ぴてのひとりごと

法務や福岡ソフトバンクホークスの話題など、徒然なるままに書き込んでいるブログです。

名は体を現す?

2006-02-26 01:00:59 | Weblog
 最近忙しくてちゃんとエントリーを書く余裕がないので、今日はちょっと小ネタを。

 Z会の預金を勝手に引き出したとの疑いで探偵社の男が逮捕されたそうです(こちら)が、その探偵社の名前は
「イリーガル」!!

 う~ん・・・(笑)

参考書類等の修正

2006-02-19 02:21:16 | 法務
 会社法施行規則第65条第3項は次にように規定しています。(会社法施行規則第133条第6項、会社計算規則第161条第7項、第162条第7項にも同旨の規定あり。)

取締役は、株主総会参考書類に記載すべき事項について、招集通知を発出した日から株主総会の前日までの間に修正をすべき事情が生じた場合における修正後の事項を株主に周知させる方法を、当該招集通知と併せて通知することができる。

 これは、実務上助かります。印刷して発送してから印刷ミス等を発見したとしてもこれを訂正することは結構難しいのです。訂正表を印刷して送付したりするとものすごいコストがかかりますし、第一、時間的に間に合わないことがほとんどです。印刷ミス等で株主総会決議が取り消されることはまずないでしょうが(まず九分九厘、裁量棄却でしょう。)、事務方としてはあまり気持ちのいいものではありません。

 会社法では、招集通知にURLを掲載しておけば、印刷ミスがあっても一々送り直さなくてもインターネットに掲載することによって訂正することができます。

 こう考えてみると、新法でやるメリットもあるみたいですね。今度の定時総会を新法でやるか旧法でやるか、各社迷っているところだと思いますが、新法でやる会社も結構あるかもしれませんね。

企業会計基準と公正妥当な会計慣行

2006-02-18 02:02:39 | 法務
 公正妥当な会計慣行と商法、証取法の関係について面白い論文が2点ありました。「会計基準の設定と「公正ナル会計慣行」」(判例時報1911号、弥永真夫)と「リース会計基準変更に関する法的検討」(商事法務1755号、田路至弘 圓道至剛)です。

 粉飾決算やそれに基づく違法配当は刑事罰を伴う違法行為ですが、なにをもって粉飾決算というかは公正妥当な会計慣行に委ねられています。そこで、公正妥当な会計慣行とはなにか、という問題を避けて通ることはできません。実は、ここには二つの問題があります。

①ある会計処理が公正妥当な会計慣行か否か
②ある会計処理が唯一の公正妥当な会計慣行か否か

 現在、企業会計基準は、財団法人 財務会計基準機構の企業会計基準委員会(ASBJ、こちら)で作られています。①の問題に関連して、ASBJの定める企業会計基準について、田路弁護士、圓道弁護士の論文で次にような指摘があります。
 ASBJには会計基準設定権限を有する旨の法的根拠がないため、ASBJが定めた企業会計基準が公正妥当な会計慣行に該当しない可能性もありうる。つまり、企業会計基準に従って計算書類を作成することが会社法上違法となるケースもありうることを示唆しています。
 弥永教授の論文でも「現在の多数説が、企業会計審議会の公表した会計基準が「公正ナル会計慣行」であると強く推定されるというレベルでとどまり、「公正ナル会計慣行」であるとは言い切っていないとすれば、(後略)」と書かれており、田路=圓道論文と同様のことを示唆しているようにも読めます。

 企業会計基準に従っているにもかかわらず、違法と解される場合が完全に否定しきれないというのはやはり問題ではないでしょうか。最低でも企業会計基準にしたがっていれば問題ないというセーフハーバーとして認められるべきであり、そうでないと何に準拠して計算書類を作成すればいいのかについて常にリスクが存在することになってしまいます。これでは、会社が著しく法的に不安定な状態に置かれてしまうのではないでしょうか。そういう観点からすると、ASBJの策定する企業会計基準に法的根拠を与える必要があるのではないかと思います。
(米国のFASBはSECから会計基準を設定する権限を与えられていたように思いますが、どうだったでしょうか?)

