月は東に

Get Out Of That Rut & Savor Life

『tick,tick...BOOM!』@世田谷パブリックシアター・10/31マチネ・ソワレ 

2006-11-06 03:29:33 | Koji’s Stage Review
耕史君のファンになってから、過去に彼が出演した舞台の劇評を探して読みました(なるべく耕史君ファンでなさそうな方のをね
『ttB』初演は、YUKIの歌も演技もイマイチだったようでロクなこと書かれてないんだけど、いったいどんなレベルだったんだろ。逆に、マイケル役の大浦龍宇一に関しては、何も書かれてないものが多かったから詳細不明(なんで?言及するまでもないってこと?“頑張ってた”なくらいのはあったけど)
初演を観た友によれば、YUKIはダンスがメインで演出されていて、〔GREEN GREEN DRESS〕はとってもSEXYで、さすがにダンスのレベルは高くて見応えがあったそうですが………ただし、他の劇評では耕史君も同くらいのレベルで踊れてたから評価には値しないって。厳しーーーーー
あと、他の2人いらないから耕史君の一人芝居でもいいんじゃないのか、ってのもありました(爆)
そういえば、映画版『RENT』DVD特典に、ジョナサンの『ttB』一人芝居の映像があるそうで……(私はまだ観てませんが

“トゥインキー”のお仲間が結構いるみたい(↑クリックするとメーカーサイトへ飛べます)
あとこんなネタも。ジョナサンの台詞にちょっと出てきましたよね。

 
で、今回の再演なんですが、3人の歌はパンチもあってハーモニーも綺麗で非常に聴き応えがありました。
ゲイリーさんも里菜ちゃんも歌は期待以上(本職が歌手なんで上手くて当然なんだけど、そうでないひともいーーーーーっぱいいるので……)
ともすると、3人のハモりでは、耕史君が一番声量がなくて2人の声に押され気味な気がするのは私だけ?(バランスを取ってるのかもしれないけど)彼の声質はやっぱり諸刃の剣だなあ。あの独特のハスキーな歌声は大好きなんだけどねえ。

演技は耕史君は言うことないでしょ。声にツッコミ入れて演技にまで突っ込んだら耕史君ファン(私だってそうだけど)に刺されそうだわ(笑/実はツッコミたいところがちょっとあったりします)
他の2人はお初にしてはいいんじゃないでしょうか。マイケルとスーザン以外は“演技”というより、そのシーンのアイコン的な存在感があればいいし。でも、2人ともマイケルとスーザンより他のキャラの方が出来がよかったかも


以下雑感。

●バンドの音が大きい(笑)PAさんもうちょっとバランスよく調節して~~~。ミディアム&スローではさほど気にならないものの、アップテンポになると3人で唄っても声が聞こえにくい箇所が結構ある(私の耳が悪いのかもしれませんが)
新感線も音は大きいけど台詞も歌もちゃんと聴こえます(新感線を引き合いに出すのは間違ってるか
生バンドって迫力あっていいけど、音がデカけりゃいいってもんじゃないわ。

●舞台装置はミニ『RENT』って雰囲気ですね。二階建ての部分は初演は可動式でシーンに合わせて動いたそうですが、今回の舞台の広さを考えると固定でいいのかも。しかし、あのシンプルでコンパクトなセットを客席数1400の中日劇場へ持ってくるのか…………レミゼやっちゃったりする劇場なんだけど(厚生年金会館のときはどうだったんだろ/客席数1600)

●耕史君の衣装が上着を変える・上着を着るくらいの最小限のバリエーションていうのが、ちょっと寂しい気がする。他の2人が役の都合で着せ替え人形状態だからよけいにそう感じるのかもしれません。

●ゲイリーさんはなに着ても似合うなあ(笑)

●里菜ちゃんのグリーンドレスはいただけない 初演みたいなのではいかんかったんか?あんまりセクシー系は事務所の方針でだめとか?…にしては、シーツか大判のバスタオル身体に巻きつけただけっていうのがあるんだけど。里菜ちゃんはスーザン以外の衣装の方がいいですね

●開演前から演者が舞台にいたり、バンドがアンサンブル化したりってのは大好き。BWでは開演前のジョナサンは客いじりしたりするんでしょうか。

●『スーパービア』をスティーブン・ソンドハイムが観てジョナサンに電話をくれたシーンでは、アメリカミュージカル界にソンドハイム氏が神の如く存在しているのを感じました。日本だと誰だろう?

