ケイト・モートン「リヴァトン館」
2年ぐらい前のこと福岡、天神のジュンク堂で地味で小さなブックフェアをやっていた。
書店員が選ぶ、売れると思ったけどあまり売れなかった本フェア・・・みたいなタイトルでしたが、
そのコーナーに平積みされていたのがこの「リヴァトン館」(単行本)でした。
メイドブームと本国イギリスでベストセラーとなっていることから「売れる」と踏んだのでしょうか・・
今回読んだのは、その文庫版です。もちろん昨年出た「忘れられた花園」がすごく良く、
それが購入動機なのですが・・・・
このランダムハウスの文庫シリーズって、ちょっとロマンス物の臭いがきつ過ぎて、男として書棚に近寄りがたい雰囲気がしますよね。
このままだと文庫版も売れないのではないかいな、なんて余計な心配をしちゃいます。
中身はというと・・・
面白いんです。
貴族のお屋敷に奉公に上がったメイドの目を通して描かれるアッパーな身分の家族たちなのですが、戦争に巻き込まれることでだんだんとその「古き良き」に軋みが生じ、そして行き詰った果てに・・・・
どうしても「忘れられた花園」と比較して見ちゃうので・・・ちょっと辛口になってしまうかも
先に単行本で読んでいたら違った印象だったかな。
P.G.ウッドハウス「ジーヴスとねこさらい」
ウッドハウス最後の長編作品。
ジーヴスシリーズはどれも面白いのだが、出来不出来が多少あるように思われる。
この作品は、逆に肩の力が抜けてる分、読みやすい仕上がりとなっている。
発表されたのは1974年。
現代のロンドン・・・、バーティーとジーヴスには窮屈な場所になっていったのかな?
二人はニューヨークを目指すのでした。
チャイナ・ミエヴィル「ジェイクをさがして」
「都市と都市」の以前に書かれた短編集。
ロンドンを舞台に都市の終焉、怪奇、伝説、蹂躙、希望を描いた作品たち。
「ボールルーム」はIKEAのお話だね。
だってお店のレイアウトがIKEAだもん。
IKEAの店舗レイアウトってワールドワイドなんだ。って、変なことに感心しちゃった。
がんばって早起きして観た開会式
前半のショーはなかなかに楽しめました
産業革命を経て、世界の工場へと変わる過程が
破壊と創造のスペクタクルとして良く出来ていたと思います
(映画ロード・オブ・ザ・リングに同じようなシーンが・・・・・・
・・・・・サルマンたちが木を切り倒し武器を大量に作り上げる場面・・・)
大英帝国としての過去の力の誇示は抑制して
医療福祉からファンタジーの世界へもっていったストーリー構成は見事
そして007のお出迎え・・・
スタントとは言え、本当に飛び出すとは・・・
コーギー犬もちゃんと演技していたし・・
長い開会式の途中で、高齢の女王陛下をお迎えする演出としては
洒落ていましたね
実は私、どこかでMr,ビーンが登場するのではないかと思っていたのですが、
まさか、その次に出てくるとは・・・
サイモン・ラトル指揮での「炎のランナー」のテーマ、
まんまベタな曲を演奏するんだなあ・・と見ていると・・
ここで
出しましたか・・・
お約束のパントマイムで開会式を盛り下げてくれます(笑)
ベルリンフィル首席指揮者をほとんど映さないという大胆なコーナーでした
続くダンスメドレーも良かったですね
ちゃんとセックスピストルズ、デヴィット・ボウイも入ってた
ライブ映像とビデオ映像のシームレスなシンクロには脱帽・・
主人公役の女の子もチャーミングで良かった
最後のコンテンポラリーダンスは・・・・
テーマとしては重要ですが、正直あくびが出そうだった・・・
そして、
選手の入場行進ですが・・・
退屈でした
女王陛下もつまらなそうでした
(昔だったらかなりの国がイギリス領だったのにね・・)
予想通り、中国、イタリア、スペイン、USAで大渋滞が起きますし、
途中、ドラムのペースメーカーを歩かせて改善を
試みていましたが、かなりの遅延でしたね
入場は旗手だけにするとか
ギリシャと開催国だけにするとか
考えたほうがいいですね
そんな中、起きたインド選手団に関係のないスタッフ女性が混じって行進しちゃった事件、
可笑しいですね
五輪事務局も謝ったりせずに
「気が付きました?あれはMr,ビーンのパロディですよ」って言っとけばいいのに
ロンドンに応援に行きたいけど遠いんで、
灼熱のマツダスタジアムで
「堂林!!行け~!!」
暑い、熱い、
ビールが蒸発する!!
