甘樫丘の南、ちょうど雷の丘の対象となるようなところに「亀石」がある。
「飛鳥の謎の石造物」という物の一つなんだろうが、岩を単に見たてるのではなく、人工的に刻んでいる、何なのだろう。亀と言われればそう見えるが、目はカエルのような。下面に格子状の溝があるというが、ひっくり返して見るわけにもいかず、見たところで分からないし。酒船石とかはまあ、水を流したか、くらいには思えるのだが、このカメは何に使うんだ?寺の境界というのもピンとこない。
亀石が西を向いたら大洪水、という伝承はちょっと怖いかも。
亀石から南西に数百メートル行くと、野口王墓古墳である。
宮内庁は天武・持統合葬墳として祀っているが、この被葬者にはかなりの根拠がある。鎌倉時代この墓は盗掘にあったのである。そしてその盗賊は捕まった。この話は藤原定家に「明月記」あるほか、高山寺から「阿不幾乃山陵記」と呼ばれるものが発見され、これが時の検非違使による捕まった盗賊の尋問調書と墓の実況検分書であったのだ。それによれば、天武の夾紵棺(乾漆棺)は破られ、天武の骨は放り出されて、遺物はあさられ、火葬された持統の骨壺は狙われ、中の遺骨は捨てられたらしい。石室内に装飾壁画がなかったことは確からしい。
だが、今の目で新たに調査することにはやはり意義があると考える。だいたい八角形の墳形だというが、ちゃんと測量をしているのだろうか。箸墓は空中からのレーザー計測による赤色立体化図があるが、この古墳についてはどうなのだろうか。
野口王墓から高松塚方向
南に高松塚古墳がある。飛鳥歴史公園の中をぐるりと回っていくと1キロ程度だろうか。更にその南にはキトラ古墳もある。