ぴてのひとりごと

法務や福岡ソフトバンクホークスの話題など、徒然なるままに書き込んでいるブログです。

六法

2005-11-30 23:13:45 | 法務
 会社法施行規則は、条文の数も多いのでなかなか読み込みが進みません。また週末の課題になってしまいそうです。
 さて、私は岩波の判例基本六法を愛用しているのですが、新版が出たので買ってきました。買ってみて気づいたのですが、追録版には会社法施行規則等は掲載してくれないんですね。文書・株式担当者としては、施行規則が載っていないと利用価値が半減してしまうのですが・・・。会社法施行規則等が公布されたあともう一冊買わなければいけないのかな?というか、会社法施行規則等を掲載した六法を出してくれる会社があるのだろうか。ないと困るなあ。

会社法施行規則

2005-11-30 00:09:58 | 法務
 ついに出ました!会社法施行規則のパブリックコメント(こちら)!会社法施行規則を始めとした法務省令が9本。こりゃあ読むだけで一苦労ですなあ。作る方も大変だったでしょうね。
 とりあえず流し読みして気づいた点を書いてみます。

(会社法施行規則)
・公開会社は、すべて役員の報酬等の総額を開示しなければならないようです(77条3項4号)。
・監査役が財務会計に関する相当程度の知見がある場合は、その旨を事業報告に書かなければいけないようです(77条3項7号)。
・社外役員の活動状況を事業報告に書かなければいけないようです(78条4号)。
・株式会社の支配に関する基本方針ってなんだ?敵対的買収防衛策のことなのでしょうか?(80条)

(株主総会に関する法務省令)
・集中日に招集する場合はその理由を書かなければいけないようです(3条1号ロ)。
・株主総会議事録には、出席全取締役の記名押印は不要なように読めるがそれで正しいのだろうか?(10条3項)
・参考書類に「社外取締役候補者とした理由」なるものを書かなきゃいけないようだ(12条4項)。

(株式会社の業務の適正を確保する体制に関する法務省令)
・内部統制システムは連結ベースで構築する必要があるようです(4条1項6号)。

(株式会社の計算に関する法務省令)
・持分法投資損失(これは現在までの累計でということになるのでしょうか?)が分配可能額の計算にあたって控除されることになったようです!(112条4号)

 こりゃ、びっくりの連続ですね。これからじっくり読んでみないといけませんね。

イーホームズの行為の評価

2005-11-27 13:00:10 | 法務
 現在、建築物の構造計算書偽造問題が非常に話題となっています。この問題は、建築基準法に基く指定確認検査機関である(株)イーホームズの情報提供により発覚したものです(こちら)。報道等によると、イーホームズの内部監査の過程で発見されたとのことです。

 このようなイーホームズの行為は高く評価されるべきだと考えますが、そのような論調はあまりなく、イーホームズの責任を問う声ばかりが聞こえます。イーホームズの行為により、人命に影響が出るという重大な結果が発生する前に問題が発覚したのであり、これ以上問題となる建築物が増えることを防ぐことができたのです。イーホームズの検査に問題があったかどうかについては、これからの事実関係の調査を待たなければなりませんが、少なくともこのような適切な行為をとったことに対する正しく評価されなければなりません。

 「ビジネス法務の部屋」で山口弁護士も書かれていらっしゃいますが、イーホームズの行為は社会に見える形で肯定的に評価されるべきです。もし、イーホームズが確認検査機関としての指定を取り消されたり、多額の賠償請求により倒産するなどの重大な結果になった場合、社会に重大な悪影響を及ぼすことは必然です。正直に公表しても、隠していたことが発覚しても、その結果同じだとすれば、自然と隠す方向に走るのが普通でしょう。もし、今回のケースにおいてイーホームズが事実を隠していたらもっと重大な結果になっていたことは明白です。

 そもそも今回の事件はイーホームズの内部監査によって発見されたものであると言われており、内部監査の結果に基いて執行部が適切な対処をとったわけであり、その範囲において内部統制は有効に作用していたのです。そもそも内部統制とは