 これだけ見ても、会社法と会計の問題も実は非常に難しい問題をですね。

 ②の問題についてはさらに難しい問題ですね。公正妥当な会計慣行は二つ以上のものが並存しうるので、ある会計慣行に従わないことが本当に違法かどうかは、その会計慣行が唯一の公正妥当なものかどうかというのを検証しなくてはなりません(正確には、その会社が従った別の基準が公正妥当な会計慣行に該当するか否かを検証する必要があります。)。この点については、時間があれば別の機会にじっくり考えてみたいと思います。

株主資本等変動計算書

2006-02-15 23:59:38 | Weblog
 次年度から計算書類のひとつとなる株主資本等変動計算書ですが、ひとつ気になることがあります。それは、株主総会の添付資料や有価証券報告書(EDINET開示)でどのように載せるのだろうかという点です。

 株主資本等変動計算書は、純資産の部の各科目を横に並べる形が原則とされており、確かにこの形式が見やすいのですが、問題はかなり横長になってしまうことです。まだ多くの会社が営業報告書の用紙として採用している、縦長サイズの紙ではこの横長の株主資本等変動計算書をどう表示するのでしょう。また、EDINETではどのように表示することになるのでしょうか。

 くだらないことですが、実務的には意外と問題になるのではないかと思いました。

「いただきます」論争

2006-02-14 00:01:00 | Weblog
 たまたま見た某女性週刊誌によると、最近「いただきます」論争なるものが起こっているそうです。発端は、ある小学生の保護者が、お金を払っているんだから、うちの子にはいただきますと言わせないで欲しいと学校に要請したことだとか。

 これについては、人によっていろいろと感じるところがあるとは思いますが、私が思ったのは日本人の契約感(というと大げさですが)です。日本人は、買い手がエライと思いがちですが、よくよく考えると買い手も売り手も対等な契約当事者なのであって、どっちが偉いなんてことはないはずです。

 私自身は、サービスというのはお客とお店の共同作業だと考えていて、お互いに気持ちよくサービスを受けられるよう、感謝の気持ちを言葉に出すように気をつけています。サービスする側も感謝されると気持ちのいいものですし、それがお客の側にもはね返ってくるものだと思っています。「情けは人のためならず。」という気持ちに近いですね。

 「いただきます」論争のきっかけを作った保護者の人も、人間関係の潤滑油としてあいさつや感謝の言葉を使う、という発想をしてみるとよいのかもしれません。

弁護士事務所

2006-02-10 01:46:15 | 法務
 ある弁護士事務所さんから請求書が届きました。その封筒が「conqueror」(こちら)のものだったのでちょっとびっくりしてしまいました。請求書の封筒なんて、一番安物でいいのに・・・。

 個人的には、豪華すぎる事務所とかはどうかなと思ってしまいます。こちらはリーガルサービスを買いに行っているわけですから、機能的であれば十分です。ある程度格調のある事務所にしないとクライアントから信頼されないという面があるのでしょうが、法務部が設置されているような会社から見ると、あんまりそういう部分にあんまりお金をかけて欲しくないなあと思ってしまいます。古すぎたり、汚かったりするのは困りますが・・・。

 逆に、ある弁護士事務所では、クライアントが自分でペットボトルの飲み物を勝手に取って飲んだりするシステムになっていますが、こういうのは安心します。
 
 もちろん、依頼をするときには、その弁護士事務所が得意な案件か、どのように弁護士を使いたいか、コストパフォーマンスはどうか、という多面的な側面から検討してどこの弁護士を使っています。ただ、私としては、コストパフォーマンスという点から、その弁護士事務所のコスト感覚というのも考慮に入れています。

 日経ビジネスとかで、弁護士ベスト10なんていうランキングが発表されていますが、コメントが短すぎてあんまり参考にならないかな、と思ってしまいます。法務部覆面座談会なんかしてみると面白いかもしれませんね。

インターネット掲載

2006-02-08 01:01:36 | 法務
 ついに公布されました、会社法施行規則!案の段階では9本だったものが、会社法施行規則、会社計算規則、電子公告規則の3本建てになるなど、結構大きく変更になっているようです。

 中身はまだ読んでいる途中ですが、とりあえず今度の定時株主総会の定款変更議案に入れなければならないのは、参考書類等のインターネット掲載です(会社法施行規則第94条、第133条第3項、会社計算規則第161条第4項、第162条第4項)。

