ざっきばやしはなあるき  

雑記林花或木 Since 2005-01-01 
美術とか映画とかなんとなくぶろぐ 

「若冲が来てくれました」 in 仙台

2013-04-27 20:48:49 | 美術[さ]
「東日本大震災復興支援 若冲が来てくれました
  プライスコレクション江戸絵画の美と生命」@仙台市博物館


 伊藤若冲などプライスコレクション100点ほどを展示する展覧会が開催中。3/1から仙台市博物館、5/18から岩手県立美術館、7/27から福島県立美術館と、被災地となった東北3県を巡回する。ジョー・プライス氏が東日本大震災の惨状に心を痛めて、被災地の子供たちに元気になってもらおうと考えた展覧会。なので高校生以下は無料で観覧できる。残念ながら私はもう高校は卒業してしまったので無料ではない。

 というわけで仙台に行ってきた。仙台は人生で2度目、大して行ってない。前回行ったのは1990年で、デジカメの無い時代だったのでコンパクトなフィルムカメラを持って行った。写真アルバムを見直したら、伊達政宗像だけはしっかり撮ってあった。

 2006年に東博に来たプライスコレクション。今回のターゲットは子供なので、動物を描いた絵を重点的に展示している。升目描き 《鳥獣花木図屏風》 は目玉品目、あれやこれやの動物だらけで、この展覧会に相応しい絵である。今回はガラスケースの中ではなくて、むき出しかぶりつきで展示されている。今回も若冲の作品は十数点。

 同じ升目描きの若冲の印章が付いている 《白象群獣図》 からの類推で、この作品も若冲の作とされているが、ホントはどうなのかわからないらしい。ほぼ同様な静岡県立美術館の 《樹下鳥獣図屏風》 もあって、どちらも若冲なのか、どちらかは他人の模倣なのか。この 《鳥獣花木図屏風》 には周囲が額縁のように描かれているので豪華な感じがする。仏教の思想とのかかわりがあるというので、きっとこの絵は、涅槃図の釈迦の周りに集まる動物たちを、釈迦目線で描いた絵なのだろう。それにしては呑気にあっち向いて水浴びしている馬もいるけど。

 長沢芦雪 《白象黒牛図屏風》 も大きな作品。屏風からはみ出す巨大な象の背に乗るカラス、巨大な牛の足元でなぜか笑顔の白い仔犬がおちゃめでかわいい。MIHO MUSEUMから国内賛助出品の伊藤若冲 《象と鯨図屏風》 は展示替えで既に無かった。

 森徹山 《松に鶴図屏風》 の鶴の多さには引く。水辺にひしめく大量の鶴、空からはまだまだたくさん飛んできている。でも鶴でよかった、これが全部巨大な虫だったら・・・ それはさておき、この屏風は描きかけの遺作となっている。色付けしている最中に幕府に呼ばれて江戸に行き、なぜかそのまま亡くなったらしい。だから浜辺の鶴の多くは色が付いているが、輪郭だけの怪しげな飛翔物体が白いまま残っている。

 この展覧会の図録は一回り小さなB5サイズで730g、旅人フレンドリーな持ち運び易い手頃感についつい買いたくなってしまう。ちなみにアナザーワールドの図録はA4サイズで1600gもあった。大きければ見やすいのは確かなんだけど、買った後それを持って市内観光とか考えると、ぞっとする、背筋が凍る、血の気が失せる、ホントに軽くてよかった。


 図録には、子供にも分かりやすく振り仮名が付けてある。さらに全作品に「子供向け作品名」というのが付けられている。たとえば 《軍鶏図》→《のし歩くシャモ》、《料理屋梧桐林店頭図》→《レストラン「ごどうりん」》、《簗図屏風》→《ヤナにかかったアユとカニ》、《仏涅槃図》→《<おしゃかさま>がお亡くなりになりました》 などえとせとらなどえとせとら。

 ミュージアムショップには 《鳥獣花木図屏風》 をあしらったグッズがいろいろ。木製のトレイ、ルービックキューブ、Tシャツ、iPhoneケースなどえとせとらなどえとせとら。



