物忘れ防止のためのメモ

物忘れの激しい猫のための備忘録

魚津埋没林博物館・杉沢の沢スギ

2023-10-22 | 行った所

蜃気楼は、大ハマグリが大いに気を吐いて見せる幻の楼閣などというものではないとは知ってはいるが、見たことがないのでイメージしにくい。
魚津の海岸には蜃気楼がみえるという。

富山県東部に大きく扇状地を形成した川は、第一に黒部川、入善町と黒部市の扇状地での境となっている。朝日町には小川、魚津には片貝川。その他にもいくつかの河川がある。魚津の海岸から遠く見えるのは能登半島。
魚津海岸 能登半島が見える
*大伴家持の歌碑
「越の海の信濃の濱と行き暮らし 長き春日を忘れて思へや」
家持は越中の国司だった。高岡市にある万葉歴史博物館に詳しい。

蜃気楼の写真を見ると、対岸の風景が縦に引き伸ばされたように揺らぎ見え、それは富山火力発電所なのだという。ちょっと位置関係がつかめない。


写真と説明だけではわからなかったのだが、埋没林博物館には蜃気楼のメカニズムを示す装置もあって、それをのぞいているうちに、何とはなしに納得したような気になった。本当にモノが違った風に見えてくるのだった。魚津では子供のころからこうしたものに触れるのだろう。
この博物館は、ビデオも秀逸。蜃気楼と埋没林の二本立てであったが、どちらもよかった。
 埋没林博物館

*埋没林博物館屋上のパネルから


この埋没林は弥生の小海退を示すものらしいが、誰もが知る縄文海進に比べ小さなものだったのだろう。

埋没林はスギを主体としたものだ。
この海岸線まで茂ったスギ林の痕跡は、黒部川を東に越えた入善の海岸近くに残っている。

杉沢の沢杉 漢字で書くとまるで回文のようだ。


気候の変動や人間の活動はスギの林にも大きな変動をもたらす。海岸部に残ったスギ林は湧き出す地下水により、命脈を保つが、湧水は栄養分に乏しく、スギはもはや通常のごとく種子での世代交代ができない。
*伏状更新
倒れた幹から根が出て、芽が出てまた新たな幹が育つのだという。つまりこの杉林全体がクローンの集合体だ。こうした世代交代は高山でのみ知られる。ここの杉は杉木立としてイメージするスギとは似ていない

資料館があり、そこから林の中の木道を進む。秋のよく晴れた日中という条件とはいえ、素晴らしく気持ちのいい所だった。木道の下の沢のせせらぎ、林の中を泣きかわす小鳥たちの声。


この林はどれほど広がっていたのだろう。沢杉から1キロ程東のじょうべのま遺跡は、平安時代初期の荘園の遺跡だが、スギ林を開拓した場所でもあるようだ。
じょうべのま方面 風車の左隣が遺跡になる。画面左端が杉沢

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