大阪発達支援センターぽぽろブログ ぽぽろ番

ぽぽろはNPO大阪障害者センターの子育て・教育支援部門です。
大阪市鶴見区今津北にあります。

目いっぱい青春してね!悩みいっぱいの中学生。

2011年11月14日 | 児童デイサービス
 この頃はスタッフの配慮で相談室兼学習室にこもって仕事をすることが多くなりました。
 それでも、みんな楽しめているのかがとても気になります。とりわけ、「周辺参加」の子どもたちのことが…。

 先週の土曜日は中学3年のMoちゃんとKoちゃんを学習室に招いて、Koちゃんが悩んでいる自らの「障害」のことや卒業後の進路について話し合いました。1時間ぐらいでしたが、話したいこと、聞いて欲しいことがいっぱいあるKoちゃんは、通常学級での勉強がまったく分からなくて面白くないことや、支援学級も含めてあそぶ友だちがあまりいないこと、高校への進学を考えて見学に行っているという話しなどをしてくれました。

 一方で、Koちゃんは階段が苦手なので一人で電車に乗るのがこわいので高校への通学が心配なことなどを語ってくれました。外出はいつもお母さんと一緒で、階段はお母さんが横についていてくれるそうです。学校では階段で押されてこけそうになったので、いつもみんなが降りた後からついていくそうです。
 高等部卒業後は「ぽぽろスクエア」に何としても行きたいと言うMoちゃんも、「ぽぽろスクエアは自主通学だから、一人で電車に乗れるように練習しなくっちゃ。」と言われ、一瞬顔がこわばりました。進学する高等部での「自主通学」も考えてみたようですが、ラッシュの中で通わねばならず、危険がいっぱいの電車の乗降にも時間がかかるし恐いのです。

 普段はどうしているのかが気になり、ガイヘルさんのことを聞くと、Moちゃんは一度だけガイヘルさんと一緒に「ひらパー」に遊びに行ったことがあると言い、Koちゃんに聞くとガイヘルさんとの外出は「ない」とのこと。
 Moちゃんには卒業まで(ぽぽスク入学まで)まだ3年間もあるから「今から少しずつでも練習したらMoちゃんだったら必ず行けるよ!」と言うとパァッ~と顔が明るくなりました。Koちゃんには「ガイヘルさんをつかってお出かけしてみたら。階段もガイヘルさんが支えてくれるから大丈夫。」と話しました。(お迎えに来られたお母さんにもお伝えしました。)

 二人にはバリアとしての「障害」と適切なケアがあれば「障害」が乗り越えられることを絵本を読みながら話し、人の手助けを借りていろんなことにチャレンジしてみようと提案しました。二人で共通の楽しみがあれば、ガイヘルさんとお出かけして目的地で一緒になるなんてこともできるのに…。バリアフリー会話の中で、「ぽぽろはエレベーターないなぁ。階段やから恐いし、大変やろ?」と言うと、彼女らは口を揃えてこう言いました。「うん、そうやなぁ。でも来年エレベータがつくやろ。ぽぽろはあわてんでもええし、ゆっくりできるしなぁ。待っててくれるやろ。失敗してもええしなぁ。」と語ってくれたのがとっても励みになりました。

 今一番大事なお勉強が分かる・おもしろいという経験は中学部から特別支援学校に転校したMoちゃんの方が「おもしろいで。教科書なんてないで。いつもプリントやで。」と明るく積極的に語ってくれました。
 英語と数学を支援学級で学ぶ以外は通常学級で学ぶKoちゃんの話はとてもつらそうでした。学ぶ上での「障害」を取り除く努力や工夫が必要でしょう。もう少し、通常の学校でも支援学級での集団生活や学習科目を増やすなどの工夫ができないかなっていつも思います。思春期と自己肯定感を台無しにしないで欲しいものです。
 中学校の延長で進路を選択したKoちゃんが行く学校は「高等専修学校」です。ご家庭の願いは先ずは「普通科」に入学して、そこでついていけなかったら「特別支援」対象の「総合教育学科」に編入できるから…というお話です。う~ん、少し複雑な思い…。

 高等専修学校はある種の生き残り策でもあると思いますが、特色づくりとして特別支援対象の学科やコースを設置するところが増えてきているようです。Koちゃんが行く学校にも「高等課程 普通科/不登校傾向生徒受入れクラス『ゆっくりクラス』」、「高等課程 総合教育学科(特別支援コース)『ふれあいクラス』」、卒後の1年課程(1年間で終了しても何年でも1年ずつ更新できる)「専門課程 総合キャリア学科“『はたらく』をまなぼう!”」という課程が用意されています。
 彼女(の親ごさん)が選んだこの高等専修学校の嘱託教員をしている友人(元支援学校の同僚)が進路案内を持ってぽぽろを訪れたのは10日ほど前のことでした。新しい職場で色々チャレンジしながら今春に退職してしまった彼の「疲れた」顔を思い浮かべながら、何としても船出する「ぽぽろスクエア」を安定化させ、府内に拡げていきたい、そして特別支援学校高等部(普通科)の「専攻科」設置につなげたいものだと思ったしだいです。

 いずれにせよ、Moちゃん、Koちゃんのこれからをしっかり見守り、必要な支援をしていきたい、「目いっぱい青春してね!」と願わずにはおれませんでした。

 
 それにしても、命令と競争で学校と教育を支配し、子どもの成長と発達を台無しにする「大阪府教育基本条例案」「大阪府職員基本条例案」。学校や教育の主役は子どもたちです。そのための条例ではなく、半分以上が教師や府職員への懲罰で占められている代物です。子どもも先生も、すなわち学校教育が窒息し、崩壊してしまう。学校の中で或いは大阪府の教育に対してものが言えなくなる。子どもの発達支援に関わるものの立場からも、教育の仕事にたずさわってきた者の立場からも、一府民としてもこれだけは到底許すわけにはいきません。35人学級を促進させるとか、支援学校を建てるとか、支援学級・教員を増やすとか、専攻科をモデル事業でやるとか他にもやるべきこと、議論すべきことはたくさんあるやろう!と言いたいものです。今は府議会での審議はストップしているそうです。選挙結果を見てやるつもりのようです。撤回を求める署名にご協力くださいね。

 さて、「学ぶ作業所・ぽぽろスクエア」の建設が急ピッチで進んでいます。ほぼ外見が整ってきて、建物の内部も壁紙を貼れば各部屋の様子や全体が見渡せるところまできました。
 「夢を形に!」できそうですが、「入学」される利用者の方は定員(目標15名程度)がまだうまっていません。皆さん、是非ご紹介くださいね。