現代アート道楽の日々。

首都圏の展覧会の感想など。しばしば遠征。【不定期更新】

井上尚子ギャラリートーク

2005-03-12 | アート感想@関東
今日は、練馬区立美術館へ。この美術館は西武池袋線の中村橋駅から近くて便利。

現代美術の手法(7) 創造のさなかに -ただ今制作中!-

会場に着いたら、ちょうど出品作家の井上尚子(いのうえひさこ)と学芸員によるギャラリートークをやっていた。ラッキー!私と同い年の井上尚子は、小柄でチャーミングなお方だった。

ギャラリートークを聴きながら作品を観て回ったが、今回の展覧会のために館内で制作された以下の3作品が特に良かった。

井上尚子の作品は、映像・音・香りによるインスタレーション《Orange Ceremony》。スチール家具で組み立てられた茶室風の空間に入ると、オレンジの良い香りがふわ~っと漂ってくる。天井にはオレンジをイメージした映像が投影され、氷が溶ける音やサイダーの音が聞こえてくる。何とも心地よい空間だった。実際、70代のおばあちゃんが、あまりにも気持ちよくて寝ていたこともあったとのこと。

吉田亜世美の作品は、ロビーの空間を一変させた《階段プロジェクト》。ロビーに立てた12m90cmの柱と、階段の側面の壁に、700枚の赤いシートを貼り、その上に4万6千枚の丸く切ったフェルトを貼ったもの。遠くから観ても壮観だけど、近くで観ると気が遠くなるような手作業の跡。これは凄い。

青木野枝の作品は、鉄による彫刻《もどる水》。この作品は、厚さ12mmの鉄板を切断してパーツを作り、このパーツを館内で組み立てたもの。館内での溶接作業なので、溶接時の煙や、消防署との調整に苦労されたとのこと。四方のガラスケースの中も鉄板のパーツが並び、作品の中に入り込んだような感覚が面白かった。

これらの3作品は、展覧会が終わると解体され、2度と観られないとのこと。他にも、岡崎乾二郎、荻太郎、建畠覚造によるジャンル・世代を越えた作品もあって、充実した内容の展覧会だった。

3月31日まで、月曜休館。ただし、3月21日開館、3月22日休館。