 博物館を出ると裏道を登って仙台城跡、例のあの伊達政宗公騎馬像の所へ。


 ここはぜんぜん変わってない、と思ったら、昭忠碑:金鵄像のとびが震災で落下破損したままになっていた。


 ここからは眺めが良く、仙台市内が見渡せる。その眺望の中に小さく白いアレが見えた。




 次の日、アレを見に行った。大観密寺の仙台大観音。高さが100m 展望室が68m 海抜181mの場所に建っている。120mの牛久大仏には届かぬものの、国内第2位を誇る巨大建築仏。1991年に仙台市制100周年を記念して建てられたので100mというわかりやすい単位。牛久大仏と並べてみたい。

 この白衣観音の凄さは、山上でもなく広大な草原でもなく、住宅地に隣接して建っていることで、ちょっと離れた所から見ると、家屋や道路との対比でさらに巨大に見えて喜びも倍増。右手にはドラゴンボールというか宝珠が、左手には67トンの知恵の水が入るという水瓶が。何かに気を取られているのか水瓶は下を向いて、知恵の水ダダ漏れこぼし放題←いやそういうことじゃないが。

 だんだん


 だんだんだんだん


 だんだんだんだんだんだん


 だんだんだんだんだんだんだんだん


 近くなった


 正面の龍の口から中に入る。体内1階には作りがきれいな三十三観音や黒っぽい十二神将が並んでいる。


 ひとまわりしてエレベーターで展望室まで上ると、周囲の小窓から遠景を見ることができる。天気が良ければ大平洋も見えるようだ。展望室からは延々と下まで螺旋階段が続く。1周50mくらいはありそうな螺旋を下りながら、各階ごとに百八体仏を見て回る形式になっている。途中でリタイヤする場合はエレベーターで降りればよい。延々と続く螺旋階段を見ていると飛び降りたくなる人もいるのかもしれないが、2階の上にちゃんと網が張ってあるので成仏はできない。


 建立当時は賑わっていたらしいが、展望室から眼下を見ると、誰も使ってないような広大な駐車場が広がっている。足元には仙台大観音プラザハウスという施設があるが、中には中国工芸品を売っている店がぽつんとあった。そこはかとなく寂しかった。

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プリツカー賞建築ツアー

2013-04-23 20:21:33 | イベント
 アートテラーとに~さん主催、講師はお笑い建築家soさんによる、大東京お笑い建築ツアー【プリツカー賞ってナンだ?編】に参加した。“「建築界のノーベル賞」と呼ばれる「プリツカー賞」に、建築家の伊東豊雄さんが選ばれた”という最近の話題を記念して、プリツカー賞を受賞したことのある建築家の建造物を見て歩くツアー。

 京王線仙川駅付近にある、安藤忠雄設計のビルが立ち並ぶグレーゾーン、じゃなくて、安藤ストリートと呼ばれるエリアから始まったツアー。その一角にある(東京都を代表する美術館かと勘違いしそうな名前の)東京アートミュージアムも安藤忠雄設計のコンクリート打放し、吹き抜け3階建ての細長い美術館は、山梨の清春芸術村にある、同じく安藤忠雄設計の「光の美術館」と似たような雰囲気の物件だった。

 その後は駒場東大前から富ヶ谷、表参道、青山へとズルズルと、4月とは思えぬ肌寒い街を歩きながらのプリツカー見物、昼まで降っていた雨が辛うじて止んでいたのが幸いだった。

 最後は解体中の赤プリを遠巻きに見学。丹下健三設計で1983年に開業した40階建て138.9mの新館が解体されてダルマ落としのようにだんだん低くなってきている。結局、宿泊したこともないうちに消滅してしまう。ただ、赤坂見附の辺りを歩くときの目印として使っただけだった。

・安藤忠雄 : 安藤ストリート(仙川)

・槇文彦 : 東京キリスト教会(富ヶ谷)

・妹島和世・西沢立衛 : Dior(表参道)

・伊東豊雄 : TOD'S(表参道)

・ヘルツォーク&ド・ムーロン : プラダ(青山)

・ザハ・ハディッド : ニールバレットの内装(青山)

