬を阻まれた。

投票率を引き上げるために一定の改革派は残す必要があった。そこに指導部の誤算が生じた。

まずはクルド系の血を引く、知名度の低いペゼシュキアン氏が想定を上回る票を集めたこと。そして本命と期待していたガリバフ国会議長が1回目の投票で早々に敗退してしまったことだ。

 

 

ペゼシュキアン氏と決選投票で争ったジャリリ元最高安全保障委員会事務局長が訴えた極端な強硬路線には指導部ですら不安をおぼえた。

指導部は革命から45年が過ぎ、そのイデオロギーと大きく離反した民意との溝を過小に評価していた可能性がある。孤立と制裁のなかハメネイ師が唱えた「抵抗経済」は庶民に多大な苦痛を強いてきた。

 

イランが直面するリスクは、自由化や開放に期待する民衆の声を指導部が力でねじふせようとすることだ。2019年のガソリン値上げや22年の女性のスカーフ着用をめぐるデモを当局は強引に抑え込んだ。

王族や首長家が支配するイラン周辺のアラブ諸国は、イラン民衆革命の「輸出」を恐れてきた。革命で生まれたイランの指導部はいま「アラブの春」流の革命が波及することにおびえる。

 

イランの権威主義的な体制の継続を支えるのは中国やロシアの支援だ。イラン指導部は欧米流の民主主義を否定しながら経済を発展させる道が可能だと信じている。

中東はイスラエルとパレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスによる戦闘が各地に飛び火するリスクがくすぶる。ハマスやレバノンのシーア派勢力ヒズボラ、イエメンの反体制武装組織フーシなどの反イスラエル勢力を支援してきたのはイランだ。

脱石油のエネルギー転換のうねりのなか、権威主義体制と民主主義体制の覇権争いの舞台のひとつとなっている地域でもある。ペゼシュキアン氏の「改革路線」の成否は世界秩序の行方をも左右する。

 

 

 
 
 
 
日経記事2024.07.07より引用
 
 
 

テキサス州、半導体に2300億円支援 日韓台と「脱中国」

2024-07-07 10:38:01 | エレクトロニクス・自動車・通信・半導体・電子部品・素材産業


取材に答えるアボット・テキサス州知事(州都オースティンの知事公舎)

 

【ヒューストン=花房良祐】

米南部テキサス州は半導体産業に約14億ドル(約2300億円)を補助して生産・研究を支援する。

グレッグ・アボット知事は日本経済新聞に「同盟国と協力して中国に対抗する」と話し、半導体生産で日本や韓国、台湾といった同盟国・友好地域と連携する考えを示した。

 

アボット氏は6日から台湾、韓国、日本を歴訪する。ビジネスや投資について企業と協議する予定で、半導体やエネルギーが主要なテーマとなる見通し。

半導体などのサプライチェーン(供給網)を米国に呼び戻す「リショアリング(国内回帰)」を主導する考えだ。

 

テキサス州は台湾に事務所を設置し、経済関係を強化する。「台湾は米国にとって特別な貿易相手だ」と言及した。台湾は台湾積体電路製造(TSMC)をはじめとした半導体産業が盛んだ。

「潜在的な敵に必要品を頼らないことが大事だ」 と述べ、中国への警戒感を示す。半導体を米国で生産することの重要性を指摘した。

 

半導体生産の米国回帰の流れを受け、テキサス州やアリゾナ州では韓国や台湾の企業による投資計画が相次いでいる。

米政府は巨額の予算で半導体産業を振興しており、支援を受けた韓国サムスン電子はテキサス州に巨大工場を建設中だ。アボット氏は「サムスンに追随して多くの部品メーカーも進出する」と話し、日本企業の進出にも期待を示した。

 

テキサス州も独自予算で半導体産業を支援する。約14億ドルで工場建設や研究機関を補助する。工場建設の支援先について「近く公表する」と明らかにした。

米半導体大手テキサス・インスツルメンツ(TI)が本社を構えるテキサス州は、半導体生産で米国最大の州だ。物流インフラが整備されており、他州に比べた労働コストの安さも大規模な生産体制を支えている。

 

企業の税負担が軽いため設備投資も盛んだ。「工場建設に必要な許認可が出るまでの期間も短い」(アボット氏)。半導体に限らず幅広い業種の企業がカリフォルニア州やニューヨーク州などから拠点を移している。州の経済規模はカナダやロシアを上回る。

アボット氏はテキサス州が液化天然ガス(LNG)や水素、アンモニアといったエネルギー分野でも世界を主導していると強調した。「テキサス州はLNGを長期にわたり世界中に供給する」とも話した。

 

 

 

 

霞が関に「讃岐」旋風? 4省庁次官に出身者抜てき

2024-07-07 10:27:37 | 日本政治・外交


霞が関の夏の風物詩となっている各省庁の幹部人事が出そろった。行政機関の事務方のトップである事務次官に香川県出身者が相次ぎ抜てきされた。財務省、総務省、厚生労働省、農林水産省の4省庁だ。

 

そもそも香川県は中央官庁の出先機関が集積し、つながりは強い。総務省の四国総合通信局は松山市に拠点を置くが、ほとんどの省庁が高松市に四国の出先機関を設ける。四国一を争うライバル関係にある松山市との比較で引き合いに出されることも多い。今回の次官人事は地元の新聞社やテレビ局でも報じられた。

 

香川に四国の出先拠点が多いのは企業も同じだ。厚労省の伊原和人次官は高松市出身だが、転勤が多かった父親の影響で仙台市や名古屋市へと引っ越しが続いた。農水省の渡辺毅次官は父親も香川出身で旧食品流通局長を務め、親子2代続けての農水官僚だ。

