新令和日本史編纂所

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河野太郎新総理大臣で「北方領土」は還ってくるか。

2021-09-14 11:42:16 | 新日本意外史 古代から現代まで


  河野太郎新総理大臣で「北方領土」は還ってくるか。


河野太郎行政改革担当相は9月10日の自民党総裁選の出馬会見で、対ロシア外交について「北方領土問題を解決し、平和条約を締結していくというのは非常に重要なことだ」と語った。
 河野氏は安倍前政権下の外相とし3年間、日口交渉に携わっている。安倍晋三前首相が18年11月の日口首脳会談で、日ソ共同宣言を交渉の基礎に位置付け、
事実上の2島返還方針に転換したことへの評価について、河野氏は「現時点で申し上げるのは避ける」と述べた。 


ここで先ず北方領土が盗られたそもそもの経緯を振り返ってみる必要がある。何故なら日本人は「ソ連が悪い」と一方的に思い込んでいる。
これに全く異論はないが実は原因はアメリカに在るという事実に目を向けるべきだろう。


 ソビエト極東軍が突如、国境を越えて満州に進攻したのは1945(昭和20)年8月9日未明だった。日本がアメリカに降伏する6日前のことである。
当時、広島に原爆が投下されたことで日本が降伏するのではないかと、ソ連はやきもきしていたという。ソ連は日本と中立条約を結んでいたため参戦できず、このままでは日本をアメリカに持って行かれてしまうからだ。


 そこで、ソ連は日本が降伏する直前に日ソ中立条約を一方的に破棄して参戦し、「ソ連にも日本を分捕る権利がある」と主張する既成事実をつくったのである。
 事実、日本が降伏すると、ソ連のスターリン首相は、「北海道の北半分を寄こせ」とアメリカに主張したがさすがにこれは拒否されている。
 その代わりとしてアメリカは、北方領土の占領を許したのである。アメリカが譲歩したことになる。
だからソ連は部隊を国後、択捉、歯舞、色丹など北方領土へ上陸させ、全千島を占領した。そして日本兵をシベリアへ抑留する。抑留された日本兵は中国大陸の関東軍を合わせ六十万人におよび、厳寒の地での過酷な労働で、
六万人以上が亡くなる。これは、ポツダム宣言(日本に発せられた降伏条件)にある「兵士は、速やかに祖国に帰還させる」という条項に明らかに違反する。
 ソ連-すなわちロシアはそういう国であり、こうした卑劣漢を、日本では「火事場泥棒」と呼んで蔑む。
 その「火事場泥棒」の後継者であるロシアが居直り、北方領土を政治的駆け引きに使ったり、これをテコにして東シベリアのガス田開発をもちかけ、資金援助を引き出そうとしているのが現状なのである。


   
ロシアのプーチン大統領は3日、極東ウラジオストクで開催した東方経済フォーラムで演説し、北方領土に日本企業などを誘致するための特区を創設すると表明した。
また、プーチン氏は、「日本との平和条約がないことはナンセンス」と述べ、平和条約締結交渉の進展に意欲を示している。
安倍前首相は、在職中に約30回もプーチン大統領と会談したのに、この問題を全く進捗させることなく退陣してしまった。今までの交渉と、ウラジミール、シンゾウと呼び合った信頼関係は何だったのか。
時間と金の無駄遣いだったのではないか。


一昨年の東方経済フォーラムで、プーチン大統領は「領土の話よりも、平和条約を締結する方が先決」という意向を示していた。
先日もテレビに、ガルージンロシア大使が出演し、同じ内容を話していた。
すなわち、領土問題は条約を締結した後に、国と国の関係が出来上がってから考えるべきことである、という主張で一貫している。
ロシアからすれば、領土返還と言われても、前述のように、そもそも第二次世界大戦後に米国から譲られた領土であり、「日本に返還する」ということ自体が筋違いであるという認識である。
それに日本は決定的な外交上の間違いを犯している。




数年前に領土問題について協議した時、谷内正太郎氏がロシアのラブロフ外相から「日本領になった時には日米安全保障条約の対象になるのか」と問われた際、
「日米安保の対象になる」と回答したことが致命的だったのである。


日米安保の対象となるということは、米軍が駐留することを意味する。
これはロシアにとって大きな内政問題に発展する可能性があり、それを解決しない限り領土を引き渡すことなどできないというのは当然と言えるだろう。
この谷内正太郎は、外交官で事務次官にまで登り詰め、安倍内閣で初代国家安全保障局長になっている、外交と危機管理のプロなのである。


それが「北方領土にも米軍基地はありうる」と答えたのだから、ロシアは仰天しただろう。
ロシアという国家は、古来より異民族の侵略が繰り返された国である。韃靼、蒙古、ナポレオン、ヒットラーのナチス。そして日露戦争では日本に負けている。
モスクワから見れば極東の一小島に過ぎない北方四島だが、戦略上の重要位置なのである。


テレビで解説している外務省のOBたちは、様々な言い訳を並べて、谷内贔屓で庇っているが、「日本外交の大失態」には間違いない。
ちなみに私は外務省廃止論だから、明治の外交官は国益を考え剛直な者が多かった。
しかし昭和の戦前戦後外交を見渡せば「軟弱パーテイ外交」で、骨のある外交官は少ない。だから国家に害を及ぼす「害務省」と呼んでいる。


そのような事情を踏まえて、日米安保の対象外とする代わりにロシアから統治権を譲り受ける、というのが最善の落とし所だったのではなかったか。
しかし残念ながら、当時の安倍前首相にはそれを実行に移すだけの裁量と器量がなかったということであろう。


このような経緯から考えれば、今回の経済特区というのは当然の帰結になる。
河野太郎氏は、当然こうした裏事情も理解しているだろうから、首相になったら是非頑張ってもらいたい。その内容は、
そもそもアメリカ外交の失敗に端を発した領土問題だから、
先にアメリカと外交交渉で、「北方四島は安保条約の適用外」という確約を執った後、ロシアと平和条約を結び、その後歯舞と色丹両島の「施政権」だけを日本に引き渡してもらう。
ロシア住民は日本国籍でも、ロシア国籍でも彼らの自由意思に任せる。これが当面の解決策になると思う。



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