『「効果的・効率的な業務活動」、「財務会計報告の信頼性」、「コンプライアンス」という異なる目的の達成に関して「合理的な保証」を提供することを意図しており、事業体に属する人々(取締役、企業経営者、従業員の全員)が実施しなければならないプロセスである。』と定義されています。
(赤字強調はぴてが付加。Committee of Sponsoring Organizations of the Treadway Commission,「Internal Control ― Integrated Framework」, 1992 年9 月、経済産業省 企業行動の開示・評価に関する研究会「コーポレートガバナンス及びリスク管理・内部統制に関する開示・評価の枠組について」2005年8月)


 つまり、内部統制とはあくまで「合理的な保証」を得ることが目的なのであって、仮に有効に機能していたとしても不正が完全にないことを保証するものではありません。ましてや、今回の事件はイーホームズの故意による不正行為ではなく、せいぜい過失にとどまるものと考えられ、しかも重大な結果に至ることを内部監査によって防いだのですから、この行為は賞賛に値するものです。
 Harvard Law SchoolのProf. J.Mark Ramseyerが以前公演でおっしゃられていましたが、「犯罪の最適発生頻度はゼロではない」のです。完全に不正も過誤も発生しない会社は存在せず、その発生を抑えるための合理的な努力というのはなにかという観点から問題を考えるべきではないでしょうか。
 
 以上の点を十分に考慮して、イーホームズの行為が正当に評価されることを強く望みます。

剰余金払戻規制の目的とは?

2005-11-23 01:05:26 | 法務
 商事法務の1746号、1747号に法務省民事局付の郡谷検事、岩崎検事による「会社法における債権者保護」という論文が掲載されています。
 その中で剰余金の払戻規制の意義について論ぜられています。「債権者が弁済を受けることができる権利の保護」という観点では払戻規制は限定的な意味でしか債権者の保護は図られていない。むしろ、債権者と株主との利害調整として存在意義がある。という趣旨の主張がなされています。
 この主張は非常に説得力があると思います。従来から私もなぜ(現行商法の)配当規制に債権者保護(=債権者が弁済を受ける権利の保護)の機能があるのか不思議に思っていました。
 債権者保護は、会社が債権の支払いを停止したとき、つまり支払停止、支払不能に陥ったときに問題となります。しかし、配当規制は、継続企業の前提に基いて作成された計算書類を基礎としています。債権者保護が問題となるのは継続企業の前提が崩れたときであるにもかかわらず、配当規制は継続企業の前提に基いて作成された計算書類を基礎としているのです。通常、清算価値は、継続企業としての価値よりもはるかに低いですから、配当規制は債権者保護に対し極めて限定的な効果しか持たないと解するべきでしょう。つまり、計算書類上配当可能利益があったとしても、資本相当額が清算価値ベースで会社に残っていないケースも多いのではないでしょうか。
 それよりも、債権者と株主の利害が衝突する会社財産の払戻しに強行法的に規制を加えることにより、会社及び債権者の払う(不毛な)モニタリングコストの低減を図ったというこの論文の主張の方がはるかに現実に適合していると思います。

献血

2005-11-21 00:04:41 | Weblog
 約10年ぶりくらいに献血に行ってきました。400mlの献血に挑戦したのは初めてです。献血の手順はほとんど変りませんが、本人確認の手続ができたのと問診(特に海外渡航等)が詳しくなったのが印象的でした。
 献血をしていると、突然大声で叫びだすひとりの男が。これは本当にビックリしました。なにを言っているのか聞いてみると「A型、O型の血液が足りません」というカンバンに文句を言っているようでした。「B型の血液は必要ないって言うのか!」と激昂しています。なにが気に食わないのか分かりませんが、こんな人が善意で献血に来ている人の気持ちを害するのは困ったのものです。

 私は、「情けは人のためならず」という言葉が好きで、できることからやっていきたいと思っています。これからも献血を継続的に続けていくことにしましょう。
(それにしても「情けは人のためならず」という言葉の本当の意味が忘れられ、誤った解釈が広まっているのは残念ですね。)

業務と職務

2005-11-19 00:31:58 | 法務
キタ━━━(゜∀゜)━━━!!!

