月は東に

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『新選組!! 土方歳三 最後の一日』感想記事その7

2006-01-19 02:53:11 | 『新選組!』&『新選組!!』
“その7”だって(笑)こんなに続くとは思わんかった


ろまんち炸裂
男って、莫迦だねえ莫迦じゃないと夢は見れません。
莫迦は往生際が悪いから、夢見続けるんですよ。

土方の声を背に苦渋の表情を浮かべる榎本。
「(生きるために)降伏はするな」と言う土方。
「勝ちたい」とつぶやく大鳥。
みんな往生際悪すぎじゃん
でも、“往生際が悪い”ということは“諦めない”ってこと。

この続編で、土方ちょっと喋りすぎって思ってるひともいるかもしれませんが、自分の気持ちは声に出さないと伝わりません(番組構成上、メインキャストが喋らなきゃ話にならんだろうとかいった事情は置いといて)
多摩~京都時代の副長は、ある事態に皆が右往左往しているとき、「こうするりゃいいんだよ」って言葉すくなにさっさと動いてさっさと収拾。
それができたのは、かっちゃんがいて……そして山南さんがいたから。
言わなくてもわかってくれた“かっちゃん”はもういない。
“あうん”の呼吸や「託した」「承知」で済む人間はここにはいない。
だったら、自分の心を声にするしかない。

鬼の副長時代は事態収拾最優先、ひとの気持ちを酌むことも少なく(というか、あえてそうしたし&局長担当だし)ましてや自分の心を顧みる間も無く……。
それが、ひとの心で自分の気持ちが変わるなんて、私も驚いたけど一番驚いてるのは土方自身だったかもしれません。

土方が、仕官達の叫びや、榎本、大鳥の胸の内で燻ってるものに希望を見出し、賭けに出る。
大鳥との遣り取りで彼にまだ(形や作戦はどうあれ)戦う気があることを知り、榎本に至っては「降伏」を決めながら、無邪気に夢を語り、全く負ける気がなかったと言う。

………ぶっちゃけ、ヤリ逃げじゃねーか(大暴言)
と、土方が思ったかどうかは知りませんが(笑)
「この俺が、生き延びてまた夢を見ようと思い始めてんだ。てめえらにも夢見てもらうぜ」
くらいのことは思ったかな?

「俺たちは大事なことを忘れていたようだ」

自分の決心を確かめるように榎本に投げかける言葉。
かつて、最後に言葉を交わさないまま逝ってしまったかのひとのことが、いつも心のどこかにある。
とにかく、今、伝えなければ。
恫喝でもなく懇願でもなく声高でもない、淡々と、でも熱を帯びた土方の言葉への榎本の返事は、

「ひとこと言っておく。“ろまんち”ではない“ろまんちすと”だ。変なところで切らないでほしい」

さすが
榎本だから言っていい、言わせていい台詞ですよね。
対する土方、

「知ったことか」

こいつらホントに素直じゃないったら
2人の強情っぱり意地っ張りひねくれっぷりを思うと、大鳥圭介の素直さがとってもらぶりー

ってなわけで“夢”を担保に交渉成立。
“夢”は無限。最初に“夢”をみたひとがたとえ死んでも、誰かがきっと繋げてくれるはず。
尽きることのない担保なんてそれこそ夢のようだけど、ろまんち揃いの五稜郭なら、それもアリ(笑)

「君こそ筋金入りの“ろまんち”だ」

榎本の言葉に、片頬を少しあげてお馴染みの“ニヤリ”

自分の心の変化に半ば驚きつつも(と私が思ってるだけですが)言葉を尽して熱い想いを伝えて、榎本を思いとどまらせた土方の行動は、成長というよりは“多摩のヤンキー魂復活”
その手段は、今の状況でベストな方法を選んだだけ。
多摩で鬱屈した日々、“かっちゃん”に光を見出したあの頃の“トシ”に、元来の土方歳三に戻ったのではないでしょうか。


仕官達に詰め寄られるところからここまでって、フツーの脚本家が描いたら、クサい台詞が飛び交い熱い涙が流され、無意味な見つめ合いがあったり抱擁があったりで、いわゆるセオリーなお涙頂戴場面。
ところが、三谷さんも、もちろん彼の産みだしたキャラ達もひねくれもんで素直じゃないから(笑/失礼)「見つめ合ってるヒマなんかねーんだよ」ってな勢いで、必要最低限の台詞で話が進んで、さっさと軍議へ
『組!』&『組!!』ならではの展開で、実にシャープですっきりした画面に仕上がってます。

さっ軍議軍議


いいんだよ、あんたはあんたで
軍議の裏テーマは“自分さがし”(笑/現実世界でもひところ流行りました)
誰も自分以外にはなれない。
山南さんの代わりはいない。かっちゃんの代わりもいない。

「…無理だ」
榎本へのつれない返事も、土方らしい
「あんたは自分のできることをやってくれ。俺も自分ができることをする」
って言いたいんでしょうが、長台詞は土方には似合わない。
だから8行前のタイトルでいいんですよね。

