森美術館に「黄金のファラオと大ピラミッド展」を見に行ったついでに、銀座のヤマハでクラシックギターの弾き比べをしてきました。
ヤマハのクラシックギターのグランド・コンサート(GC)シリーズの中堅所の3本です。いずれも、総単板で表板が松(スプルース)で裏板がローズウッド。42Sはマダガスカル・ローズウッド。42Sはハンドクラフト、32Sは一部最後の仕上げがハンドクラフトの模様。22Sが台湾製、他は日本製で、型式名の数字が大きい程値段が高いです。弦は、22Sがヤマハ弦。32Sと42Sは高音3弦がサバレス、低音3弦がヤマハ。
ちなみに、弾き比べの場合、クラシックの楽曲でないと、ギターの特徴、得手不得手がよくわかりません。速度の揺れ、強弱コントロール、音質コントロールなど弾き手側の演奏意図が、ポピュラー系の曲だとシビアにならず、味になってしまいうまく判断ができなくなります。トレモロが弾けないので、比較に使った曲は、タルレガの「ラグリマ」、ブローウェルの「11月のある日に」と自作の適当弾き練習曲「秩父の夏」^^;。
弾いた順番は、22S→32S→42S。
まずは、22S。弦の押さえ感、反発感がまず、持っているヤマハのサイレント・クラシックギター SLG120NWを思い出させました。粘っこい、弾力のある感じで、特徴があります。ヤマハの弦のせいかな?音はどうかというと、とくにこれはこれでいい感じです。他のギターを弾かなければ、これでお持ち帰りもあり得ます。
次に、32S。まず、音が明るい。低音もカラッとして野太い。ベールがはがれた感じです。弦のタッチも違和感ありません。この段階で、値段を考えないと、22Sは落選です。
最後に、42S。低音が生き生きとしています。低音が明瞭になったおかげで、高音側も芯のある、力強い音色です。ここ値段を考えないと、32Sも落選です。
ギターがうまくなりたかったら、文句無しに42Sが答えです。演奏力・表現力が育つのを、ギターが邪魔しません。22Sはすぐに、32Sも早晩、初級者から中級にさしかかる当たりで支障が出そうです。ただし、弾き切る演奏力(ギターの特徴をつかんで良い音色を出す能力)があれば、22Sでも十分に聴き答えがあります。ただし、それは22Sで止まっていては、おそらく得られない演奏力です。
プロであれば、当然、はなからヤマハは選ばず、スペイン、ドイツ、あるいは日本の手工ギターになります。その理由は上記と同じです。腕を超えるギターが無いと、上達しませんし、表現しきれません。そして、その領域のギターの善し悪しは、残念ながら、腕がそこまで行っていないと、よく分からないと思います。ギターのポテンシャルを全部弾き出せるだけの腕がないと、ギターの違いを音で表せないのです。
私は素人で趣味の範疇ですから、こういう話はウンチクで済ませたいのですが、実際にあれこれギターを身分不相応に買ってしまうというジレンマは、身の回りに多々あります。
さて、お値段ですが、定価で、22S=10万円、32S=20万円、42S=45万円です。倍々ゲームですね。
ポピュラー系の曲、ボサノバ、弾き語り用なら、22Sで十分すぎます。
クラシックなら、差が分かる範囲で一番高いやつが上達の秘訣。
ネットで買わず、楽器屋で色々弾き比べて、自分のフィーリングに合う音色、弾き易さから決めるのがいいですね。
(ちなみに、つき合わせれた家内は、”いい加減にせーよ”という顔でした^^:)