茫庵

万書きつらね

2012年11月10日 - ダンテ「神曲」を読む 4

2012年11月10日 11時21分30秒 | 名句、名言


 なかなか読書が進まないなかで、Terzineで書かれた英語版(ペンギンbooks)を購入しました。同じTerzineで書かれた英訳は何種類も出ており、中には原詩と対訳になっているものもありましたが、全巻揃っている以下のシリーズを入手しました。

Penguin Books
The Comedy of Dante Alighieri
The Florentine
Cantia Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ
Translated by Dorothy L. Sayers
ISBN-13: 978-0-140-44006-5

 既にインターネットでフリーのテクストをいくつかダウンロードしてはいましたが、ページを行ったり来たりするのに不便ということで、自宅限定で読む事にしていました。スマートフォンに入れてみましたが、文字が小さすぎて目が疲れてしまうので大変でした。フォントを拡大したら部分しか表示されず、端に行く度にスクロールするのが結構面倒で、時々どこを読んでいるか見失ったりするのでこれまた不便。手軽に持ち歩けるペーパーバック版が見つかってよかったです。更に、集英社文庫の邦訳版も入手。これで我が家にはダンテ「神曲」の紙の本はレクラム、岩波、河出、ペンギン、集英社の各バージョンが揃った事になります。言語的には以下のようになります。

ドイツ語
 レクラム文庫(Terzineではない)
 インターネット(Google Books)(Terzine)
英語
 ペンギンブックス(Terzine)
 インターネット(Google Books)
日本語
 岩波(文語+漢語)、河出(口語)、集英社(文語っぽい口語)の各文庫
 インターネット(Google Books)
中国語
 インターネット(中国系電子ブック)(Terzineではない)


 原詩がどうなっているか、私には理解出来ないのでどれが元の詩意を伝えているかの判断は出来ませんが、詩型的には英語とドイツ語それぞれに踏襲したものがあるので先ずはそこに狙いを絞って読んでいます。それでも英語版には複数の選択肢があり、選択に困るところですが、とりあえず全巻揃っているものを揃えました。

 現在岩波の文語訳版が最も進んでいて25曲。河出が20曲、独英はそれぞれ5曲あたりで行っおたり来たりしていますがどれを読んでも語彙力不足でいまいち分からないところがあり、まだまだ消化不良状態が続いています。

 ここまでで見えてきたものは、作者は地獄に現世の様々な物を持込み、現世における人のあり方や価値観や行いなどがどう裁かれるかを描く事で、作者の持つ信念や価値観を描いているという事です。それは、必ずしも世界一般で受け入れられる様な普遍的な物ではありません。大多数の日本人にはキリスト教的世界観は理解出来ないのでなおさらです。もっともこれが教義に基づいているかというと私にはかなり違和感があります。実際、私が通っていた協会では牧師が地獄の事など牧師が話す事はありませんでした。もっともプロテスタント系協会はまだ存在すらしてなかったのでダンテの時代、フィレンツェでは別に珍しい内容ではなかったのかもしれませんが。

 このあたりの情報はダンテ研究者が巷には沢山ある様ですが、私はまだ目を通していません。なので、この先もっと明らかになってくると思います。ま、そこはその都度自分の情報を更新していくということで。