今日が良い日でありますように。
夜 眠る前からそう願っていた。
笑顔溢れる日でありますように。
誰も傷付ける事がありませんように。
あまりに毎日が速く過ぎ去ってしまうから、
先の事ばかりを目で追って、あまり振り返っている余裕がなかった。
毎日どんな顔をしてきただろう。
怒った顔ばかりしてきたのではないだろうか。
ちゃんと笑顔でやってこれたの?
ただ自分の事だけを願ってきたあの日。
これまで、どれだけの人に支えられてきたか忘れてしまっていたかのようだった。
もう一度会いに行くって決めたから、同じ道を歩いて向かった。
まっすぐ延びた細い道。
願いを叶える 岩へと続く畦道は、私の好きな神の道。
この島と この島で私を支えてくれた人達がずっと幸せでありますように。
今年も、みんな無事に種子取祭を終える事が出来ますように。
目の前に浮かぶ二つの大きな岩と 二か所の御獄に願いをかけた後、しばらく腰を下して岩を眺めていた。
この島に来て、どんな人と出会い、何人の見送りをし、
どれだけ泣いて、どれだけ笑って、どれだけ怒って、どれだけ幸せを感じたか。
楽しかった事も、辛かった事も、嬉しかった事も、寂しかった事も、
どんな事も、忘れる事は出来ても、消す事は出来ない。
この全てがあって、今の私があると言う事。
思い出していた。
初めて浜辺で働いた日の事、
運動会の日の事、
成人式の余興に出た事、
花火を見た日の事、
皆でペットボトルを圧縮していた日の事、
種子取祭の後に涙が止まらなかった事、
海に沈む夕日が見事だった事、
ほうき星を見た夜の事、
皆でケーキを食べた日の事、
涙が止まらなかったあの日の事。
何をするにも、何処へ行くにも、たいてい一人な私だけれど、
思い出した日の出来事は、いつも誰かと一緒だった。
丁度二年前の私が、今でもこの島に居る自分を見たらどれだけ驚くだろう。
懐かしかったのか、嬉しいのか、辛かったのは知らないけれど、
こうして、二つの岩を見つめながら、
右の眼から、スーッと涙が一本流れて行った。
色んな事があったねと、涙が一本流れて行った。
人の優しさに触れ
人の厳しさを感じ
何が一番大切なのかを知った この島での生活は、
今でもやっぱり、私の人生の中の最高の時だ。
もし誰かに“この島が好きですか?”と聞かれたら、
今なら真っ直ぐその人の目を見て言えるだろう
はい、この島が好きです と。
本日の竹富島、曇り&小雨処により雷 気温32度。
こうして、今日で三年経ちました。 ♪