10月23日の日経朝刊第2部「内部統制とIT 広告特集」の記事の一番冒頭に次のような記述がありました。
「内部統制が競争優位を勝ち取り、持続的成長を実現する「攻めの経営」に欠かせない仕組みだからだ。」
確かに、この文章は間違ってはいませんが、ミスリーディングだと思います。オペレーションとして内部統制が適正に維持されていることは、会社の業務を遂行していく上で必要であるという意味では正しいのですが、だからといって内部統制が十分であれば競争優位を勝ち取れるわけではもちろんありません。持続可能な競争優位は基本的に経営戦略によってもたらされるものであって、業務遂行レベル、つまりオペレーションで競争優位を確保することは通常非常に難しいと思います(自動車の製造のように若干の例外はあると思いますが。)。
ましてや、日本版SOX法は内部統制の可視化を目指しているので、模倣が非常に容易であり、優れた内部統制によって競争優位を獲得できたとしても、それを維持することはきわめて難しいのではないでしょうか。
内部統制は、むしろ守りの部類に属するものだと私は考えています。確かに内部統制は競争優位を勝ち取る前提ではありますが、内部統制が直接的に競争優位を獲得する手段ではないと理解しています。