ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

若いということ

2022-11-16 | 私の好きなこと

 

 

 

二週間前まだ日昇前の暗い、それでも街灯によく照らされた全方向一時停止の十字路で、私の番が来て、左折した途端に十字路正面に待っている筈の若い女性の車が、前方を確認せず(彼女談)、右折し、私のパッセンジャー席側の車体に衝突した。 そのため右前方のドアが開きはしてもきちんと閉じなくなった。 エンジンにはなんの故障もなく、なによりも人身事故でなかったのは幸いである。 

保険会社の被害査定はやっと明日という遅さ。 相手の若い女性はしきりに謝っていたが、いくら夜明け前とは言え、私の車は白く、街灯の灯りも十分についているところである。 被害額査定が芳しくなければ、もう慈善団体に寄付しようと思っていた矢先、ご近所に住む方が、通りがかりドライブウェイに停車していた車を見て、是非買わせてくださいという申し出をした。 「この通りパッセンジャー席の車体が凹んでいるように、事故に遭ったばかりなんです」と夫が説明すると、「保険に任せると、法外な査定で、被害に遭った方に自己負担金という形で、これまた法外な要求するのがオチですよ。私は車体整備や修理をする仕事をしているので、この直しは安くすみ、お譲りくだされば、自分で直します。16歳の娘にちょうどいい最初の車です。」と話す。 20年は使用しているから、どこかに寄附しても構わない考えだったので、もしどなたかのお役に立つならば、という気持ちでいる。

Misfortunes never come aloneという諺のごとく、災いは一つだけ、ということはあまりない。 事故の前後にごく親しいひとから、膠原病と診断された旨知らされた。 ちょうど一年前に10代の頃に膠原病と診断された友人が75歳で亡くなったのがすぐ頭に浮かんだが、この親しい人は、73であるからして、若い時期ずっと健康で二児にも恵まれてきたのを思うと、やはり寄せる年のなせるわざと取ることにした。 なによりも症状の自覚がないのが救いである。

そして先週は大学からメイルで、私がCovid-19感染者と接触したかもしれない可能性があると知らされた。 思い当たるのは、同僚の一人が今週で二週目になるが、ずっと病欠勤していることだ。 夫と私は、10月に5度目の、つまり3番目のCovid-19ブースター接種を終えていて、特に最後のは今現在流行中の型に効き目のある、という種類だった。 予防接種は罹患しないのではなく、罹患後の症状を軽くするのが目的だが、うまく盾となってくれていたらいいという気持ちは十分ある。

今年のインフルエンザ接種も済ませたばかりである。とにかく、薬局や学校で無料でくれるテストキットがあるので、検査して学校に報告せねばならない。 それも今週中に。 症状はないが、症状があったり、テスト陽性であっても、隔離することは必要はない、ということである。 せいぜいマスクでもしていれば?ということらしい。 それでもあまり楽しくはない。 あ、待って、これでだるかったりしたら、家でゆっくり休めるではないか!と閃きもした。 これから来週の感謝祭、続く来月のクリスマスと家族の行事が大切で忙しい時期、ゆっくりできるのは、ありがたく、楽しいではないか。 と、まあ少しは気を取り直している。 

精神的には、民主主義国であるこの国の中間選挙の信じがたい体たらくを再び目にした市民の一人の私は、それだけでもお先真っ暗だが、三島由紀夫氏のように憂国病には陥りたくはない。 それに、誰もこの世が完璧だとは言っていない。 むしろ不完全で、どうしようもないのは、私でさえ知っている。 だからこそ起き上がり、再び歩き始めなきゃ、と自身にハッパをかけている。

そんな時、ふと手にした書棚の書物にあの有名なサミュエル・ウルマンの「青春」があった。 彼は1840年ドイツのユダヤ人住民の多く住む地域に生まれ、1851年にはアメリカへ両親と共に移住している。主に南部州で暮らしたため、南北戦争時には南軍にしばし身を置いていた。 彼は後に実業家、詩人、教育者、宗教指導者となった。 彼の「青春」という詩は、ダグラス・マッカーサー将軍が気に入り、日本にも紹介され、松下幸之助を筆頭とする日本の実業界の重鎮にも愛された。 これはウルマンが70歳代で書いた詩で人生の後期においての力強い言葉は、今でも我々を励ます。 生きていると当然のように忍び込む不安、恐れ、苦悶、などとあらゆる暗雲を少しでも払いたい時の応援の詩である。 そうだった、私も負けちゃいられないのだ。

 

Youth by Samuel Ulman

Youth is not a time of life; it is a state of mind. It is not a matter of rosy cheeks, red lips and supple knees. It is a matter of the will, a quality of the imagination, vigor of the emotions; it is the freshness of the deep spring of life.

Youth means a temperamental predominance of courage over timidity, of the appetite for adventure over the love of ease. This often exits in a man of 60, more than a boy of 20.nobody grows merely by the number of years; we grow old by deserting our ideas. Years may wrinkle the skin, but to give up enthusiasm wrinkles the soul. Worry, fear, self-distrust1 bows the heart and turns the spirit back to dust.

Whether 60 or 16, there is in every human being’s heart the lure of wonders, the unfailing childlike appetite of what’s next and the joy of the game of living. In the center of your heart and my heart there is a wireless station; so long as it receives messages of beauty, hope, cheer, courage and power from men and from infinite, so long as you are young.

When the aerials are down, and your spirit is covered with the snows of cynicism and the ice of pessimism, then you’ve grown old, even at 20, but as long as your aerials are up, to catch waves of optimism, there’s hope you may die young at 80.

Youth is not a time of life; it is a state of mind. It is a matter of the will, a quality of the imagination, vigor of the emotions; it is the freshness of the deep spring of life. These are what I have and what we have at this period of life. So, I’m still young, yes, definitely ! Come on my fellow friends, show your energy and passion to this god damn world ! Let the universe hear our voice, see our cheek, hug our enthusiasm and witness our maturity. We’re going to create a brand new future !

 

青春(訳:岡田義夫氏)

青春とは人生のある期間を言うのではなく心の様相を言うのだ。
優れた創造力、逞しき意志、炎ゆる情熱、怯懦を却ける勇猛心、
安易を振り捨てる冒険心、こういう様相を青春と言うのだ。
年を重ねただけで人は老いない。理想を失う時に初めて老いがくる。
歳月は皮膚の皺を増すが情熱を失う時に精神はしぼむ。
苦悶や、狐疑、不安、恐怖、失望、こういうものこそ
恰も長年月の如く人を老いさせ、精気ある魂をも芥に帰せしめてしまう。
年は七十であろうと十六であろうと、その胸中に抱き得るものは何か。
曰く「驚異への愛慕心」空にひらめく星辰、
その輝きにも似たる事物や思想の処する欽迎、事に處する剛毅な挑戦、
小児の如く求めて止まぬ探求心、人生への歓喜と興味。
人は信念と共に若く、疑惑とともに老ゆる。
人は自信と共に若く、恐怖とともに老ゆる。
希望ある限り若く、失望とともに老い朽ちる。
大地より、神より、人より、美と喜悦、勇気と壮大、
偉力と霊感を受ける限り人の若さは失われない。
これらの霊感が絶え、悲歎の白雪が人の心の奥までも蔽いつくし、
皮肉の厚氷がこれを固く閉ざすに至れば
この時にこそ人は全くに老いて神の憐れみを乞う他はなくなる。

                                                                             

青春とは人生のある期間を言うのではなく心の様相を言う。

 

 

 

 

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