財務省の新川浩嗣次官は、地元高校の財務教育の授業でオンライン講師として登壇するなど現在も香川との関わりを保つ。四国財務局内でも、香川のことをよく知る次官就任を歓迎する声があがる。

 

次官のなかでも異色の経歴を持つのが総務省の竹内芳明次官だ。高松高専(現香川高専)を経て東北大に入学し技官として旧郵政省に入った。技官出身者が次官に就くのは2001年の総務省発足以来初めてで、5日の交代式では「内閣全体の課題に貢献できる総務省になるよう力を尽くす」と意気込んだ。

中央省庁とのつながりから歴代の県知事も官僚出身者が多い。それぞれが出身省庁での知見を生かした政策を打ち出してきた。

 

農水官僚出身で前々任の真鍋武紀元知事は県の代名詞である讃岐うどんに使う小麦の専用品種の育成に注力。浜田恵造前知事は財務官僚として培った根回し力で瀬戸内国際芸術祭を開催し、国内外から観光客が集まる一大イベントに押し上げた。元国交官僚で現職の池田豊人知事は県民悲願の四国新幹線の実現を打ち出す。

現知事がまだ1期目の半ばで時期尚早ではあるが、香川出身の次官が4人も誕生し、中央省庁とのパイプ役が期待できる「知事候補」は豊富になった。

ただ、政府の出先機関の職員も通う地元の郷土料理店の店主に今回の次官人事について尋ねると「知らなかった」と認知度はまだいまひとつといったところ。4人の次官が胸を張って故郷に凱旋するには、成果で存在感を発揮する必要がありそうだ。

 

 

 
 
 
 
日経記事2024.07.07より引用
 
 

我々と別の宇宙は本当にある 物理学の最新理論  宇宙論研究者の野村泰紀教授に聞く

2024-07-07 10:13:33 | 科学技術・宇宙・量子・物理化学・生命・医学・生物学・脳科学・意識・人類史

日経サイエンス

私たちが見ているこの宇宙以外にも無数の宇宙が存在し、今も次々と生まれている。宇宙は単一のユニバースではなく、多数の宇宙が存在する「マルチバース」だ──。

一見SFのようだが、多くの理論物理学者たちが真剣に考え、研究している理論だ。最近マルチバースについての新たな見方を提唱した米カリフォルニア大学バークレー校の野村泰紀教授に、この理論について聞いた。

 


野村泰紀米カリフォルニア大学バークレー校教授。同大バークレー
理論物理学センター長,
東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構主任研究員を兼任する。
専門は宇宙論,素粒子論。

 

 

──マルチバースの理論はどのようにして出てきたのですか。

「最大のきっかけは宇宙の真空エネルギーの問題だ。真空エネルギーというのは宇宙が最も安定したときのエネルギーで、宇宙の性質を決める重要な値だが、宇宙観測によって計測した値が理論からの予測値より120桁以上も小さかった。

あまりに小さいので、物理学者たちは恐らく本当はゼロなのだろうと思って、それを実現する仕組みを懸命に探したが、見つからなかった」

 

「1987年にノーベル賞受賞者のワインバーグが、まったく異なる解決策を提唱した。まず、真空エネルギーがもし今より数桁大きければ宇宙には星も銀河も生まれず、空っぽだったことを計算で示した。

さらに、真空エネルギーが異なる宇宙が膨大にあるとの説を唱えた。膨大な数の宇宙があれば、中には真空エネルギーが理論値より120桁小さい宇宙もあるだろう。

そして宇宙を観測し真空エネルギーを突き止める人間が存在し得るのは、そんな宇宙だけなのだ。これを『人間原理』と呼び、この宇宙の真空エネルギーが極めて小さい理由を説明できる」

 

 

──人間原理以外にマルチバースを示唆するものはありますか。

「いくつかある。重力理論と量子力学の統合を目指す超弦理論の方程式を解くと、10の500乗個ともいわれる大量の解が出てくる。

これは実現しうる宇宙の種類が山ほどあって一つに決められないことを意味しており、当初は超弦理論の欠点だと思われていたが、最近、マルチバースとうまく整合するとの見方が出てきた」

 

「また、異なる宇宙がどのように生まれるかは、インフレーションの理論によって示されている。インフレーションとはこの宇宙の誕生直後に起きた加速膨張のことだけをいうのではなく、この宇宙を含む空間全体で起きており、今も続いている。

加速膨張する宇宙が別の宇宙に相転移すると、沸騰する湯の中に気泡が生じるように、もとの宇宙の中に新たな宇宙の泡ができる。これは量子力学による確率的なプロセスなので、宇宙どうしが量子的な『重ね合わせ』になる」

 

 

──宇宙がたくさんあるというのは想像しにくいですが。

「近年の研究の発展で、マルチバースがどんなものか具体的に明らかになりつつある。人間はこれまで、科学を通じて自分が思っていたより小さい存在であることを学んできた。

唯一の大地だと思っていたものが太陽系にいくつもある惑星の一つの表面だと知り、その太陽系も銀河にたくさんある惑星系の一つだと知り、その銀河も宇宙にたくさんある銀河の一つだと知った。マルチバースはとっぴな考えだと思う人もいるが、むしろ宇宙だけは現在我々が観測しているものしかないと思うほうが革命的な考えだ」

 

 

(詳細は25日発売の日経サイエンス2017年9月号に掲載)

日経サイエンス2017年9月号

著者 :
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 1,440円 (税込み)

 
 
 
 
日経記事2017年7月29日より引用