平日の夜、最寄の駅から自宅へ、一人夜道を歩く。足早に。
電車を降りて、階段を上り、改札を通り、階段を降りる。駅舎から出ると、当然暗い。角のセブンイレブンを曲がると、街灯のみの、薄暗い夜道だ。
一連の動きの中で、人気が無くなり一人になる時、ふと思う。
しあわせだ。なんの変哲も無い、ただの帰路だが、そのなんの変哲もないということの素晴らしさ。とりあえず、歩けている。特に大した考えごともせず、ただの移動時間だ。それなのに、そういうことを確保できているという事自体がすばらしい。
光り輝くしあわせではない。誰かにしゃべりたくなる幸せではない。顔が喜びに満ち溢れるしあわせではない。
淡々と歩いている、という幸せである。
仕事、プライベート、社会、思うことは色々ある。しかし、そういうことがありながら、それらから隔絶して、一個の動き回る生物として、月の下、冷えた空気の中を着実に歩いている。次の瞬間には何かの餌食になっているかも知れない。しかし、今この瞬間、心臓は脈打ち、目は前を向き、足は動いている。生きているから動いているのではない。動いているから生きているのである。
これ以上の幸せがあるであろうか?
世の諸事は、このしあわせに比べると、色あせる。動いていればこその諸事は、付録である。本章は、動いているこの個体そのものである。
さあれば、しあわせは他に求めるものでなく、自分の中にもともとあるものを、見つけ出せるかどうかにかかっている。
私は、今が幸せである。
電車を降りて、階段を上り、改札を通り、階段を降りる。駅舎から出ると、当然暗い。角のセブンイレブンを曲がると、街灯のみの、薄暗い夜道だ。
一連の動きの中で、人気が無くなり一人になる時、ふと思う。
しあわせだ。なんの変哲も無い、ただの帰路だが、そのなんの変哲もないということの素晴らしさ。とりあえず、歩けている。特に大した考えごともせず、ただの移動時間だ。それなのに、そういうことを確保できているという事自体がすばらしい。
光り輝くしあわせではない。誰かにしゃべりたくなる幸せではない。顔が喜びに満ち溢れるしあわせではない。
淡々と歩いている、という幸せである。
仕事、プライベート、社会、思うことは色々ある。しかし、そういうことがありながら、それらから隔絶して、一個の動き回る生物として、月の下、冷えた空気の中を着実に歩いている。次の瞬間には何かの餌食になっているかも知れない。しかし、今この瞬間、心臓は脈打ち、目は前を向き、足は動いている。生きているから動いているのではない。動いているから生きているのである。
これ以上の幸せがあるであろうか?
世の諸事は、このしあわせに比べると、色あせる。動いていればこその諸事は、付録である。本章は、動いているこの個体そのものである。
さあれば、しあわせは他に求めるものでなく、自分の中にもともとあるものを、見つけ出せるかどうかにかかっている。
私は、今が幸せである。