・伊東豊雄 : 南青山Fビル(青山)

・丹下健三 : 赤坂プリンスホテル(赤坂見附)【解体中】

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仏像半島

2013-04-23 19:13:06 | 美術[は]
「仏像半島 -房総の美しき仏たち」@千葉市美術館


 千葉県の仏像をたくさん展示する展覧会、行く前に、アートテラーとに~さん主催のトークライブ「仏像半島の歩き方」を拝聴、講師は東京芸大助教授の芹生春菜さん。割と基本的な事を中心に、今回の展覧会での見仏のポイントなどを、とに~さんとの軽妙な掛け合いを交えてお話し頂いた。千葉モノレール開業25周年、ちばミュージアムウォークの一環としてのイベントで、千葉モノレール千葉駅2階のパフォーマンススペースで行われた。

 千葉県には150体ほどの仏像が点在しているということで、房総半島各地から仏像展というタイトルに相応しく、けっこうな数の仏像が来ている。十二神将、二十八部衆、七仏薬師などを小分けにしたら頭数はグンと増える。多勢に無勢だ。

 金剛力士像に迎えられて入場すると、関東でも最古といわれる飛鳥時代の薬師如来、当時のままなのは頭部だけとはまるでサイボーグ医師である。七仏薬師如来像も3セットあり、真ん中だけ大柄だけれど7体とも薬師如来だということで、大きな総合病院のようなものだ。でも七仏女医観音像というのはなかった。

 八千代市の正覚院にある清涼寺式釈迦如来立像は、衣に細かい切金模様が施してあり、それがキンキンキラキラ光ってつい見とれてしまう美しさ。

 今回いちばん個性的だったのは、南房総市の真野寺から来た千手観音。お面をかぶっているのだ。覆面観音と呼ばれるこの像は、強すぎる霊力を封じるためにお面をかぶせたという伝説が伝わっているのだそうだ。キョンシーみたい。そのお面の下の真の顔は誰も見たことがないという話だが。頭の後ろからヒモで結んであるお面は能面のように無表情、顔が裂けてる宝誌和尚を見た時と同じくらいインパクトがある。

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『ライジング・ドラゴン』

2013-04-15 23:57:35 | 映画[ら]
『ライジング・ドラゴン』

 ジャッキー・チェン最後のアクション映画、なんていうから記念に見ておこうかと思ったのさ。ほとんどコメディ路線だけど、最後だとばかりにアクションシーン満載、え?またかよ? え?そこで闘っちゃう? というほどアクションシーンいっぱいで、よかったといえばよかったのかな。最後だし。

 ジャッキーの役はトレジャーハンターJC、ハイテク秘宝泥棒みたいなもんかな。19世紀に略奪された国宝を奪い返して国に返すとかいう件も、対馬から仏像をかっぱらった某国公認の窃盗団を思い出してしまって、ちょっと引く感じもあるけれど、まぁそれはそれとして、ジャッキー・チェン最後のドタバタアクション喜劇は存分に楽しめる。

 映画館に「ジャッキー・チェン大ケガの歴史」というでかいポスターが貼ってあった。失明寸前、半身不随寸前、脳出血とか、まさに満身創痍。これだけ全部いっぺんにやってきたら死ぬだべや。もう60歳近いので、今後は落ち着いた役をやるのだろうか。でも多分、ときどきちょこっとアクションシーンを挟んだりして、それだけで話題になったりもするんだろうなぁ。
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SONY α NEX-6

2013-04-14 23:15:14 | 電子機器
 APS-C CMOSのミラーレスを買った。重量345g、標準の電動ズームレンズ116gで合計461g。見た目の質感も悪くない。昨年11月発売から5か月が経っているので値段もこなれてきた。NEXシリーズはもともとコンパクトさが売りだったが、小柄なボディの全高からレンズがはみ出した独特のシルエットが印象的なシリーズ。NEX-6はNEX-7と同様に電子ビューファインダー付きなので全高が伸びて一般的なシルエットになっている。