●私のミュージカル師匠が、「『組!』以降の耕史君ファンはソンドハイムをどれぐらい認識してるんだろうか」と心配してました(笑)みんな勉強熱心だから大丈夫でしょう

●〔NO MORE〕の字幕なんか見てられねえって(笑)英語で唄う耕史君を観ずしてなんとする

●ジョナサンが階段に座って「痛い」ってやる辺り。あの体勢での横顔が英二が撮ったアッシュに見えてしまいました(ジョナサンではなく耕史君のビジュアルとしてなんだけど)左右逆だったかな?でも、わかるひとにはわかる(笑)…作品と全く関係ない話ですいません。敢えて言うなら共通項はNEW YORK。

●最初のモノローグの部分のジョナサン……というか90年代の一般的なアメリカ人青年が抱えてた焦燥感ていうのは実感がわかないなあ。もちろんベトナム戦争もヒッピーも知ってるけど、あくまでも知識のひとつでしかない。私が日本人だからと言ってしまえばそれだけなんだけど。日本語の台詞として聴いてるからかな。
抑揚の多い英語の台詞或いは歌の方が、心には滲みてくるのかもしれません。

●夢のある、夢をつかもうとしてるジョナサンの気持ちが溢れんばかりのこの作品。私は、ジョナサンの大人になりきれないなりたくないという部分に構ってられないほど、夢を追う気持ちを持ち続けられた彼の強さを羨ましいと思いました。若い世代の方にはどう感じられたんでしょうか。


この後キャスト別に書こうと思ったんだけど時間切れ。
今日の夜追記します。(ってもう明日は世田谷楽だーーー


《追記》以下、徐々にUPしていきます。


●何気にパンフを見ていたら、Sondheim(voice)………安原義人って。えーーーーー安原さんーーーーー???どっかで聴いたことある声だと思ったんだけど、うわー懐かしーーー。昔、ちょっとアニオタだった頃、あっちゃこっちゃでその声を耳にしてましたよ。えーと、『北斗の拳』のジュウザとか『るろうに剣心』の四乃森蒼紫の声のひとって言えばわかるのかな。
でも、ソンドハイム氏の声はもう少し年食った感じでもいいかもしれない

●〔THERAPY〕に既視感。『リトショ』の〔CLOSED FOR RENOVATION〕……電話使ってるってだけですが
しかし、2人ともよく舌噛まないねえ。

●〔SUGAR〕のコント(違)が結構好き。コメディって難しいんですよね。誰かがちょっとでも外したら台無し。


里菜ちゃん
歌は上手いですねー。綺麗でよく通る声質だから耕史君の声より安定感を感じます。
〔COME TO YOUR SENSES〕は素晴らしかったです。「ワークショップの成功を感じる」唄いっぷりでした。
関西人なのに台詞にその影が見えずお見事。スーザンより、ローザの声のほうが好きです。スーザンの方は地声近いアニメ声に、ちょっと違和感を覚えました(かなり抑えてたとは思うけど)
演技は初舞台にしてはよかったと思います。ただ、歌に入るとやっぱり“歌手”でしかないんですよ(耕史君はそうではないので)歌の上手さで表現力をカバーしてるって感じでしたね。
これで演技ができたら、先日観た『スウィート・チャリティ』みたいなポップミュージカルなんかいいかもしれない(あ、ダンスできないとだめだけど)

ゲイリーさん
もしかして声量抑えて唄ってくれてる?もーっと声出そうな気がするんだけど。
日英混合の台詞は慣れたら気にならないけど、聞き取れない台詞もあったからこの際全部英語でもよかったかも。英語の台詞は簡単なものばかりだし、日本語の部分を英語に直しても、中学校レベルの英語力で充分わかるんじゃないでしょうか。
とは言っても、日本で日本公演として上演する以上、やっぱり日本語でやるべきなのかなあ。
となるとゲイリーさんのキャスティングの意図が掴めません。
「ドウイタシマシテ」はすっごく言い難そうなので、英語に変えてあげてくれ、吉川さん。
ジョナサンパパは本人が一番楽しんでますね


里菜ちゃんの独特の声とゲイリーさんの流暢とは言えない日本語。
あまりにも自然な耕史君の台詞と違って、いい意味でリアリティに欠ける2人の存在が、ジョナサンの血の通った感情を引き立てていたのかもしれません。
熱く自分の想いを吐露するジョナサンと、どこか冷めたスーザンとマイケルとの距離感を感じさせようという意図でのキャスティングだったのかな。深読みしすぎ?