 これは、定款の定めがあることを条件として、参考書類、事業報告、連結計算書類等の内容をインターネット上で掲載することをもって、株主に提供したとみなすものです。つまり、インターネットに掲載すれば、印刷物として株主に送付しなくてもよいという取扱いです。

 まだ条文を十分検証していないのですが、個別計算書類の注記事項及び連結計算書類の全部をこのインターネット掲載の方法によって提供できるようです。これをやればだいぶページ数を削減できるので、採用する会社が多くなりそうですね。

インクカートリッジ特許訴訟

2006-02-04 11:49:17 | 法務
 キヤノンとリサイクル・アシストとの間で、使用済みインクカートリッジにインクを再充填して販売する行為がキヤノンの特許侵害を構成するかどうかで争われていた事件で、知財高裁がキヤノン勝訴の判決を出しました(こちら)。

 具体的には、キヤノンの特許が消尽するかどうかで争われていたようです。結論としては、
「特許製品につき第三者により特許製品中の特許発明の本質的部分を構成する部材の全部又は一部につき加工又は交換がされた場合(第2類型)に該当するから,本件発明1に係る本件特許権は消尽しない。」
 として、キヤノンの特許侵害を構成するとしています。

 特許の消尽の問題としても面白い事件なのだと思いますが、個人的に気になったのはリサイクル・アシストの「控訴人のビジネスモデル」という主張です。要は、純正品のインクタンクが非常に割高でインクタンクにより暴利を得ていると主張しています。この主張に対し裁判所は、次のように判示しています(少し長いですが、引用します。一部省略、下線は「ぴて」による。)
しかし,まず,控訴人のビジネスモデルが被控訴人主張のようなものであることを認めるに足りる証拠はない。(中略)控訴人の販売するプリンタ本体の価格が不当に低く,純正品のインクタンクが不当に高いことを客観的に裏付ける証拠は見当たらない。
また,特許権者は,産業上利用することのできる発明をして公開したことの代償として,特許発明の実施を独占して利益を得ることが認められているのであり,特許製品や他の取扱製品の価格をどのように設定するかは,その価格設定が独占禁止法等の定める公益秩序に反するものであるなど特段の事情のない限り,特許権者の判断にゆだねられているということができるが,本件において,そのような特段の事情をうかがわせる証拠を見いだすことはできない。
しかも,仮に,被控訴人の主張するように,純正品の価格が製造原価を大幅に上回るものであるとしても,純正品とリサイクル品との価格差(前記(2)カ(イ)認定のとおり,1個当たりの小売価格は,純正品が800円~1000円程度,リサイクル品が600円~700円程度である。)並びに控訴人及び被控訴人が負担する費用(被控訴人の側においては,リサイクル品の製造,輸送等に費用を要するとしても,特許発明に関する研究開発費,本件インクタンク本体の製造費用等の負担を免れているわけである。)を勘案すると,控訴人が純正品の販売により過大な利益を得ているとすれば,被控訴人においても過大な利益を得ていることとなるから,そのような被控訴人が消費者保護の見地から控訴人の本件特許権に基づく権利行使を否定すべき旨をいう主張は,採用の限りではない。
 事実認定の当否についてはよく分かりませんが、それ以外の部分の判示についてはもう少し詳細に検討していただいてもよかったのではないかと感じました。1000円の商品における200円~300円の価格差というのはかなり大きいと思いますし、独占の状態での「過大な利益」と自由競争の結果の利益とはまたちょっと評価が違うのではないかと思います(そんなに利益が出るのであれば、新規業者がどんどん参入してくるでしょうし。)。裁判所も独占禁止法の問題について認識しつつも、あっさりと「そのような特段の事情をうかがわせる証拠を見いだすことはできない。」という一言で片付けてしまっていますので、少し不親切だなと感じます。「特段の事情」を例示してもらってもいいのではないかと思いますが、そもそも事実認定の段階で「控訴人のビジネスモデルが被控訴人主張のようなものであることを認めるに足りる証拠はない」としていますから、あっさり流したのでしょうか。