ジェイミー・オリヴァーの30MM~ぼくのクッキング・スタイル~
Dライフで欠かさず観ているもう一つがこの番組。
ご存知ジェイミー・オリヴァーくんの料理番組だ。
30分でデザート含めて3品を作っちゃうという内容ですが、
けっこうパターン化されているツボを指摘しながら観ると楽しい番組です。
まず、短時間で仕上げるために準備は万端です。
かならずジェイミーくんがやってるのが、まな板の下に濡れ布巾を敷くこと。
けっこう乱暴に調理しても滑らずに安全な様にということ・・・
お湯はポットの中で沸騰し、オーブンはすでに高温状態、
そしてフードプロセッサーが準備され、使うお鍋がちゃんとコンロの上にのっている。
ここから、30分がスタートです。
彼の調理方法は・・・・
まず、フードプロセッサーはとことん使います。
材料を細かくすることで火の通り時間を稼げるから・・・・
市販の缶詰、スープストックは積極的に使い、
カット野菜も大歓迎・・・・
とにかく、オリーブオイルを多用します。
最初にザブザブ、途中でザブザブ、仕上げにザブザブ・・・
アイスクリームにもオイルをタラタラ・・・
ハーブも沢山入れちゃいます。
あと、オレンジやレモン、ライムなどの皮をおろして入れたり、汁も大胆に絞ることしばしば・・・
唐辛子も大胆に大量投入・・・それから・・・ニンニクもクラッシャーで潰してふりかけている・・
調理はとにかく大雑把な男の料理・・
鍋から材料が飛び出そうが、オリーブオイルが周辺に撒き散らされようが気にしません。
盛り付けも大胆。
まな板に載せたままで出したり、フライパンのまま食卓・・ってのもありなのです。
結局、出来上がったものは、どれもけっこう濃い味のスパイシーなもののようなのですが、
実際はどうなのでしょうか?
我が家でのこの番組の楽しみ方は・・・娘と2人で・・・・
材料をこぼしたら、すかさず「今、トマトが飛んでいったよ」と指摘し、
オリーブオイルを大量に降りかける場面では、いっしょに「キャーーーー」と絶叫し、
次はニンニクをいれるか、唐辛子を刻むかを予想し、
オリーブオイルまみれになったジェイミーくんの手が、次のカットで
すっかりきれいな乾いた手になっているのを見ながら
「今の、ありえないよね」とつっこみ、
ジェイミーくんが何回「ゴージャス」とか「ビューティフル」とか「ラブリー」とか言うかを
カウントしながら観ています。
で、最後、いつも2人の感想としては
「確かに30分で出来ているけど、後片付けにはたっぷり2時間かかりそうだね」
ヒラリー・マンテル「ウルフ・ホール」
イギリスの子どもたちは歴史の時間にヘンリー8世のことをどんな風に勉強するのだろうか?
ローマ教皇と決別し、英国国教会の長として君臨し、カトリック修道院を解体することで国家の財政基盤を強化、文芸を振興し絶対的な王権で英国を繁栄に導いた王。愛人を多く抱え、ローマと反目するきっかけとなった最初の妻キャサリン・オブ・アラゴンとの婚姻無効調停を起こし、アン・ブーリン以下、次々と計6人の妻を娶り、そのうち2人の首を刎ね、可愛がった側近も意見が合わなければすぐに首を刎ねちゃうという絶倫王。歴史の先生はどこまで教えるのかな?シェイクスピアの「ヘンリー8世」は毒気が抜かれたストーリーのようだし・・・。
そんなヘンリー8世くんとアン・ブーリンとの「いちゃいちゃ時代」を、側近として仕えたトマス・クロムウェルの目で描いたのがこの作品です。2009年のブッカー賞作品だ。
トマス・クロムウェルは鍛冶屋の倅として生まれるが、類まれな語学力と情報収集力、そして腕力を駆使することで頭角を現し、ウルジー枢機卿の側近として抜擢される。ウルジーがヘンリー王の離婚調停不首尾で失脚すると、今度はヘンリー王から目を掛けられ、側近中の側近として寵愛されることに・・・。クロムウェルはまさに成り上がり者として、並居る貴族たちから煙たがれるのだが、彼に様々なお伺いを立てないことにはヘンリー王から嫌われてしまうから大変だ。同じく成り上がり者のブーリン家の皆々もいつのまにかクロムウェルにすりすりしているのだ。
お話はトマス・モアの処刑で終わる。ヘンリー王とアン・ブーリンの関係もちょっと微妙になってくる時期だ。これは絶対に続編が書かれるな!と思っていたら、この5月にイギリスでは刊行されたとのこと。日本では2年後かな?
