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富士の山ビエンナーレ

2014-11-09 19:15:42 | 美術[は]
「するがのくにの芸術祭 富士の山ビエンナーレ」

 街中アートロジェクトが静岡県にも登場。今年が1回目で、富士市、富士宮市、静岡市にまたがるエリアで2年ごとに開催される予定の現代アートプロジェクト。開催地は、富士駅近辺の「富士本町エリア」、富士川駅近辺の「富士川エリア」、新蒲原駅近辺の「蒲原エリア」、由比駅近辺の「由比エリア」、入山瀬駅近辺の「鷹岡エリア」で、富士川を挟んだ両側の5か所になっている。「富士の山ビエンナーレ」より「富士の川ビエンナーレ」のほうがしっくり来そうな場所である。「するがのくにの芸術祭」という長いサブタイトルも付いているけれど、どっちで呼んだらいいのか迷いそうだ。観覧は無料で11月30日まで開催中。

 およそ25か所の既存の建物内でアート展示がされている。評判が良ければ次回は増えるかも。いちばん充実しているエリアは蒲原エリアで、11か所で20人以上のアーティストの作品を見ることができる。蒲原と由比は海が近い旧東海道宿場町なので、アート展示のほかにも、旅籠の並んでいた町並みや歴史的建物や駿河湾の景色などを見ながら、海の幸でランチなどするのもいいかもしれない。由比の東海道広重美術館で横浜眞葛焼展も開催中(11月16日まで)

 越後妻有や中之条のような人里離れた広域プロジェクトではなく、東海道本線と身延線の駅周辺か、歩いて回れる距離なので、電車で行くこともできるし、1日で全部回ることも可能だと思う。

 オススメの物件は、蒲原エリアにある旧五十嵐歯科医院。インフォメーションセンターでもあり、12アーティストの作品が大正時代の洋館内や中庭に展開している。国登録有形文化財に指定されている窓だらけの建物の中には、古い治療用椅子が置いてあった。中庭の先には真っ白いなまこ壁の蔵があり、そのまた先にある建物は熱海の芸者さんがはるばる歯の治療にやってきた際の宿泊施設だったそうだ。そのくらい腕のいい歯医者さんだったのだろう。


 旧蒲原劇場はけっこうくたびれた建物だが、2階の映写室にはむか~しむかしの映写機が置いたままになっていて古き良き時代を感じさせる。


 由比の大法寺書院は60年くらい前の建物だが、高台にあるので、町並み越しに駿河湾が見渡せる。この景色のよい書院の2階には臼井良平さんの作品が展示されている。ガラスを加工した本物そっくりなペットボトルを使用した作品で、説明されなければペットボトルが転がっているとしか思えない。

 富士川エリアの小休本陣 常磐邸には岩崎永人さんの「川木シリーズ」が展示されている。富士川に流れ着いた流木を集めて作られた実物大の人体像が不思議な雰囲気を醸し出している。木片なので顔もへったくれもなく、まるで内臓標本に見えたりもするのだが、その堂々とした佇まいや繊細な動作を現した人体は、逆に人間の鼓動が聞こえてきそうな生き生きとした表情を見せる。作品としてはこれがいちばんよかった。


 使わなくなった建物だけでなく、今も住んでいる家屋の土間に作品を展示したりもしている。古き良き建物だけでなく、蒲原のよし川という高そうな、うなぎ料理屋の2階にも作品が展示されている。1階は営業中で、こんな店に立ち寄ったら、思わずうな重を注文してしまいそうだ。それはもちろん店の狙いでもあるのだろう。

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