 インクカートリッジ関しては、以前にICチップを搭載することにより再生品が作れなくなるのではないかということで公正取引委員会でも問題とされ、結果として再生業者が再生品を作ることができるということで問題なしとされています(こちら)。
 今回は、ICチップではなく特許権の行使によって再生品の製作を阻止することが適切か否かという問題になるかと思います。この点、裁判所は、
(前略)もとよりリサイクル品の製造,販売等が一切禁止されるべきことをいうものではない。純正品が特許発明の実施品でない場合にはリサイクル品の製造,販売等が特許権侵害に問われる余地はないし,純正品が特許発明の実施品である場合においても,特許権が消尽するときは,同様である。
 と判示しています。これは再生品を特許侵害することなく製造することが不可能な場合には、純正品の独占を認めるのが特許法の趣旨であるということなのでしょうか(特許法は、もともと特許権者の独占権を認めているので。)。結局独禁法第21条の解釈の問題になるような気がしますが、その点を論じるのは私の能力を超えていますのでこの辺で止めておきます。

 個人的には、「ふぉーりん・あとにーの憂鬱」で47thさんが論じられている(こちらこちら)aftermarket monoplyの問題と密接関連した問題ではないかと思っています。

正しい日本語?(その6)「削る」と「削除」

2006-02-03 22:23:34 | 正しい日本語?
 2月に入り、いよいよ株主総会へのカウントダウンが始まりました。そろそろ会社法施行に伴う定款変更の詰めの作業に入っている会社も多いのではないかと思います。もっとも会社法施行規則の公布が遅れており、しかも内容がパブリックコメントからだいぶ変更になるということで、施行規則公布後にもう一度施行規則を読み直してから最終的な読み合わせに入ることになります。

 さて、定款変更の作業をやる際に気をつけなければいけないのは、「削る」と「削除」の使い分けです。「削る」と「削除」はなにが違うのか疑問に思われる方もいらっしゃると思いますが、文書・株式の世界では一応使い分けられています。

 「削る」は条項そのものを丸ごとなくしてしまうこと、「削除」は本文はなくしてしまいますが条項そのものは残ることを言います。つまり、「削る」では後ろの条項の番号が繰り上がりますが、「削除」では条項の番号はそのままになるので、条文番号(第○○条)等を変更したくないときは「削除」を使います。
 刑法を見ると「第二○○条 (削除)」と書いてあり、条文の本文はなくなっていますが、第二○○条という条文番号だけが残っているため、後ろの条文の番号も繰り上がらずにそのままになります。

 法律では、一般によく知られている条文番号が変更されると混乱を招くので、それを変更しないために「削除」は使われます。しかし、会社の定款ではそんな必要はないので、ほとんどの場合「削る」を使います。

 本当に使い道のない豆知識でした。

持分法投資損益

2006-02-01 23:09:48 | 経営、経済
 本日FASFセミナー「最近公表の会計基準等の解説」に行ってきました。中身は盛りだくさんで、とても半日では入りきらない内容だったかと思います。

 さて、本日のセミナーの内容は置いとくとして、共通支配下の企業結合に関する会計基準の解説を聞いていてひとつ疑問に思ったのは、なぜ日本の会計基準では単独の計算書類で持分法が使われないのか、ということです。この点はいつも不思議に思っていました。米国会計基準では単独のFinancial Statementsであっても、関係会社株式について持分法が適用されます。御存知の方も多いと思いますが、持分法が適用された場合、損益計算書の純損益は基本的に同じになります。単独と連結で損益が異なるということは基本的にはないはずです。

 しかし、日本では、単独の計算書類において関係会社株式は原則として取得原価ベースで評価されるので単独と連結で損益認識が異なってきます。したがって、親子間で企業結合が行われた場合に、これまで連結損益計算書で認識されてきた損益が突然単独の計算書類で特別利益として出てくるというのは非常に奇異に感じます。

 関係会社株式の評価方法としては、取得原価よりも持分法の方がより実態に即していると思いますし、会社法の法務省令案でも持分法投資損益を一部分配可能利益の算出にあたって考慮することとなったことを考えると、単独の計算書類であえて取得原価での評価にこだわる必要があるのでしょうか。

 むしろ、単独と連結で各期の損益が異なるということの方が奇異であり、単独と連結の損益はむしろ一致させるべきではないでしょうか。私は、米国会計基準の方から勉強したからそう思うだけかもしれませんが・・・。