ぴてのひとりごと

法務や福岡ソフトバンクホークスの話題など、徒然なるままに書き込んでいるブログです。

役員等の責任の不真正連帯債務性

2007-02-25 23:06:10 | 法務
 全株懇の定時会員総会報告書に東大の江頭教授の「役員等の責任の不真正連帯債務性」という講演録が掲載されていました。この問題は、弥永教授が会計監査人の責任限定契約を締結していないと、仮に社外取締役と責任限定契約を締結していても会計監査人から求償権の行使を受けてしまうことになり、結局社外取締役が責任限定の効果を得られないのではないかという形で指摘していたのではないかと思います(不真正連帯債務における免除の相対効)(ビジネス法務の部屋のこちらの記事をご参照)。

 弥永教授の問題提起に対しては、江頭教授は立法趣旨から考えて責任限定契約には絶対的効力があると説明されています。具体的には、取締役の責任については①損害填補機能、②抑止機能とがあり、役員等の責任の制度が②抑止機能を主たる制度目的であると考えると、必ずしも会社の損害を全額回復させる必要はなく、不真正連帯債務の免除に絶対効を認めても、制度趣旨を損なうことにはならないとの主張です。

 確かに、社外取締役の責任限定契約に絶対効を認めないと、あらかじめ社外取締役の責任を限定しておいた制度趣旨が没却されることになりますので、江頭説が妥当なような気がしますが、判例はどう解釈するのでしょうか。興味がありますね。

株券電子化と外国人個人株主

2007-02-19 00:53:20 | 法務
 2009年1月(予定)をもって株券の一斉電子化移行が行われ株券が無効となるわけですが、ひとつ疑問に思っているのは外国人の個人株主の取扱いです。

 外国で現物株を上場している場合はもちろんですが、発行会社が海外上場していなくても株主が株券を海外に持ち出すことはありうるわけで、このような場合にどのように処理されるのか多少気になっています。まあ、そんなに対象となる人の数も多くないでしょうから大きな問題にはならないのでしょうけれども、そもそも海外居住者がほふり参加者である日本の証券会社に口座を開設することができるのかという点も含め、意外と難しい問題なのではないかと思っています。

サッポロHDへの買収提案

2007-02-16 23:59:16 | 法務
 スティール・パートナーズがサッポロHDに買収提案を行いました(こちら)(こちら)。これには正直驚きました。スティール・パートナーズは買収防衛策の廃止について株主提案を行っており、まず外堀を埋めてから次の手を打つのかと思っていたら、いきなり本丸を攻めてきたわけですね(スティール・パートナーズの提案は友好的買収の提案なので「攻める」という表現が適切かどうかは分かりませんが。)。

 ちなみに、スティール・パートナーズの株主提案に対しては、サッポロHD側から買収防衛策について株主総会に付議する形で応えました(こちら)昨今の買収防衛策に関する流れからみればやはり総会付議が無難と思われますので、株主提案を突っぱねるのではなく、それを受けて会社が自ら総会に付議したのは妥当で合理的な選択だったのではないかと思います。

サッポロHD:買収防衛策に対する株主提案

2007-02-02 00:34:19 | 法務
 サッポロHDの定時株主総会に向けて、スティールパートナーズが買収防衛策に関する株主提案をしたとのことです(こちら)。

 二つの議題が提案されているのですが、そのうちのひとつとして、「議題1 「当社株券等への大規模買付行為への対応方針」の廃止の件」なるものが提案されています。これは、取締役会決議で導入された買収防衛策を株主総会決議で廃止しようとするものですが、事務方としてはそもそも適法な株主提案として取り扱うべきか否か悩ましいところです。

 本来、公開会社の株主総会は、法令又は定款で定められた事項のみを決議するものなのですが、多くの会社が任意に株主総会で買収防衛策の承認を求めていますし、法務省、経済産業省の指針もそれを容認している(少なくとも積極的に否定はしていない)ようなので、取扱いに悩むところです。

 どのように処理されるのか、興味ぶかいですね。ISSはどんな意見表明をするんでしょうかね。