2015年が明けた。本年は特別な天体位相である「カーディナル・クライマックス」における最も重要な意味を持つ年となる。「カーディナル・クライマックス」とは、土星以遠の天体のうち、土星、天王星、冥王星が、カーディナルサイン(活動宮)と呼ばれるてんびん座、おひつじ座、やぎ座に入居し相互に天体位相を構成することによって、社会経済に予期せぬ激しい変動が起こるとされる占星学的な現象である。
カーディナルサインにこれらの天体が入居した時期を振り返ると、1973年の第1次オイルショックでは土星と冥王星がスクエアとなり、さらに、やぎ座に土星、おひつじ座に天王星、かに座に冥王星が入居した1929年から1932年の間には、ウォール街大暴落が引き金となって世界金融恐慌が起こった。
カーディナル・クライマックスという天体位相は世界経済の激変を示すものだが、特に今回の2008年から始まる天体位相は、世界恐慌時の位相に匹敵する程の強い威力を持っていると考えられている。また天王星は世界恐慌時とおなじサインであるおひつじ座に入居している。以上のことから、社会占星学を扱っている人々の間では警戒をもって注目されているイベントなのである。
◆カーディナル・クライマックスの一連の流れ◆
今回のカーディナル・クライマックスは、2008年においてやぎ座に冥王星が入居したときから始まる。同年9月15日には米国の投資銀行リーマンブラザーズが、約6000億ドル(約64兆円)という史上最大の負債総額で倒産、世界連鎖的な金融危機を招いた。
このときは土星、天王星はまだカーディナルサインに入居はしていなかったが、2009年10月に土星がてんびん座に入居。FRB(連邦準備制度理事会)は金融危機に対応するため、1兆7250億ドルに及ぶ量的緩和政策の第1弾、QE1を2008年11月から2010年6月にかけて執行した。
2010年5月には天王星が1回目のおひつじ座イングレス。2010年11月から2011年6月にかけて量的緩和政策第2弾、QE2が実施され、6000億ドルが供給された。
天体位相は2010年の8月までに土星、天王星、冥王星がそれぞれに緊張度の高いアスペクトを成立させた。この間欧州ではギリシャ金融危機を中心とした欧州債務危機が起こっている。
カーディナルクライマックスの一連の流れはここで第2幕を迎える。一旦逆行でうお座に戻っていた天王星が再びおひつじ座にイングレスする2011年3月12日の前日に、東日本大震災が日本を襲ったのである。日本では長引くデフレと経済停滞を克服するため、2013年4月に日銀は資金供給量を2年で2倍、2%のインフレ目標を設定するという量的質的緩和政策を実施。2014年10月には追加緩和を決定した。
米国では2012年9月から2014年10月まで量的緩和政策の第3弾、QE3を実施。月額400億ドル(約3兆円)の住宅ローン担保証券(MBS)の買取で資金供給を行った。
2011年以降のカーディナルクライマックスにおける天体位相は、土星がカーディナルサインから離れるかわりに、天王星と冥王星が作るアスペクトが中心となっていく。以下に2008年から続くカーディナルクライマックス関連の天体イベントを挙げていく。
2008/01/26 冥王星やぎ座イングレス
2009/10/30 土星てんびん座イングレス
2009/11/15 土星-冥王星 スクエア成立
2010/02/01 土星R-冥王星 スクエア成立
2010/05/28 天王星おひつじ座イングレス
2010/07/27 土星-天王星R オポジション成立
2010/08/21 土星-冥王星R スクエア成立(土星-木星 オポジション成立)
------------------
2011/03/12 天王星おひつじ座イングレス(再)
2012/06/24 天王星-冥王星R スクエア成立(1回目)
2012/09/19 天王星R-冥王星 スクエア成立(2回目)
2012/10/06 (土星さそり座イングレス)
2013/05/21 天王星-冥王星R スクエア成立(3回目)
2013/11/01 天王星R-冥王星 スクエア成立(4回目)
2014/04/22 天王星-冥王星R スクエア成立(5回目)
2014/12/15 天王星R-冥王星 スクエア成立(6回目)
