ぴてのひとりごと

法務や福岡ソフトバンクホークスの話題など、徒然なるままに書き込んでいるブログです。

審議終了廃案?

2006-08-23 00:42:07 | 正しい日本語?
 電車の中に貼ってあった漢字検定の広告にこんな問題がありました。

審議終了で廃案となった。

ん?なんか変なような。審議が終了したら通常はすぐ採決するので廃案ではなくて可決か否決というのが通常ですよね。

一般的には「審議未了で廃案となった。」かと思うのですが・・・。

財務報告に関する内部統制と監査役の役割

2006-08-22 01:02:16 | 法務
 金融商品取引法に基づき、上場会社は財務報告に関する内部統制についての報告書を有価証券報告書に添付して提出することが2009年3月期から義務付けられました。これに関連して、監査役の役割がどうなるのか、疑問に思っている点をメモ代わりにエントリーしておきます。

1.監査役の会計監査権限との関係

 監査役は会社法上、計算書類について会計監査権限を有していますが、(会社法に基づき作成される)計算書類と(金融商品取引法に基づき作成される)財務諸表は、ほぼ同じもの(主として違うのは注記の内容くらいだと思います。)ではあるものの、理論上異なるものであり、財務諸表に対する会計監査権限はありません。現実に有価証券報告書に添付されているのは独立監査人の監査報告書だけであって、監査役の監査報告書は添付されていません。したがって、金融商品取引法の関係で監査役が権限を行使するとすれば、業務監査権限を行使するということになるのでしょう。

2.金融商品取引法上、監査役はなんらかの役割が求められているのか

toshiさんのブログで議論されているとおり(こちら)、業務プロセス統制中心の内部統制では、toshiさんの言われるところの「経営者関与型不正経理」は防止することはできません。このような「経営者関与型不正経理」の防止は、経済産業省の定義するところの「コーポレート・ガバナンス」の問題です。金融商品取引法では、内部統制報告書を次のように定義していますが、この定義だけでは内部統制報告書のスコープが「コーポレート・ガバナンス」までをカバーするのかどうか判然としません。
当該会社の属する企業集団及び当該会社に係る財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するために必要なものとして内閣府令で定める体制について、内閣府令で定めるところにより評価した報告書(以下「内部統制報告書」という。)(24条の4の4)
もし、財務報告に関する「コーポレート・ガバナンス」までをカバーするのだとすれば、まさしく監査役の職務と密接に関連します。

 この場合、監査役は金融商品取引法に基づき作成される財務諸表の監査にどの程度関与すれば情報の適正性を確保するために必要な体制を整備したと評価されうるのでしょうか。そもそも、会社法上の監査役の会計監査については、会計監査人の監査の方法及び結果の相当性の監査が中心なのですが、金融商品取引法上もそれで十分なのでしょうか。
 金融商品取引法第24条の4の2に基づく確認書との関係も含めて、監査役がどのように財務諸表の監査に関与すべき(orしなければならない)のでしょうか。

 とりあえず、気になった疑問点をツラツラ書いてみましたが、なにか情報があれば御教示いただければありがたく存じます。

株主総会における賛否のカウント

2006-08-20 23:36:35 | 法務
 8月16日にハインツの株主総会が行われ、その結果に注目していたのですが、ハインツのリリースによると(こちら)、
The Company does not expect results to be officially certified by IVS Associates, the independent Inspector of Elections, for a number of weeks.
ということで、投票結果の正式な結果が判明するまで数週間かかるようです。

 日本では、二週間以内に役員変更登記を申請する必要がありますから、こんなことは許されません。日本の会社では、前日までの議決権行使書面による投票は株主名簿管理人において当日朝にはきちんと集計されています。もちろん、この書面投票によって結論がでていることがほとんどですが、賛否が拮抗しているときであっても当日出席者の賛否をカウントするだけですから、場合によっては数時間かかることはあっても当日中に集計は終了するのが通常です。そもそも賛否の結論を宣言することなく総会を終了することは日本では考えられません。米国では賛否の結論を宣言せずに総会を終了させることができるということなのでしょうか。妙なところで少し驚いてしまいました。

送信可能化権

2006-08-08 23:54:56 | 法務
 私は知らなかったのですが、まねきTVというサービスの仮処分命令の申立てが放送局からなされており、東京地方裁判所が放送局側の申立てを却下するという判断をくだしました(こちら)。

 このサービスは業者が提供するスペースにHDDレコーダーを置き、HDDレコーダーをインターネットに接続することにより、当該HDDレコーダーに録画した日本の番組を全世界で見ることができるというものです。海外に在住の日本人にはとてもありがたいサービスですね。

 このサービスが始まったときから、個人的には送信可能化権をめぐって問題になるのではないかと思っていたのですが、今年に入って仮処分の申立てがなされていたようです。

 決定文を読んで知ったのですが、放送局側は個人でこのHDDレコーダーを使って録画し、それをインターネットを使って視聴することが著作(隣接)権侵害だとは主張していないのですね。私は、てっきりこの機械を使うこと自体が著作権侵害だと主張される可能性があるのではないかと思ったのですが、さすがにそこまでは主張していないようです。

 だとすれば、このまねきTVのサービスは、機械の設置場所とインターネット回線を提供しているだけですから、これをもって著作(隣接)権侵害を主張するのはさすがに無理があるのではないかと思います。

 放送局側は即時抗告をするようですが、今後の行方を見守っていきたいと思います。