〔新月魔法〕
昨日あたりから、じわじわ効いてきた。
失ったと想っていたものが戻ってきたり、
それでどれだけの時間をやりすごせるか判らない。
ありがたいなあ。
選挙による株価の変動は、
思ったほどではなかったが、
私の場合、25日がネック。
まあ、ダメならダメで、持っていればいいわけだから。
多分、世界がひっくり返らない限りは安全圏だと思うのだ。
どうにか。
どうにか、娘の将来につなげないと。
昨夜、失う夢をみた。
何かを失う夢。
何かは思い出せないけれど、
まるで、やっと自覚に至る、今日を予感するかのように。
少しずつ、何かが狂い始めていた。
〔不調〕
姪っ子が、ついに体調を崩した。
私が作って差し出す食事に手をつけなくなって、
どれくらいたつだろう。
夕飯は全く食べない。
朝食は、半分くらい。
持ってゆく水筒のお茶も残してくる。
毎日こんなに暑いのに。
一週間?
10日?
妹は、接骨院には連れて行っていたが、
内科に行くべきだと話したのは、一昨日くらいだったか?
どれだけ食べないか。
見ていないから判らないのだ。
朝も寝ていて見てない。夜もいないから、見ていない。
昨日、夜家にいたから、
彼女がどれだけ食べないのか、把握したのだろう。
そして今日、体調を崩して早退してきた姪っ子を、
やっと、病院に連れて行った。
この頃、笑ってくれない。
食べてくれない。
どこかへ行ってしまっているような、背中。
中学卒業まで、ここに置いておくべきじゃないのか。
という話はもうとうにしていて、
やはり母親と一緒に行くという気持ちは確かだったから、
今さらそれも云えないし。
でも、転校って、ストレスになるよね。
私の所為だ。
私がこんなだから。
これは、大人の責任だ。
何故、こんなことになったのだろう。
ごめん。
ごめんね。
転校は嫌だって、泣いたんだよね。
ここにいさせないようにしちゃったのは、
私の所為。
私が、妹を赦せなくて、
父を看てくれない妹を赦せなくて、
耐えられなくて、
云ってしまった。
「出ていけ」と。
一度放った言葉は、取り消せない。
介護も、育児も、家事も、仕事も、
全て受け入れるほどの思考でいられたら、
このたびの騒ぎもなく、
引っ越しの話も出ずに、
また別の結論に達せただろう。
今ひとつ、大人になりきらなかった、私の責任。
それに、
いつまで、自分を偽っていられるの?
しっぺ返しに、
私は失うのだ。あの子を。
娘と同じように、時間を共に過ごした、あの子。
いなくなってしまう。
もうじきに。
小説・秒速5センチメートル (文庫ダ・ヴィンチ) | |
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