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ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

たくさんの希望

2018-07-13 | アメリカ事情

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今回の西日本の大雨被害状況を全米ネットワークのニュースや、TVジャパンのNHKニュースを見て、その被害の甚大さに胸を痛めている。NHKニュースのセグメントで、駅前のコインランドリーが、朝早くから夜遅くまで利用者で行列ができるほどである、と聞いた。着のみ着のままで避難された方々が、あるいは浸水した家に残した服を洗いたい、と願うのは至極当たり前である。その混雑を目にして、思い出したことがあった。

 

あれは、ハリケーンの度を示すシンプソン・スケールの5段階で、最大の5、弱くても3(ルイジアナ州上陸時)と言われた、2005年8月に合衆国南東部へ甚大な被害をもたらしたハリケーン・カトリナが襲来した時のことである。特にルイジアナ州ニューオリンズ付近の被害は深刻で、壊滅的な被害を受けた。ルイジアナ州だけでも、1577名の死者が出て、他州も含めると、1835名であった。さらに避難所での感染症で亡くなる人々、救助活動が過酷だったため、救助・護衛にあたる警官、州兵から自殺者まで出た。ある知人は赤十字から奉仕員として、カリフォルニア州からルイジアナに赴いたが、数週間の奉仕活動後、鬱病を発症して帰宅を余儀なくした。被害の甚大さや、被害者が被害者を襲い、物を奪う行為が想像を絶するほど多発していたのを目のあたりにしたのだった。


募金、献血、寄付などを行った一般市民の私達でさえ、毎日ニュースに溢れる問題と困難に、絶望を感じて非常に憂えたものである。すると、しばらくして、心を軽くするようなトピックのニュースが流れた。それは、ローズオブホープ(たくさんの希望、と和訳できようか)と呼ばれるプロクター&ギャンブル(P&G)社の始めた救援プログラム・団体であった。P&G社の代表的製品は、Tide(タイド)洗濯用洗剤だ。そのTideという単語には、潮、潮流という以外に、良い報せ(知らせ)という意味もある。Good tidingとは吉報や福音も意味する。


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その吉報のTideにちなんでLoads of Hopeというプロジェクトを P&Gが立ち上げたのだった。ここでの”load”(あるいはloads)は、一度に洗濯する量をそう呼ぶが、それは、ハリケーン被害者の汚れた洗濯物を洗濯することによって、少しでも彼らの士気を高めようと、考えたマネージャー達が集まって協議した結果だった。どんな状況においても、清潔であることは、気持ちにメリハリをつけさせることが多いからである。早速プロジェクト専用のトレイラートラックに洗濯設備や洗濯専用水、もちろんTide(タイド)洗濯用洗剤も搭載して、ルイジアナへと向かったのだった。使用した水をタンクにためて持ち帰るという準備もしてあった。



  

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5人から10人のヴォランテイアでなるチームは、32の洗濯機と乾燥機を搭載した巨大なオレンジ色のトラック(オリジナルのタイドボックスの色)で、災地やその地のランドリーマットに行く。


明るい橙色のタイド・Tシャツを着用しているチームは、2週間または3週間、被災者家族のシーツ、タオル、服を洗濯、乾燥、折り畳み、などの作業を無料奉仕している。洗濯を希望する被害者は、汚れた洗濯物を持っていき、そこでチケットと交換し、後で自分の洗いあがった洗濯物を引き取るのだ。ハリケーン・カトリナ以降、ハリケーン、洪水、および山火事にあった全米各地へ、こうしたチームが向かうのだ。タイドのモバイル(可動式)・コインランドリー・サーヴィスを利用することは、被災し荒廃した地域に少しでも希望をもたらせ、その訪問時に汚れた衣服や敷布やタオルの洗濯、乾燥、折りたたみを必要とする何百もの被災者家族に役立っている。


災害時には、行き届いた支援・救援が、国や政府に要請されるが、往々にしてそうしたことは、全ての人々を満足させるほど迅速でもなければ、十分でないのが常である。そこへこのP&Gのような企業が手を差し伸べる形の支援は、社会的にすべての人々(災害被害者)に恩恵を与えられる支援方法ではないだろうか。国に頼らず、ひとりひとりができることを進めていくことは、人間の尊厳の維持にもつながる。まさにこれは、sustainableであると思う。


sustainableという英語は、個人主義(自分勝手とは違う)や自立の国、アメリカではごく普通に使われる単語で、直訳すれば持続可能という意味だが、このP&G社のこのプロジェクトはまさにsustainableな活動であると言える。小さなことでも、である。


このプロジェクトは合衆国・カナダにお住まいの方々は、Loads of Hopeという名のウェッブサイトhttps://tide.com/en-us/about-tide/loads-of-hopeをお尋ねになれば、どのように支援できるか、詳細が書かれている。


日本の企業でもこうしたプロジェクトを始めることを切に願い、なるべく早く被災者の痛みが和らぐ日のあることを祈る。