アオクジラ-Bluepain-

日々徒然に思ったことを書き記します。ワッショイ!

週末のプール

2009年09月19日 13時10分20秒 | テキスト
プールサイドに独り
水着姿で彼女は座っていた。

膝を抱え込んで少し背を丸めて水面見つめている。

残念ながらそこには艶かしいボディラインもなければ
光を跳ね返す透き通る肌もなくて
季節に至っては夏ですらなかった。
正確にはこの世界に夏はもう来ないのだけれど…

それは少しの期待と諦めの入り混じった痛々しい風景。

終わりがあれば始まりもある
ポジティブをひけらかして誰かが言っていたけれど
ここには、これから先には「始まり」はない。
ただ、緩やかにおとずれる終わりが在るだけ。

彼女は相変わらず何処かを見つめている。
その光景を見かねた僕が
レモネードを携えて隣へやってくる事を知っているからだ。

それからの会話は決まっている。

「何が見えた?」
「何も見えない…」

明日も彼女はプールサイドに座るだろう。
明日も僕はそれを眺めるだろう。
明後日もそれから次の日も
二人でレモネードを飲むのだろう。

ストローを通って強めの酸味が喉を刺した。
その日が来るまでには
もう少し美味しいレモネードが作れるようになっているだろうか。