いつも寝不足 (blog版)

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わたべ淳『遺跡の人』

2008年01月14日 | マンガ・アニメ
わたべ淳と言えば、私が高校生の頃に『レモンエンジェル』をヒットさせた作家。かわいらしい絵柄とHで軽めのストーリー展開がいかにも青年誌向けの作品であった。私も3巻か4巻まで持っていたと思う。

遺跡の人 (アクションコミックス)
わたべ 淳
双葉社

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作家が作家活動だけで食べていくのが大変なのは今さら言うまでもない話で、一つ当てたからと言って、それで将来が保証されているわけではない。ご多分にもれず、わたべ淳も作家活動だけでは食べていけなくて(※)遺跡発掘のアルバイトをした8ヶ月間の体験を元にしたのが本作品。
(※)夫人が高見まこなので単純に食べられる食べられないという問題ではなさそうなことが示唆されている。ただし、詳細は語られていないので不明。

吾妻ひでお『失踪日記』みたいなものを期待してはダメ。作風も絵柄も全然違うのだから当然なんだけど、帯に「『本当』だから胸を打つ問題作 元売れっ子漫画家の哀愁バイト生活」なんて書いてあって、柳の下のどじょうを感じさせて、販売戦略的には仕方ないとは思うが、作品の特徴を誤解させるおそれがあると思う。

私は良いと思いますよ、この作品。980円という値段に釣り合うかと訊かれると微妙な気もするけれど、遺跡発掘作業やそこで思ったこと出会った人々があっさりと描写されていて、変に盛り上げないところが却って良い。大体、人生なんてほんの僅かな瞬間を除けばドラマチックなことなんて殆どなく過ぎていくわけで、実体験に基づく日々をことさら大げさに描いてみせる方が変でしょ。

では、何もないのかと言われれば、さにあらずで、小さな事件(同僚が辞めた、新人が逃げた、妻から別居についてメールされた、専門学校の教え子が自分の席を奪いそう、などなど)は起こるけれども、それらに強い光が当てられることはなく、つーっと過ぎていく日常の連続が描かれている。

【工事中】
もう一段落、締めとなる部分を書きたいのだが思いつかないままに取り敢えず公開。


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