紫微の乱読部屋 at blog

活字中毒患者の乱読っぷりを披露。主にミステリーを中心に紹介します。

「陀吉尼の紡ぐ糸 探偵SUZAKUシリーズ1」藤木稟

2005年01月17日 | は行の作家
前から、気になっていたシリーズ。
ええと、もちろん探偵・朱雀十五が、です(笑)。
だって、盲目だけどもんのすごくキレイだっていうじゃないですか。
しかも、性格だってそんなによろしくないというし。
(キレイな人は、多少ひねくれていた方が魅力的です(いったい何))
ということで、読んでみました。面白かったです。
(しかし、yahooで朱雀十五を検索すると、イラストの多いこと(笑))

でもアレですね、感想を見ていると“京極もどき”とか言われてますね(笑)。
京極は私、全部読んでますけど、でも全然そんな感想は抱きませんでした。
確かに、舞台設定とか登場人物とか扱う題材とかは同じですね。
でも、やっぱりモノは異質だと思いますよ。
ともかく、根底にあるテーマが違う。…と思うのですがどうでしょう(^^;)。
藤木さんはきっと、過去に興味をお持ちの方なのではないかと。
一方京極は、現代に、いかにして“過去”を生かすかに尽力している。
そんな風に思うんですけど。

さて、物語ですが、舞台は昭和初期。弁財天の境内にある
“触れずの銀杏”で、奇妙な変死体が発見されるところから始まります。
新聞記者の柏木洋介はさっそく出かけて行くのですが、出張っていた
軍と一悶着起こしたことから、担当を外され花魁担当に回されます。
事件を見、自分で取材して原稿を書く事件担当とは違って、
そこは洋介にとって苦手な根回しによる潤滑な人間関係が全てでした。
そんな中、洋介が出会ったのが、吉原の弁護士で盲目の元検事・朱雀十五。
盲目の麗人、だけど性悪。洋介はそんな朱雀をはじめさまざまな
人物に振り回されつつ、事件の謎に迫ります。

…今、物語を振り返ってみていると、やっぱり京極の真似っ子だな(笑)。
いや、でもやっぱり、謎の扱い方は違いますし、雰囲気も違うんですけど、
作者が“ソコ”を狙ったのはよく分かります。
読んで行くと、途中で「これはホントにミステリーなんだろうか」と、
不安になります(笑)。でも、ちゃんと最後に落ち着くんですねえ。
事件はだんだんと渾沌としていくし、洋介はまるで関口くんのようだし(笑)。
だんだん、だんだん、風呂敷は大きく広がっていくんだけれど、
「これでちゃんとまとまるのか?」と読者に心配させつつも(笑)、
無難なカタチでまとめています。ちょっとあっけない気もしましたが。
でも、シリーズ1作目だし、こんなもんかなと。
引き続き、読んでいきたいと思います。

同じような感想を持った方がいらっしゃいました(笑)。
「夢の杜 コトノハで泳ぐ」

「陀吉尼の紡ぐ糸 探偵SUZAKUシリーズ1」藤木稟

2 コメント

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Unknown (ていか)
2005-11-16 10:21:59
わたしも、京極堂と朱雀十五はかぶりませんよ。全く。
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初めまして。 (紫微)
2005-12-11 20:13:17
コメント、ありがとうございます。

感想は人それぞれですが、せっかく読むのだから、

やっぱり楽しまないと損ですよねー。

まだ、続きは読んでないのですが、探します(笑)。
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