そして大鳥も、土方のようにはなれない彼もまた自分の立ち位置を把握して、土方を力強く送り出す。

この戦いには山南さんもかっちゃんも必要ない。
自分の心の奥底に置いておけばいい。
榎本を大鳥を、自分を信じて戦うだけ。
って、土方気分で言ってみました

“桶狭間”って大河へのリスペクト?あとで“鵯越え”も出てくるし(笑)
信長の“桶狭間”について語ると長くなるから割愛するけど、あれはあのときしか使えないあのときのための、実に用意周到、準備万端で仕掛けた戦。もちろん信長の強運もありますが、“運も実力のうち”ですからね。
…榎本軍には、それが無い。
“幕末バージョン桶狭間”もOnlyOneChance。どこかひとつタイミングが悪ければ最悪の事態。
それを打破するのは、やっぱり運なんでしょうか
ちくしょう

大鳥がジオラマ下に潜り込む前に落とした“香車”。
王将も飛び越えて前に進めるそうですが、“槍”の意味もあるそうです。



以下、小ネタとかツボとか……
・サンドウィッチまで回収か。
・笄の使い方が素敵なんですが、手元でくるっとしたときは秀さん@必殺に見えてしまいました。
 あるいは、これからダーツの的に向って投げるんじゃねーのかとか(笑)
・スカーフ何本もってるのかなー、と素朴な疑問。
・ジオラマの下にいた大鳥に気づいてたor気づいてなかった?
 台詞では掴みにくいんだけど、もし気づいてない設定だったら、土方歳三末代までの恥(笑)



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6 コメント

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Unknown (あさぎ)
2006-01-19 16:01:29
水無月さま



初めまして



「土方歳三」で検索をして、こちらにたどり着きました。

「最期の一日」の感想、7まであるんですね?

いえ、まだ続くんですね?

7だけ読ませて頂き、感動いたしました。

私事ですが、つい先ほど、録画してた「最期の一日」を見たばっかりだったもので、、、(本編もBSももちろん見た後なんですけど)



これも私事ですが、やはり涙無しでは見られませんでした。

又、お邪魔させて頂きます。
返信する
よかった… (みちとせ)
2006-01-19 20:52:14
ちょっと間があいたので、

もう続きをお書きにならなのかと思って、それこそ

「書き逃げじゃねーか」

と、ちらっと思ってましたことよ。ほほほ。



・笄の使い方が素敵なんですが、手元でくるっとしたときは秀さん@必殺に見えてしまいました。

あのシーンは本当にそれっぽかったー!

あの時の仕草は全体に気障でステキですよね。やっぱり指がキレイ。

“黒田了介”コマを親指ではじくとこも好き!
返信する
あさぎさんへ (水無月)
2006-01-20 01:28:52
コメントありがとうございます



まだ続きますよ。あと2つほどで終わる予定です。

感想記事1~3はナンバリングしてないんですが、記事タイトルをご覧いただければわかると思います。



私の記事は小ネタや余話重視で(笑)感想もちょっとひねくれてて読みにくいかもしれませんが、そんな部分も含めて気に入っていただければ幸いです



よろしければまたお越しくださいね。
返信する
みちとせさんへ (水無月)
2006-01-20 01:39:54
まだ続きます。小ネタで小休止でした

「ヤリ逃げ」しないよーーーー(笑)

ていうか、『組!!』感想記事で「ヤリ逃げ」なんて暴言吐くのは私くらいっすね(汗)



>あの時の仕草は全体に気障でステキですよね。やっぱり指がキレイ。

手や指を使うシーンはホントにいいですよね。

とにかく何をしてもサマになります。

耕史君の秀さん、いいかも
返信する
Unknown ()
2006-01-21 00:41:44
っとにっとさんっと・・・・むにゃ~・・で、7合目!?

やぁこちらもごくろまです。水無月さん。

で、給水ね。給水。っと、あとチヨコレイトも。



土方さんは、一行以上、喋ってはいかぬ。とか言われちったらどすべ・・と読み進めば、ぽん。ん。あの仙台ん時の。手もとの資料ですと五行以上喋っておられる。縦横13×3.5cmの空間で。がんばってましたね。

と。土方さんの話芸?とゆんでしょか?あり。おもろいですね。言うだけ言う。結果を見たらば、とっとと帰る。「歳三ら、決然席を蹴りて去る」・・・って、おえおえおえ。。の。此度は、説得、成功してよかったよかった。ご指摘の通り、1度帰ろうとしたあとは、いきあたりばったり。うん。そんな感じら。



あん、酒宴から島田達を集めた折の、多摩のヤンキー”座り”もばっちしよ。さすが、山本さん。うんうんうん。

残り、どぞ、ごゆるりと。
返信する
ま さんへ (水無月)
2006-01-25 01:36:52
レス大変お待たせしました

今日現在8合目到達しております。

私の給水は専らお茶とお饅頭(笑/実は和菓子党)



土方の行動は練りに練った策が多いけど、しゃべりに関しては策を弄さず直球ストレート、ですよね。

それが良いか悪いかは別として、“漢(おとこ)”だねえ、土方歳三。



あっヤンキー座りは見落とした
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