2012/12/24 (土星いて座イングレス)
2015/03/17 天王星-冥王星 スクエア成立(7回目)
------------------
2017/12/20 (土星やぎ座イングレス)
2020/01/13 土星-冥王星コンジャンクション成立
ここで注目したいのは、天王星-冥王星のスクエア成立である。この天体位相は相互に逆行を挟んで、2012年6月の第1回成立から2年8ヶ月あまりの間に、合計7回形成されるのである。本稿執筆時にはすでにこのスクエアは6回成立し、3月17日に成立する7回目を残すのみとなっている。
2017年には土星がやぎ座に入居し、カーディナルクライマックスの第3弾が発動する見込みだが、現時点では何らかを予想することはできない。今回のカーディナルクライマックスの天王山となる、天王星-冥王星の7回に及ぶスクエア成立が何をもたらすのか、どれほどの意味があるのかを掘り下げるのが本稿の主旨である。
◆「聖数7」とメトン周期で符合するカーディナルスクエア◆
天王星と冥王星のスクエア成立、これはどのような意味を持つのだろうか。2天体のスクエア(矩)とは、異質なものとの衝突を表し、強い緊張を与えるものだ。冥王星が現行の経済金融システムを示すなら、それを突き崩すような厳しい衝撃を天王星が与える構図である。喩えるなら、大木の根元に振るわれる斧であろう。そしてこの斧は合計7回振るわれる。
リーマンショック以来数々の経済的難局を乗り越え、米国においては量的緩和政策を終えて、出口戦略に差し掛かっているところである。危機はもう乗り切ったように見えるが、しかし先月6回目のスクエアが成立した前後にはロシア金融危機が発生した。この天王星-冥王星スクエアは、7回全て通過しないとその本当の姿が見えてこないと思われる。7回目でその“大木”は倒れるのだろうか。
今回特に注目したいのは、この「7」という数字である。7は占星学では太陽、月から土星までの主要7天体の単位となり、また聖書など古代から聖なる単位として扱われてきた。前回、「天体サイクルと“ジェリコの壁”」と題して記事を上梓したが、まさにこれが聖数7に関連する聖書箇所であった。絶対に崩れないとされていたジェリコの壁は、軍勢が7回城壁の周囲を回り、7回目にときの声を上げて崩れたのだった。
天王星-冥王星のスクエアの性質がつき崩す性質のものであり、7回という回数が奇遇にも符合する。このことが、次回3月に来る7回目のスクエアのときに、何か巨大な金融システムの崩壊が予感できるというのだろうか。
筆者はふと思い立って、この7回成立するカーディナルスクエアの日数を調べてみた。すると1回目の2012年6月24日から、2015年3月17日に成立する7回目までの日数は996日であった。この日数を1単位として、7倍としてみたところ、6972日となった。これを年に換算すると、約19.1年となった。この19年という単位こそ、「メトン周期」と呼ばれる天文周期である。
この周期は中国暦では「章」と呼ばれる。筆者は3つ前の記事で、2014年12月の冬至に成立した、朔旦冬至に関する記事「朔旦冬至と西洋占星術」を上梓し、そこに資料として1995年冬至から2014年冬至までが、19年の「章」の単位であることを記載した。
前回のジェリコの壁の記事をもう一度読み直していただきたい。壁を崩した軍勢は7日間のうち、6日間は1日に1回城壁を廻った。最後の7日目は城壁を「7」回廻った。これを19年のメトン周期に当てはめると、最後の7日目にあたる約2年8ヶ月の期間のうちに、7回の天王星-冥王星のカーディナルスクエアが成立するという、実際の天体サイクルと完全に一致するのである。
19年のメトン周期のサイクルを西洋占星術に組み込むとき、区切りは春分に置くのが望ましい。2015年3月21日の春分に先立つ3月17日、最後のカーディナルスクエアが成立する。このタイミングが、旧約聖書に記される、絶対に崩れない物の譬えとされる“ジェリコの壁”を崩壊に導く、最後の喇叭のときになるのかもしれない。
