9日目
今日からミルワームの他に、栄養がかたよらないように、
小松菜の粉末と、きなこなどが入った野鳥の餌を練って、あたえてみました。
くちばしにくっついて、なんだか食べにくそうにしています。
チュンコには不評のようです。
チュンコは餌をくれる夫にすっかり慣れて、
「チュンコ、ごはんだよ。 チュッ、 チュッ、 チュッ・・・」
と呼べばそれに答えて
「チュン、チュン チュン」
と鳴きます。
毛も生え揃ってきて 【毛玉ちゃん】になってきました。
今日もいつものハナミズキの木の枝に、チュンコの巣箱がかすかにゆれて、
時折すずめたちが、遊びにきています。
元気な鳴き声が聞こえていました。
「そろそろお腹がすいたかな?」
巣箱に近づいた夫が、大声をあげました。
「チュンコがいない!」
チュンコ! チュンコ! チュンコ~
あわてて、木の下の茂みの中を、一生懸命探しました。
家の周りも探して歩きました。
(猫か?・・・からす?、チュンコの悲惨な姿が頭をよぎり、見たくない
探したくない・・・)
そう思いながらも、必死で探しました。
襲われたような物音も、鳴き声も聞いていません。
襲われたような羽の残骸も落ちていません。
チュンコは、どこにいったのか・・・
家の中ではまだ巣から飛び出すことは、ありませんでした。
与えられたミルワームを食べても、自分で拾って食べることは
まだしませんでした。
巣立つにはまだ幼すぎたような気がします。
しかし、私たちが知らないうちに、親が教えていたのでしょうか・・・
巣から飛び出し、ママについて行ったのでしょうか・・・
ママと再会して以来、たくさんのことを教えてもらい、
チュンコは野生にもどったんだ!
(猫なんかに襲われたのではない。絶対に襲われたのではない・・・)
それは、5月5日のことでした
チュンコがいなくなって、今日で2週間、
チュンコは成長し、今頃は大空を飛んでいることでしょう。
黄色に染まり始めた麦畑を眺めながら、飛んでいるのでしょう。
田植えが終わった田んぼの上も、飛んでいるのでしょう。
ハナミズキにやってくるすずめちゃんたちの中に、
今日もチュンコの姿をさがしてしまいます。