読み終わりました。通勤時間+寝る前に読んで、約一ヶ月。
法廷ミステリーです。ネタバレになるので、詳しいストーリーは言いませんが、前半は、首を吊って死んだ男が、直前に遺書を書き換えており、それにからむ利害対立を軸とした筋立て。なぜ書き換えたかが、後半の謎解きとなる。
いわゆるミステリーであるけれど、はからずも、最後の2ページで落涙してしましました。法廷ものは、勝つか負けるかがポイントになりがちですが、こう感じました。
今の世の中は、法律やルールが、それを作ったはずの人自身を裁いたり、縛ったりしがちだが、そもそも人を生かすために、法律やルールはあるはず。主客逆転。手段と目的の逆転。これに苦しむ人は少なくない。法律やルールは、字面だけ追うと、諸刃の剣で、相手も、自分も傷つけてしまう。
判事は、最後に英断を下す。それは、なぜ、法律やルールが出来たのか、という理由を、我々に再度、突きつける。人は生き、そして人を生かしてこそ、人であることに気付かされる。大事な事は、字で書ききれない、ということだ。