偶然と呼ぶにはあまりに奇遇な天体サイクルの一致。本稿をもって未来を予見したと言うつもりはない。しかし何も知らないままその日を迎えるよりも、何が来るか分からなくとも、備えと心の準備をしておくことが有用であることは、地震に対する備えと同じことである。来たる7回目のカーディナルスクエアは、今までとは違うとだけ憶えておいて、予期せぬ危機に備えていただければ幸甚である。
カーディナルサインにこれらの天体が入居した時期を振り返ると、1973年の第1次オイルショックでは土星と冥王星がスクエアとなり、さらに、やぎ座に土星、おひつじ座に天王星、かに座に冥王星が入居した1929年から1932年の間には、ウォール街大暴落が引き金となって世界金融恐慌が起こった。
カーディナル・クライマックスという天体位相は世界経済の激変を示すものだが、特に今回の2008年から始まる天体位相は、世界恐慌時の位相に匹敵する程の強い威力を持っていると考えられている。また天王星は世界恐慌時とおなじサインであるおひつじ座に入居している。以上のことから、社会占星学を扱っている人々の間では警戒をもって注目されているイベントなのである。
◆カーディナル・クライマックスの一連の流れ◆
今回のカーディナル・クライマックスは、2008年においてやぎ座に冥王星が入居したときから始まる。同年9月15日には米国の投資銀行リーマンブラザーズが、約6000億ドル(約64兆円)という史上最大の負債総額で倒産、世界連鎖的な金融危機を招いた。
このときは土星、天王星はまだカーディナルサインに入居はしていなかったが、2009年10月に土星がてんびん座に入居。FRB(連邦準備制度理事会)は金融危機に対応するため、1兆7250億ドルに及ぶ量的緩和政策の第1弾、QE1を2008年11月から2010年6月にかけて執行した。
2010年5月には天王星が1回目のおひつじ座イングレス。2010年11月から2011年6月にかけて量的緩和政策第2弾、QE2が実施され、6000億ドルが供給された。
天体位相は2010年の8月までに土星、天王星、冥王星がそれぞれに緊張度の高いアスペクトを成立させた。この間欧州ではギリシャ金融危機を中心とした欧州債務危機が起こっている。
カーディナルクライマックスの一連の流れはここで第2幕を迎える。一旦逆行でうお座に戻っていた天王星が再びおひつじ座にイングレスする2011年3月12日の前日に、東日本大震災が日本を襲ったのである。日本では長引くデフレと経済停滞を克服するため、2013年4月に日銀は資金供給量を2年で2倍、2%のインフレ目標を設定するという量的質的緩和政策を実施。2014年10月には追加緩和を決定した。
米国では2012年9月から2014年10月まで量的緩和政策の第3弾、QE3を実施。月額400億ドル(約3兆円)の住宅ローン担保証券(MBS)の買取で資金供給を行った。
2011年以降のカーディナルクライマックスにおける天体位相は、土星がカーディナルサインから離れるかわりに、天王星と冥王星が作るアスペクトが中心となっていく。以下に2008年から続くカーディナルクライマックス関連の天体イベントを挙げていく。
2008/01/26 冥王星やぎ座イングレス
2009/10/30 土星てんびん座イングレス
2009/11/15 土星-冥王星 スクエア成立
2010/02/01 土星R-冥王星 スクエア成立
2010/05/28 天王星おひつじ座イングレス
2010/07/27 土星-天王星R オポジション成立
2010/08/21 土星-冥王星R スクエア成立(土星-木星 オポジション成立)
------------------
2011/03/12 天王星おひつじ座イングレス(再)
2012/06/24 天王星-冥王星R スクエア成立(1回目)
2012/09/19 天王星R-冥王星 スクエア成立(2回目)
2012/10/06 (土星さそり座イングレス)
2013/05/21 天王星-冥王星R スクエア成立(3回目)
2013/11/01 天王星R-冥王星 スクエア成立(4回目)
2014/04/22 天王星-冥王星R スクエア成立(5回目)
2014/12/15 天王星R-冥王星 スクエア成立(6回目)
2012/12/24 (土星いて座イングレス)
2015/03/17 天王星-冥王星 スクエア成立(7回目)
------------------
2017/12/20 (土星やぎ座イングレス)