耕史君
以前も散々書いてるけど、耕史君の声ってロック向きじゃないんですよ。ロックを唄う声って汗を感じるというかまとわりつくような暑苦しいくらいのパワーが必要だと思うんだけど、耕史君の声はそういったものが全くない。だからヘドウィグの曲をどう唄うかちょっと気になってます
あと、彼は動きのパターンが少ないから(今回ヒロシだったりジェイミーだったりした)それも気になる。
ヘドはがっつり振付けてもらいたいなあ。
って話それた。
でも『ttB』や『RENT』の楽曲には合ってるんだよねえ。
楽曲というより、ジョナサン・ラーソンが作り上げた世界に、と言ったほうがいいのかな。
あの独特なハスキーな声は、焦りはあるけど汗の水気はない、どちらかというとざらざらとした渇いた感じを受ける世界に自然に溶け込む。
初演を観ていないので今回が初『ttB』だったけど、『ttB』の舞台に耕史君が乗っかってるというより、『ttB』を耕史君の内にすっぽり内包していて、それを開いて披露してくれてる感じでしたね。
体の一部になってるというか。たぶん『RENT』もそうなんでしょう。
惜しむらくは、ビジュアルがいいので(笑)生活苦に喘ぎ苦悩し疲弊するアーティストに見え難いってとこかな。
その辺は天才的な表現力で充分カバーしていただいてるので、良しとしないとね。
声量の点を差し引いても歌は素敵だし
『RENT』のマークを観たくなりました。
『ttB』の楽曲を情感たっぷりに歌い上げる姿を観てしまったら、やっぱりマークは他の誰でもなく、山本耕史以外考えられません。


座席 マチネ1F-I-7 ソワレ2F-A-27
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6 コメント

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トゥインキー (華乃子)
2006-11-06 20:56:51
トゥインキーって実物のお菓子なんですね。
写真だけ見るととても美味しそうですが
アメリカ菓子ってマジ精神錯乱になりそうな
くらい甘いからなあ。。。
史実(?)のジョナサン本人はホントにすき
だったのでしょうか。
とにかく一度味わってみたいものです。
どこか日本で手に入るお店有るのでしょうかね~
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トゥインキー! (satie)
2006-11-06 23:43:00
土曜日だったかな、wowowで映画観てたら、こんなセリフでてきましたよ。「(金目当ての弁護をやめるなんて)一体どういう心境の変化だ?」「トゥインキーを食べ過ぎたんだ」って。字幕はただ「食べ飽きたんだ」になってましたけど。ああ、トゥインキーってアメリカの文化なんだなーってあらためて思いました。
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安原さんといえば (おみつ)
2006-11-07 13:46:29
相原通信士です。第一艦橋勤務の。分かるかな、水無月さん。ふっふっふ。(こんなことにからんでごめんよm(__)m)
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華乃子さんへ (水無月)
2006-11-08 22:30:20
欧米のお菓子は砂糖の味しかしませんよねー。
お菓子は日本製が一番です。

トゥインキーそのものは、Webショップやデパートや高級スーパーの輸入食品を探してみたけど、いまのとこ発見できず
キャラクター商品なら、輸入雑貨店(Webしか見てませんが)にあるようです。

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satieさんへ (水無月)
2006-11-08 22:43:57
コメントありがとうございます!

「食べ過ぎた」っていう理由だと日本人には意味が通じにくいから「食べ飽きた」になったんでしょうね。
舞台でも映画でも翻訳モノは、文化や言語の違いで生じる問題点をどうするのか見ものであるとともに、制作側の苦労をお察しします
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おみつさまへ (水無月)
2006-11-08 22:47:01
あれ、安原さんて相原だったっけ?
といっても、他の誰かだったかというと全然思い出せないんだけど
おまけに相原の顔も思い出せないよーーー
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