FiatのBrava(ブラーバ)5ドアハッチバックです。(ちなみに、3ドアハッチバック版はBravo(ブラボー)というのが設定されていました。舞台パフォーマンスに対して、”ブラボー”とかいう、あのブラボーです。)
いきなり、横道にそれますが。イタリア語で、Bravoは男性形、Bravaは女性形、複数形がBravi(ブラービ)。よって、男性一人の演者には、Bravoで良いのですが、女性一人であれば、本当は、Brava(ブラーバ)と呼びかけるのが正しいのです。複数であれば、Braviなんですが、日本人は、とりあえず、全部Bravoで済ましているようです^^。ウンチクでした。
さて、本題。
昔、ベルギーの友人の結婚式に参加するために渡欧したとき、まずはフランスはパリの近くにいる高校生の同級生がペンションをやっていたので、そこでお世話になって、それから、ブリュッセルに向かって、車を走らせました。車は、レンタカーで借りた、FiatのBrava。宿を出る時から、なんとなくエンジン音がうるさいなとは感じていました。
高速を走っていると、白っぽい煙が、うすーくバックミラーに映っています。気にせずに、あいかわらず180km/hぐらいで走ってます。欧州車は結構なスピードが出ます。
そうこうするうちに、国境の料金ゲートにたどり着くと、前には古そうなピックアップトラックが止まり、料金を払っています。とんでもなく、うるさいトラックです。止まっているのにガンガラガンガラ凄い音です。家内と目を合わせ、こりゃ、すごいねと笑いました。
で、トラックは料金を払い終わると行ってしまいましたが、うるさい音は消えませんでした。えっ? じゃあ、後ろの車か? バックミラーを見ると、何も映っていません。 えええっ? 俺かあ?
とりあえず、料金を払って、アクセルを踏むと、うるさいのは相変わらずですが、なんとなく焦げ臭い匂いがして、足元から白っぽい煙が出てきました。ありゃー、こりゃまずい!!!すぐに、路側帯に止めて、車から降りて、エンジンフードを開けると、煙もうもうと上がります。そして、あろうことから、オレンジの小さい炎がチロチロとエンジンのヘッドカバーの当たりに見えます。
これはまずい、超まずい、すこぶるまずい、たいへんまずい、うわー!! 爆発するんじゃないか? スーツケースが燃えると、この後の旅が大変、などと冷静に考えてます。爆発するとやけどする。服が燃えると困る。やけどしたらまずい。スーツケースが惜しい。爆発したらたいへんだ。でも服が、、、
しょうも無いことで考えが行ったり来たりしている間に、時間が経ってます。覚悟して、トランクをあけて、スーツケースを2つ3つ取り出し、路肩におきます。気が気ではありません。心ここにあらず。火を消す算段も付かないまま、エンジンフードは閉めてしまいました。そして、料金所の事務所に駆け込み、車が火事だと英語でわめきますが、フランス人は分からないようです。ギャーギャーやっていると、やっと出てきて、煙の出ている車を見て、ほっとけと言ってたようです。
レンタカー会社に電話してくれて、高速料金所の近くの自動車修理工場から、トラックが引き取りに来ました。Bravaを牽引し、我々夫婦はトラックの助手席に乗って、ガタンゴトン、高速の途中のサービス用の出口からでました。自動車修理工場のおっちゃんは、この鍵を持っているようです。
修理工場についてから、今度はレンタカー会社が車の引き取りに来るまでが長かった。おっちゃんが車の状況を見て、これは、エンジンのガスケット(ヘッドとシリンダーブロック間のシール部材)が抜けてると。車はほぼ新車の走行距離だったので、180km/hで吹っ飛ばし続けたのがいけなかったのか?うーむ。ま、なやんでもしょうがないので、修理工場の店や工場を暇なのでうろうろ見ましたが、日本で有名なブレーキブランド、Bremboが結構当たり前においてあったりしました。と、結婚式はとうに諦め、のんびりムードです。
さて、レンタカー会社のトラックが到着すると、今度はそれに引かれてBravaは行き、我々もトラックに同乗です。はるかな街にたどり着き、さて、今度は、どの車にしますか?と聞かれたので、イタ車はもうこりごり、フォルクスワーゲンのゴルフにしました。家内が、だから最初からゴルフにしとけばよかったのに!と愚痴ります。でも、いろいろな車に乗りたい、とその時は思ったんだよなぁ。実は、あれ以来、決してイタ車は選ばないことにしています。
で、肝心の結婚式には、やはり間にあいませんでした。夜の披露宴には間にあいましたので、まあ最悪の結果にならず、ホッと胸をなでおろしました。おかげで、記憶に残る旅でした。
このベルギーの友人は、実は、父親がイタリア人、母親がドイツ人。自分は、イタリア系の自負を持っています。あれから、いつもこの件でからかいます。そう、こいつは、ギターをたくさん持つ人の件で、コケにしたあの、ベースを10数本持つ男です。私はイタリア語は話せないので、英語でのやりとりですが。
The Car was Brava. BUT, the Car was not Brava. チャンチャン
訳:車はブラーバだった。でも、車はブラーバではなかった。