滴翠美術館
秋季展 開館50周年記念 山口吉郎兵衛コレクション「利休と樂焼」
期間:9月16日(火)〜12月14日(日)
赤楽茶碗 銘 勾当 長次郎作
口縁部がそっており形は熊川に似ている。長次郎作の茶碗としては異形であり色も茶に近い。利休の花押(ケラ判)が高台にある。銘の「勾当」とは長次郎(利休)七種の楽茶碗「検校」に次ぐことから(盲官(盲人の役職)では「検校」の次位に「勾当」があたる)。
赤楽茶碗 銘 有明 本阿弥光悦作
口部はスパっと切り取られたような光悦独自のもので、内外に2本の金繕がみられる。
赤楽であるが青窯変により全体が薄緑色で、中央の亀裂付近だけほんのり赤く銘はそこから付いたと思われる。
黒樂茶碗 銘 本法寺 本阿弥光悦作
ツヤのある肌で「時雨」系の作品だが口縁は薄く反った形をしています。
光悦の孫(光甫の弟)で本阿弥家の菩提寺である本法寺の僧日允上人が所持した事から銘が付けられた。
竹茶杓 武野紹鴎作
節が無く露は蓮弁形20.1cmと長く象牙茶杓を手本に作られている。千少庵・宗旦が所持した。
竹茶杓 北向道陳作
双樋で丸撓。止め節で長さは20.5cmとかなり長い。筒は松平不昧作。
共筒茶杓 銘 太子屋休把殿参 藪内剣仲作
双樋で丸撓で中節。節上にシミがある。筒書の「太子屋休把」は堺の茶人である太子屋宗高・宗有その人かまたは縁者であろうか。
共箱茶杓 珠光写 千宗旦作
シミ竹、露は右肩上がりで丸撓、櫂先は非常に幅広である。共箱(筒ではない)は一閑張で黒漆塗りとなっている。
珠光写の茶杓であるが中節があり、これは宗旦のオリジナルであろう。全体的には有名な茶瓢ではなく福岡市美術館で拝見した珠光作とされる茶杓に近い形をしている。
面白の歌入消息 千利休筆
神無月三日付藪内剣仲宛。前日茶会の礼状。道具ばかりに拘るのは侘び茶ではないとし「有人のあるにまかする茶湯より なくてそ出す侘ひはおもしろ 一笑一笑」の歌が記されている。利休の考える茶の湯の一端が垣間見える消息です。
その他茶杓では古織作「鶴」に高山右近の「御坊へ」・細川三斎の作と利休七哲のうち三者の茶杓が並べて展示されておりました。楽茶碗も初代長次郎から13代までがずらっと並んでおり壮観。
滴翠美術館、名前は知っていたのですが中々訪れる機会がなく、今回はじめて行きましたが結構充実した展示でした。
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