ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

手紙

2018-07-11 | アメリカ事情

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サリーは、外科医が手術室から出てくるのを見てすぐに立ち上がった。「私の小さな男の子はどうですか?彼は治癒するんですよね?いつ私は彼に会えますか?」


外科医は、言った。「申し訳ありません。私たちはできる限り努力しましたが、あなたのお子さんは持ちませんでした。」


サリーは言った。「何故こんな小さな子供たちが癌になるのですか? 神はもうお気にかけないのでしょうか? 私や私の息子が神を必要としていた時、神はどこにいらしたのですか?」


 
外科医はサリーにそっと尋ねた。「息子さんと二人きりでしばらくお過ごしになりますか? 彼が大学に運ばれる前に、一人看護師が数分で手術室の外に出るでしょうから。」彼女はそっとうなづいた。


サリーは手術室に残っていた看護師に、自分が息子にお別れを言っている間、一緒に同室してもらうように頼んだ。彼女は赤いカールがかった息子の髪に愛情のこもった指を走らせた。


「一房、髪の毛をお切りしましょうか?」と看護師は、尋ねた。
サリーはうなずいた。看護師は少年の髪の毛を一房切り、ビニール袋に入れてサリーに渡した。母親は、「ジミーは大学に献体をすることを自ら望み、自分の体や病気について医学生たちに勉強してもらいたい、という考えを持っていました。あの子はそれが他の誰かを助けるかもしれないと言っていました。」


「私は最初はノーと言ったのですが、ジミーは言ったんです、『お母さん、僕が死んだ後、僕はもうそれを使わないんだよ。多分、献体によってもっと研究が進み、他の僕と同じような少年がもう一日長く母親と過ごせるかもしれないでしょう?』。」彼女は続けた。「私のジミーはそんな黄金の心を持っていたんです。いつも誰かのことを、他の人のことを考えていたんです。いつでも他人を助けたいと思っていたのです。」

 

サリーは、この6ヶ月の大部分を過ごしてきた小児慈愛病院を、これきりだと後にした。 彼女はジミーの持ち物の入った袋を車の助手席に置いた。 帰宅への運転は、とても辛かった。 誰もいない家に入ることはさらに辛かった。 彼女はジミーの持ち物の入ったビニール袋と一房の彼の髪の毛の入ったプラスチックの袋を息子の部屋に抱えていった。玩具の車や他のジミーの持ち物を部屋のあちこちに、前においてあったように戻し始めた。 それから、彼女は息子のベッドの上に横たわり、息子の使っていた枕を胸に抱き、泣きくれているうちに寝入ってしまった。


サリーが目を覚ましたのは真夜中ごろだった。 横たわっている彼女のすぐ傍には、一通の折り畳まれた手紙があった。 手紙にはこう書かれていた。


愛するおかあさんへ、

お母さんが僕に会いたいのに会えないと悲しむことをよく知っています。でも僕は『おかあさん、大好きだよ』、と言うのに、そばにいないからと言って、おかあさんを忘れてしまったり、おかあさんを愛さなくなるなんてことは、絶対に思いもしません。僕はいつだっておかあさんを愛しています。いつか再び僕たちは、再会します。それまでは、おかあさんが寂しさを忘れるために、誰か小さな男の子を養子にするとしたら、僕は一向に構いません。その子は僕の部屋で、僕の玩具などで遊べばいいし。でも、代わりに小さな女の子を養子に決めたら、男の子たちとは違うことが好きでしょうから、おかあさんは、お人形を買わなければならないし、女の子の好きそうな物を揃える必要があるかもしれないけれどね。僕のことを考えて悲しむことはないです。今僕のいる場所は、本当にきれいです。僕がここへ着くとすぐに、おばあちゃんとおじいちゃんが僕に会いに来て、周辺を案内してくれたんだけれど、全部を見るのにうんと時間がかかりそうです。天使たちはとてもかっこいいんですよ。僕は彼らが飛ぶのを見るのが大好きです。そして、なんだか知ってますか? イエス様は僕がいつか見たどの絵のようにも見えないってことです。それでも、彼を見た時、僕は彼が誰だかすぐわかりました。イエス・キリスト御自身が僕を神様の御前に連れて行ってくれました!その時どうなったか当ててみて、おかあさん。僕は神様のお膝の上に座り、お話したんです、まるで僕がどなたか偉い方かのように。そして僕は、さようならとかいろいろ伝えるためにおかあさんに、手紙を書きたいと言ったんです。でも僕は、それが許可されていないだろうと思っていたんです。ところが、おかあさん、どうなったと思います? 神様は僕がこの手紙を書くために、何枚かの紙と神様御自身のペンを僕に手渡してくれたんです。確か、ガブリエルと言う名前の天使が、この手紙をあなたにお届けすると思います。神様はおかあさんが神様に尋ねたいくつかの質問の一つに、僕のために、お答えしよう、とおっしゃいましたよ。おかあさんが「私や私の息子が神を必要としていた時、神はどこにいらしたのですか?」という質問をした時、神様は御自分の息子イエス様が十字架に架けられた時のように、僕のいる場所にもいらした、とおっしゃいました。神様はいつでも、神様の子供達一人ひとりの、すぐ傍にいらっしゃるのです。

ああ、ところで、おかあさん、他の誰もおかあさん以外は、僕が書いたものを見ることはできません。他の人にはこれはただの空白の紙です。それはかっこいいことですよね? さて、僕は神様にペンを返さなければなりません。彼は『生命の本』にいくつかの名前を書かなきゃならないんです。今晩僕は夕食にイエス様のテーブルにつくんですよ。食べ物が素晴らしいと確信しています。

あっ、もう少しで忘れるところでした!僕には、もはや痛みがありません。癌はすべて消えちゃいました。僕はすごく嬉しいんです、何故なら、あれ以上もう痛みに耐えられなかったので、神様も僕があまりに痛がるのを耐えられなかったと知ったからです。あの時神様は、僕に慈悲の天使を送り、あの痛みから僕を連れ去って下さったんです。その天使が言うには、僕は特別な配達ですって!

愛と共に。署名:神様、イエス様、そして僕より。」


この少年の画像は本文とは無関係です。イメージはhttps://www.istockphoto.comから。

 

ー作者不詳

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