アオクジラ-Bluepain-

日々徒然に思ったことを書き記します。ワッショイ!

先祖帰り

2008年11月02日 00時33分52秒 | テキスト
どうして私が犬なんかになったのか
不思議でならなかった。
普通、生まれ変わりは同級か上級なものとして
成就するのではなかったか。

新しく見える世界は地面に近く天はやたらと高い。
意に反してブンブンと忙しなく動く尾が
疎ましくてならなかった。

ほら、またひとり人間が近づいてきた。

人はほとんど皆無と言って良いほど他人に興味がない。
否、そんな事はないというのなら言い換えよう。
人は自分に興味、或いは好意を持ってくれる人には興味を示す。

だから、一日何百、何千人という見知らぬ人とすれ違っても
その人の顔さえはっきりと認識はしていないし
常識であることのように他人のことには見てみぬ振りをする。

にも拘らず、犬や猫には驚くほど無防備に興味を示し近づいてくる。
それは何故か、それは我々が言葉を持たないからだろう。
言葉を持たない我々には言葉は伝わらない前提で接することができる。
だから伝わらないことに傷つくこともない。

なんて臆病で不器用な生き物なのだろう。
私はそんな彼らを憐れに感じて好意を示してみせる。

ああ、私は今ようやく気がついた。
我々が言葉を持たないのは
「持てない」のではなくて「必要としない」からだったのか。

つまり生まれ変わりは正しく行われていたということだ。