紫微の乱読部屋 at blog

活字中毒患者の乱読っぷりを披露。主にミステリーを中心に紹介します。

「幻惑密室 神麻嗣子の超能力事件簿」西澤保彦

2005年04月26日 | な行の作家
チョーモンインシリーズ第1作。短編かと思ったら、長編でした。
しかも、長編第1作といいながら、この前に短編が1つあるのですね。
それを読んでいなくても支障はないですが、何度もその事件に
触れられるし、たぶんネタバレもされているので(笑)、できれば、
順番通りに読んだ方が楽しめるんじゃないかと思います。
確か、「念力密室!」に収録されていたと思います。

チョーモンインとは、超能力問題秘密対策委員会の略だそうで、
“超問員”ではなく“チョーモンイン”と言い張るのは、
出張相談員(見習い)の神麻嗣子。文庫版には「てけてけ」という
音を鳴らしながら走りそうな(笑)イラストが描かれます。
彼女の仕事は、超能力が関わる事件の調査。警察と協力して、
事件を解決することもある、とかないとか(笑)。

今回の超能力は“ハイヒップ”というもの。初めて聞きました。
大ざっぱにいえば、強烈な催眠術のような感じでしょうか。
いつものように、この能力にはには制限があり、推理するのに
必要な条件もきちんとそろってます。基本的に推理をしない
(というかできない)私でも、なんだか解答が導き出せそうな
くらいとてもキレイな論理が展開されていきます。
いつもながら感服しますねえ。その上、物語自体も面白い。
どちらかというと軽いタッチなので、長編とはいっても
すらすら読めちゃいます。引き続き読んでいきたいシリーズです。


幻惑密室 神麻嗣子の超能力事件簿」西澤保彦(講談社文庫)

「眼球綺譚」綾辻行人

2005年04月26日 | あ行の作家
再読です。実は、私の初・綾辻作品(笑)。
よりによって、なぜこれを選んだのか、当時の自分を恨みます(^^;)。
基本的にホラーは嫌いではないので(どっちかというと好き)、
当時も楽しんだことは間違いないのですが、
この作品から「館シリーズ」もホラーなんだと
想像してしまったことが、綾辻を手にとらなかった理由だな。

「読んでください。夜中に、一人で。」その妖しい誘い文句の
通り、夜中に読ませていただきました(笑)。
7人の“由伊”が織りなす妖しい世界。
ひと言でホラーと言ってしまってはなんだか申し訳ない気がします。

北森さんとか、柄刀さんとか、読み始めると、自然と
物語の世界にどっぷりつかってしまって、その世界の、
物語の美しさとともに、作品を堪能できる作家さんとは違って、
否応なく物語の世界に引きずり込まれるんだけれども、
それは、“どっぷりつかって堪能(にっこり)”というよりは、
ひしひしと感じる恐怖がとてもリアルに、身近なものに
感じられてしまうんですね。それは「館シリーズ」も同じ。
物語に引き込む、その引き込み方も作家それぞれなのでしょうが、
綾辻のように“いつも恐怖と隣り合わせ♪”というのは他にない。
そんなことを、改めて実感しながら読みました、夜中に(笑)。

好きな作品を挙げるなら「再生」と「眼球綺譚」。
「再生」は、おぼろげですが覚えてました。最後の最後で
背筋がぞくぞくする、あの感じがたまりませんねえ。
「眼球綺譚」は、内容はまったく覚えてなかったけれども、
読み進めば進むほど、背中のあたりがぞわぞわしてくる。

ちなみに装丁は、ハードカバーも文庫も京極夏彦なのです。


眼球綺譚」綾辻行人(集英社文庫)