2020/01/13 土星-冥王星コンジャンクション成立
ここで注目したいのは、天王星-冥王星のスクエア成立である。この天体位相は相互に逆行を挟んで、2012年6月の第1回成立から2年8ヶ月あまりの間に、合計7回形成されるのである。本稿執筆時にはすでにこのスクエアは6回成立し、3月17日に成立する7回目を残すのみとなっている。
2017年には土星がやぎ座に入居し、カーディナルクライマックスの第3弾が発動する見込みだが、現時点では何らかを予想することはできない。今回のカーディナルクライマックスの天王山となる、天王星-冥王星の7回に及ぶスクエア成立が何をもたらすのか、どれほどの意味があるのかを掘り下げるのが本稿の主旨である。
◆「聖数7」とメトン周期で符合するカーディナルスクエア◆
天王星と冥王星のスクエア成立、これはどのような意味を持つのだろうか。2天体のスクエア(矩)とは、異質なものとの衝突を表し、強い緊張を与えるものだ。冥王星が現行の経済金融システムを示すなら、それを突き崩すような厳しい衝撃を天王星が与える構図である。喩えるなら、大木の根元に振るわれる斧であろう。そしてこの斧は合計7回振るわれる。
リーマンショック以来数々の経済的難局を乗り越え、米国においては量的緩和政策を終えて、出口戦略に差し掛かっているところである。危機はもう乗り切ったように見えるが、しかし先月6回目のスクエアが成立した前後にはロシア金融危機が発生した。この天王星-冥王星スクエアは、7回全て通過しないとその本当の姿が見えてこないと思われる。7回目でその“大木”は倒れるのだろうか。
今回特に注目したいのは、この「7」という数字である。7は占星学では太陽、月から土星までの主要7天体の単位となり、また聖書など古代から聖なる単位として扱われてきた。前回、「天体サイクルと“ジェリコの壁”」と題して記事を上梓したが、まさにこれが聖数7に関連する聖書箇所であった。絶対に崩れないとされていたジェリコの壁は、軍勢が7回城壁の周囲を回り、7回目にときの声を上げて崩れたのだった。
天王星-冥王星のスクエアの性質がつき崩す性質のものであり、7回という回数が奇遇にも符合する。このことが、次回3月に来る7回目のスクエアのときに、何か巨大な金融システムの崩壊が予感できるというのだろうか。
筆者はふと思い立って、この7回成立するカーディナルスクエアの日数を調べてみた。すると1回目の2012年6月24日から、2015年3月17日に成立する7回目までの日数は996日であった。この日数を1単位として、7倍としてみたところ、6972日となった。これを年に換算すると、約19.1年となった。この19年という単位こそ、「メトン周期」と呼ばれる天文周期である。
この周期は中国暦では「章」と呼ばれる。筆者は3つ前の記事で、2014年12月の冬至に成立した、朔旦冬至に関する記事「朔旦冬至と西洋占星術」を上梓し、そこに資料として1995年冬至から2014年冬至までが、19年の「章」の単位であることを記載した。
前回のジェリコの壁の記事をもう一度読み直していただきたい。壁を崩した軍勢は7日間のうち、6日間は1日に1回城壁を廻った。最後の7日目は城壁を「7」回廻った。これを19年のメトン周期に当てはめると、最後の7日目にあたる約2年8ヶ月の期間のうちに、7回の天王星-冥王星のカーディナルスクエアが成立するという、実際の天体サイクルと完全に一致するのである。
19年のメトン周期のサイクルを西洋占星術に組み込むとき、区切りは春分に置くのが望ましい。2015年3月21日の春分に先立つ3月17日、最後のカーディナルスクエアが成立する。このタイミングが、旧約聖書に記される、絶対に崩れない物の譬えとされる“ジェリコの壁”を崩壊に導く、最後の喇叭のときになるのかもしれない。
偶然と呼ぶにはあまりに奇遇な天体サイクルの一致。本稿をもって未来を予見したと言うつもりはない。しかし何も知らないままその日を迎えるよりも、何が来るか分からなくとも、備えと心の準備をしておくことが有用であることは、地震に対する備えと同じことである。来たる7回目のカーディナルスクエアは、今までとは違うとだけ憶えておいて、予期せぬ危機に備えていただければ幸甚である。