長野オリンピック金メダリストの清水宏保さんが、朝日新聞の夕刊(10月31日)に、「腰痛予防に効く“外腹斜筋”」と題して一文を寄せていました。
いくつか考えてみたいことがあるので、全文を紹介させていただきます。
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実は、僕は腰痛持ちです。今でも30分立っていることができません。
始まりは大学2年生の時でした。腰椎分離症と診断されました。スピートスケートをやっていると職業病みたいなものです。だましだまし付き合いながら、長野五輪で金メダルを取れました。
それがひどくなったのが、2001年11月でした。ソルトレークシティー五輪を控えて、椎間板ヘルニアにまで悪化してしまいました。試合どころか練習もできない痛みです。もう時間がありません。ブロック注射でしのいで、どうにか間に合わせて銀メダルでした。
2006年に手術を受けて、現在に至っていますが、最初に述べたように、日常生活でも30分立っていることができません。
読者のみなさんも腰痛をかかえている方がたくさんいらっしゃると思います。
まず、僕がお勧めするのは予防として、外腹斜筋を鍛えることです。外腹斜筋とはおなかの横の筋肉のことです。
よく、腰痛予防に、腹筋と背筋を鍛えろ、ということが言われます。それも大事なのですが、人間の体は肋骨の下に骨がなく、内臓全体を背骨だけで支える状態になっています。だから、腹筋、背筋だけではなく、横の筋肉を鍛えておくことが大事なのです。
それほど、難しい運動は必要ではありません。体をねじったり、片方の足をあげたりという簡単な動作です。
なじみがない言葉だと思いますが、マッケンジー体操、ウィリアム体操と呼ばれる手法がそれに当たります。
僕はこういう技法をもっと一般に広げていけば、国民病といわれる腰痛を減らす、予防医学につながっていくと考えます。
重症になった場合は、インフォームド・コンセントをきちんと受けて、僕のように手術が必要になってきます。その前の予防策をこうじることが、大事です。
(長野五輪金メダリスト)