 付属の標準レンズは薄型電動ズームで、よりコンパクトになった。35mm換算で24mmから始まる広角ズームは、いつも持って歩くコンデジと同じなので安心できる。ズームレバーの他にズームリングでも操作できて、1mm単位で細かくズーム幅を調節できるので、電動だからと言って使いづらいわけでもない。

 背面液晶モニターは3.0型ワイド92万ドットで便利なチルト可動式。3.0型ワイドとはいえ、液晶右側をボタン・スイッチ類の画面操作情報に使っているので、表示される画像は2.7インチ程度になっている。電子ビューファインダーは0.5型236万ドット液晶、炎天下での撮影も多少は楽になりそう。

 モードダイヤルもフラッシュもファインダーも付いてこのサイズなら持ち運びもしやすい。ハンドグリップも適度な大きさとラバーの手触りが心地よい。モードダイヤルの下にコントロールダイヤルが鏡餅状態に配置されているが、ちょうどよく親指の腹にコントロールダイヤルが当たるので何の問題もなく使える。

 NEX-6とNEX-5RはWi-Fi機能を搭載しているので、別途Eye-Fiカードなどを用意しなくても、スマホなどに転送できる。そのWi-Fi機能を使ってアプリをダウンロードして機能を追加できるPlayMemoriesも搭載。USB接続してPC経由でもアプリをダウンロードすることができる。「ピクチャーエフェクト+」や「フォトレタッチ」などの無料アプリの他、有料のアプリも用意されている。うまいことを考え付いたものだ。そのうちデジカメ買っても、有料アプリ入れないとシャッターも押せない時代が来たりして。

 無料アプリ「スマートリモコン」を入れるとWi-FI機能により、スマホのほうで被写体を確認しながらシャッターを切ることができる。可動式モニタでも自撮りできないかわりにスマホリモコンならできる。有料アプリ「モーションショット」を入れると、連写画像を重ね合わせて、被写体の動きの軌跡を一枚の静止画にすることができる。これはちょっと面白そう。

 充電は本体からUSBケーブルでACアダプターに直接つないで行う。充電中にカメラのスイッチを入れると「USBモード接続中」の文字が出て操作はできない。同じSONYでもコンデジのWX100の場合、スマホ用のACアダプターでも普通に充電できるのに、NEX-6は締め付けが厳しくなっていて、専用のACアダプターでないと充電ランプが点滅してエラーになってしまう。PCに接続する時は普通のUSBケーブルで充電できる。

 オートフォーカスをAF-C(コンティニュアス)にすると画面がぶよぶよがちょ~んみたいに歪む。壊れたかと思ったが、いろいろ調べてみたらそういう仕様だそうだが、キモイ。絞りを6.3より小さくするとぶよぶよが目立たなくなるようだ。それにしても、キモイ。
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『ジャンゴ 繋がれざる者』

2013-04-12 20:56:51 | 映画[さ]
『ジャンゴ 繋がれざる者』
 
 クエンティン・タランティーノ監督のいかにも西部劇ふうな西部劇。R15指定だけあって撃たれて死ぬ人多すぎ。まあしかし西部劇の頃なんかは実際そんなものだったのかもしれない。大概の西部劇は撃たれて死ぬ人多すぎ。

 国家的恥部である奴隷制度のあった時代の西部劇。主人公のジャンゴ(ジェイミー・フォックス)は奴隷、それが何の因果か賞金稼ぎの手先、おまんら許さんぜよ!というわけで、売り払われた妻を奪還するためにさすらう物語。

 坦々と進行するストーリーだが、なんとなく引き込まれて見ているうちにレオナルド・ディカプリオが登場する。出演していることはわかっていたが、出てくるまでそのことをコロリと忘れていた。出てこなくてもじゅうぶん面白かったのだ。

 そしてサミュエル・L・ジャクソンも登場して、強烈なインパクトで話の腰を折る←まさにそんな感じ。彼さえいなかったら万事うまくいったのに。
 
 なんと『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』にもちょこっと出演していたクエンティン・タランティーノさんがこの映画でもちょこっと出演している←本末転倒な言い方だ。タラちゃんは自分の映画に出演しても大抵ヘマをやる役だが、今回も期待に答えるに違いない。
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