占星術思いつきメモ(天体位相研究カルデア)

占星術に関して思いついたことを書き留めるブログ。西洋占星術による地震予測、金融占星術の研究をしています。

運命は決まっているか

2010-01-01 22:18:49 | 占星学
占星術など占い系の情報に当たると、その性質上「運命」という言葉に触れる機会が多いのではと思う。ところがこの「運命」という言葉の意味については、その言葉を使う人の認識の違いにより実に様々な定義がなされている。特に「運命(未来)は決まっている」という前提で占いをされる方もネットで散見されるのだが、当ブログ(筆者)としては、これには明瞭に反対である。実際に起こりうる出来事は物事が確定する瞬間まで、決して決まっていないと考える。量子論的に言えば、波動関数の収束が確定する瞬間までは、起こりうるあらゆる事象の可能性は一つに収束しないのである。

しかし、人生というものを見回してみると、社会的人間的な影響、あらゆるしがらみと不可抗力的な環境、限られた可能性の中で生きているというのが現実である。そんな状態を人は「運命」と感じる場合も多いのである。しかしそれで運命が決まったものと考えるのは、占星学的な考えからすると誤謬である。

占星学が扱う太陽系システムというのは、無限の可能性を持った虚空である宇宙のエネルギーを、太陽系システムがそれ自身が持つ秩序により、分化、撚り合わせて、地球を原点とする時空間で収束させるシステムであると筆者は考える。占星学システムは時空間に一定のベクトルと可能性を与えるが、少なくとも最初から決まった運命というのが存在するわけではない。

ここで重要なのは、この時空を収束させる占星学システムというものを、すべての人が持っているということである。それが出生図(バースチャート)だ。生まれた瞬間にすべての人は宇宙から「天賦の才能」を与えられるが、この才能の可能性を十二分に引き出して生きている人というのは、実際そう多くはないと思われるのだ。人生の可能性を豊かにするには、運命に対してクリエイティブ(創造的)でなくてはならない。しかしこれが難しい。

08年に5億円詐欺容疑で逮捕された小室哲哉氏は、出生図に太陽と冥王星の完全なスクエアを持っている。若い頃から他を圧倒する非常に強い人生開拓能力を授かっており、日本のポップシーンで彼の活躍を知らない人はいない。氏は2000年代に入ってから仕事が減っていったが、セレブな生活をやめられず詐欺に至ったという。この場合を見ると、彼は自らの強運に任せた人生を送り、運気が失せると人生の可能性もしぼんでしまっており、自らの運命をクリエイトしていたわけではない。この点では彼も我々同様凡俗の一人にすぎない。運命を創造的に開拓するというのはこういうことではないのである。

人生における運命の源泉、占星学で言えばそれは「太陽」である。占星術で最も誤解されているのがこの太陽だ。○○座の性格とか運命とかいう占い雑誌のおかげで、太陽が性格や運命を規定するものだと思われているがそれは違う。性格や資質は太陽もさることながらむしろ月がその人の魂に刻印する。では太陽とは何か。

古来から神秘主義が伝え語る「霊我」「霊界太陽」、あるいは「ハイヤーセルフ」「真の自己」・・。言葉を尽くしても語り尽くせないが、太陽とは先天的に遺伝的な資質ではなく、後天的に獲得すべき真の運命である。身近には「目的意識」であり、達成することにより満足しうる「使命感」でもある。太陽の力を活性化することにより、出生図全体に力が与えられ、その重い円環は初めて真の力を発揮する。運命を創造するというのは、内的な自己の源泉から力を引き出す強さに他ならない。

21世紀の占星術の目的は、各人に与えられた「天賦の才能」を解読し、人生のクリエイティビティを引き出す一助となるのが本意であると筆者は考える。しかしこの目的に適合する占星術はいまのところ存在しないに等しい。サビアン占星術はそれに最も近いが、取扱い方が整備されていないので読む人がそれぞれ判断するしかないのが実情だ。

また本稿では触れなかったが、占星術は危険を未然に察知し、対策を立てるためのタイムテーブルとしても使う事ができる。筆者が社会(マンデン)占星術の研究をしているのもこの分野に入る。

平たくまとめると、運命というのは与えられるものでなく、開拓するものである。それぞれが内的な真の自己を掘り当て、掴んでいく過程を通して運命は鍛えられ、強みを増すものだと思うのである。

2010年も皆様に豊かな幸福がありますようお祈りいたします。

コメント (4)    この記事についてブログを書く
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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
あけましておめでとうございます (もしもしマン)
2010-01-02 00:57:41
本年もよろしくおねがいします。
昨年の占果は、年後半の精度(特に金融関係)は相当なものだったと思います。今年も実験的な検証を楽しみにしております。
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明けましておめでとうございます。 (pneuma_2007)
2010-01-02 02:22:16
もしもしマン様。いつもありがとうございます。
私は金融事情について特に詳しいわけではないので、間違い等あるかもしれませんが、ご指摘くだされば幸甚です。本年もよろしくおねがいします。
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明けましておめでとうございます (田中)
2010-01-02 08:08:08
はじめまして。以前からこちらの記事読んでおります。新年そうそう微かですが月食ありましたね。
占星術は巷にあふれ極端に世俗化していると感じています。pneuma_2007様(お名前これでよろしいですか?いいお名前ですね)の占星術に対する考えは私のような素人にはとっても啓蒙的なものです。これからの記事も楽しみにしております。
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コメントありがとうございます。 (pneuma_2007)
2010-01-03 17:16:01
田中様。愛読いただき感謝です。名前はgooのIDそのままなので、何か決めた方がいいのかもしれませんね。本年もよろしくおねがいします。
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