  法務省担当官の書く会社法解説「会社法であそぼ」というブログができました。葉玉民事局付といえば、商事法務1742号の「議決権制限株式を利用した買収防衛策」が有名で、私は内容の斬新さ、発想の柔軟さに感動を覚えました。その葉玉民事局付の作成するブログですから、面白くないわけがありません。このブログにはマニアックな内容満載!法務担当者必見のブログです。

 さて、その「会社法であそぼ」に「業務」と「職務」の区別を解説したエントリーがありました(こちら)。これも目からウロコです。「選任」と「選定」の使い分けには感動しましたが、「業務」と「職務」も使い分けていたんですね。

 正確な分類ではないかもしれませんが、私なりの理解では、執行サイドによるオペレーションに関することは「業務」であり、監督及び戦略意思形成(業務執行決定)に関するもの(ガバナンスと言い換えるといいかもしれません。)が「職務」だと理解しました。ですから、株主総会等に関するものは「職務」として取締役が執行することとなるようです。

 ただ、「業務」と「職務」の関係はよく分からない部分もあります。この点については、もう少しじっくり考えてみてから、自分の意見をコメント欄に書いてみます。


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 業務は「会社の業務」、職務は「取締役の職務」と使われるようです。その意味で、業務と職務は若干次元の違う概念ということとのことです。
 「取締役の職務」に「会社の業務」執行とそれ以外のものがあり、社外取締役は「会社の業務」執行はできないということのようです。
(2005-11-20 追記)

ステーキとは?

2005-11-17 23:15:06 | 法務
 フォルクスが内臓肉と脂肪を混ぜた成型肉を「ステーキ」として販売した行為を優良誤認であるとして公正取引委員会が景品表示法に基いて排除命令を出しました(こちら)。

 確かに「ステーキ」の定義というものはあるような、ないような状態ですから、なにをもって「ステーキ」というのは難しい状態ですが、一般的にはこれはハンバーグという部類なんでしょうね。もっとも、ハンバーグステーキとも言うしなあ。
 いずれにしても、行政指導で十分政策目的は達成できると思われ、いきなり排除命令というのは少し厳しすぎるのではないかという気もします。むしろ、外食産業における公正競争規約を充実させ、事業者団体を通じた自主的な改善を求めた方がよいと思います。

平成電電匿名組合

2005-11-15 22:55:00 | 法務
 民事再生法の適用を申請した平成電電に関連した匿名組合契約が問題になっているようです。別会社である平成電電システムと平成電電設備が一般投資家からの出資を匿名組合契約で受け入れたうえで、平成電電に対し設備をリースしていたところ、平成電電の民事再生法申請に伴い、出資金を返還できなくなったというのが事実関係のようです。

 匿名組合については出資者の有限責任と税務上のパススルーという程度の知識しかないのですが、匿名組合を利用して不特定多数からの出資を受け入れていたというのには驚きました。詳細な事実関係がよく分からないので詳しい論評は避けたいのですが、いくつか疑問点を提示しておきます。

1.営業者である平成電電システム等の善管注意義務は?
 そもそも匿名組合の営業者が善管注意義務を負うのか条文上明確ではありませんが、匿名組合は組合の特則であると理解すれば、矛盾しない範囲で組合の規定が適用されると考えられ、営業者が善管注意義務を負うことになりそうです(民法第671条、同法第644条)。
 以上の前提の下で考えたとき、営業者は十分な善管注意義務を果たしたのでしょうか。平成電電から財務状態等について適切な情報提供を受けていたのか、平成電電の財務リスクについてどう評価していたのか興味があるところです。
 もっとも営業者である平成電電システムの善管注意義務違反が認められたとしても同社に財産が残っているとは思えず、あまり出資者の救済になりませんが。