多少の歴史背景は勉強している方が楽しめるでしょう。それにしても、イギリス人ってやったらトマスとかメアリーとかが多いですよね。いったい誰が発言しているのか分からなくなることもしばしば・・・。巻頭の大量の登場人物一覧を何度も見直しながらの読書です。
お世継ぎが生まれる生まれないで陰謀や策略がうごめく英国王室。日本は平和で良かった。雅子さま紀子さまも世が世なら血で血を洗う日々・・・というのは考えすぎか・・・
マイケル・コックス「夜の真義を」
「赤毛の男を殺したあと、私はその足でクインズへ向かい、そこで牡蠣の夕食を認めた」
という出だしです。
なかなかなハードボイルドですねえ、と思いきや・・・・
偶然発見されたエドワード・グライヴァーの手記とい形で進められる物語。
時はヴィクトリア朝、
法律事務所で裏仕事を営むグライヴァーには大いなる目的があった。
学生時代に彼を無実の罪に陥れ、その将来を無茶苦茶にしたフィーバス・ドーントへの復讐だ。
ドーントは今や詩人として大成功を納め、飛ぶ鳥の勢い・・・。
母の遺品を整理するうちに、グライヴァーはある疑惑を抱くことに。
彼自身が、実は男爵家の正当なる継承者なのではないか・・・。
母がひた隠してきた事実とは何なのか?
しかし、その継承者には、あのドーントが・・・・。
復讐というとモンテ・クリスト伯ですが、そこまでのスペクトル感はありません。
ヴィクトリア風の重厚粘着的な文体で書かれるストーリーは時にクドイのですが、
男爵の館の描写はなかなかに面白い。
特に大きな図書室に集められたコレクションには注目です。
残念なのは、グライヴァーの手記ゆえ、悪役ドーントの紹介が一方的に描かれてばかりなところ。
復讐心にだんだんと埋没していき、最後は、ちと平凡な終わり方・・・。
ディケンズに大きな影響を受けたという作者、ロンドンの生活、自然の中に溶け込む貴族の館の描写は読ませるのですが、
もう少し、ドライな展開でどんでん返しを期待しちゃいました。
デアゴスティーニが発売した「週刊HMSヴィクトリー号をつくる」。
テレビCMを見ながら、
「これ、欲しいなあ・・・」とつぶやいたら
間髪入れずに
「買ってきたら殺すよ」
って家人から言われてしまった。
そうだよなあ・・・
創刊号は190円だけど
完成するのに15万円近くかかるし
だいたい置いとく場所が無いんだよね・・・・
それにしても
殺さなくても・・・・・
新井 潤美「執事とメイドの裏表 ─ イギリス文化における使用人のイメージ」
新井さんの本を読むと、すっきりする。
イギリス小説を読んでるときの???が!!!と解決するのだ。
P.G.ウッドハウスの描くお屋敷に沢山のフットマンが登場する件は、読者として笑わなければならない所だったのだ。
ジーヴスの頭が切れるのは、それほどびっくりすることではないのかも・・・・。
オースティンのあの場面はそういうことだったのか・・・。
フランスから優れた料理人を雇い入れ、プロフェッスト(手の込んだ)な料理を客人に振舞えるようになってからも、依然として自分たちはプレイン(手を掛けない=不味い)な料理を楽しむイギリス貴族たち・・・・。
多くの小説からの例が示されているので、これまでの読書の復習とこれからの予習が楽しみながら出来る本です。
もう少し踏み込んだ本格的なものも読んでみたいのですが・・・。