2.平成電電の責任は?
 平成電電と平成電電システム等は別法人であり、しかも資本関係もないようですので、原則として平成電電が本件匿名組合契約に基いて出資者に責任を負うことはなさそうです。しかし、「平成電電」の名称が付いており、しかも報道によると平成電電のロゴを使って匿名組合の広告をしていたとのこと。おまけに平成電電の施設内で平成電電の従業員が匿名組合の説明をしていたという報道もあります(SPA!2005年11月22日号)。この場合、商法第23条(の類推適用)に基く名板貸人の責任を負う可能性はないでしょうか。
 もっとも、匿名組合契約の中で営業者は平成電電と異なる別法人であることを明確にしているでしょうから、仮に出資者が営業の主体を誤認していたとしても、重大な過失があると認定される可能性があり、商法第23条に基いて平成電電の責任を追及するのは難しそうですね。

マリーンズアジア王者に

2005-11-14 08:31:12 | Weblog
昨日コナミカップアジアシリーズの決勝が行われ、千葉ロッテマリーンズがサムスンライオンズを破りアジア王者となりました。
この試合もかなり見所がありました。一番驚いたのはやはり打者渡辺、一塁走者西岡の場面でしょう。ツーアウトで走者西岡、誰が見ても盗塁を仕掛けてくる場面です。ここでベンチのサインはなんと「走るな」。投手にプレッシャーをかけて打者渡辺の好きなストレートしか投げられないような状態に追い込んだ訳です。結果はストレートを狙い撃ちしてホームラン。バレンタイン監督とそのスタフが敵だけでなく味方の情報も十分分析して作戦立案しているなと感心しました。ここが今のホークスに欠けているところのひとつかもしれません。
そういえば、以前野村監督も似たような作戦をとっていましたね。あの時は、ストレートが強く、変化球に弱い打者を代打に送り、投手に変化球を投げさせみごと一塁走者の盗塁を成功させたのだったと思います。データだけではもちろん勝てないでしょうが、やはりデータに基づいた作戦立案は必要なのでしょうね。


パレートの法則

2005-11-13 20:00:07 | 経営、経済
 まし~ん10号さんのところでパレートの法則が紹介されていましたので、ちょっと思ったところを書いてみます。

 利益の80%は20%の要素から生み出されている、というこの法則は日本でもよく知られていますが、これを日本で経営に生かすのはなかなか難しいようです。
 アメリカでは、利益の80%を生み出す20%の顧客にまずリソースを集約せよ、不採算な顧客(当然限界利益(Marginal Revenue)がという意味だと思いますが)は切り捨てろ(Fire your custmer!)などと教えていました(もちろん、顧客を切り捨てるべきでないような例外はありますが、省略します。)。
 日本では、どんなお客様であっても、「お客様は神様です。」という考え方ですから、お客を自ら選別するという発想はなかなかでてきませんから、アメリカの考え方に初めて接したときには軽い驚きを覚えました。もっとも契約自由の原則からすれば、企業の側にも誰と契約し、誰と契約しないかの自由があるわけですから、法的見地からすれば当たり前なのかもしれませんが。
 逆に利益のほとんどを創出する素晴らしい20%のお客様は絶対離さないようにしなければならない、そういう意味でCustomer Retentionが非常に重要になるわけです。このような視点が出発点となって、CRMという考え方が出てきたそうです。

 ところで、これに類する話として、アリの集団は、20%が一生懸命働いて80%の成果を生み出し、20%はまったく働かないそうです。ところが、働かない20%のみを取り出して別の集団にすると、そのうちの20%が一生懸命働き始める、という話を聞いたことがあります。
 このことは顧客層についても言えるのでしょうか?ちょっと興味がありますね。ローエンドモデルについて別ブランドを立ち上げるということをこういう視点から考えるのも面白いかもしれません。