picnic on a frozen river

山登りの記録

2013.02.02-03 八ヶ岳・中山尾根

2013-03-07 21:24:15 | 雪山
今頃になって2月の最初の週の中山尾根の記録なぞ。

(2/2) 美濃戸(09:33)-(10:54)赤岳鉱泉-中山乗越(12:29)-(15:45)第一岩峰-(16:18)中山乗越-赤岳鉱泉
(2/3) 赤岳山荘(05:33)-(05:59)中山乗越-(07:17)第一岩峰(07:30)-(13:25)日ノ岳-(14:54)赤岳鉱泉-美濃戸

(2/2) 調布に06:15、美濃戸まで車で入り北沢経由で鉱泉まで歩く。テントを設営してから取り付きの偵察に行くと、中山乗越からトレースは無かった。一週間前の大雪で阿弥陀北西稜を取り付き敗退したあと降雪は無かったはずだけれど、あれから誰も入っていなかったのか。
とりあえず第一岩稜までトレースを付ける作業に入る。最初は膝下あたりだった雪は次第に深くなり、時々太腿、たまに腰まで埋もれる。尾根は明瞭ではないけれど、傾斜が出てくるところからはA川さんの指示で左寄りに進路を取り藪を避ける。タイムリミットと考えていた4時に残り30分で岩稜が見える痩せ尾根に出ることが出来た。



まさか八ヶ岳西面の人気ルートで3時間のラッセルをするとは思わなかった。今日の仕事を終えて帰幕した後は宴会、なのだけれど、今日は贅沢して赤岳鉱泉に食事だけお世話になることに。小屋の中で待たせて貰って、指定された17:30に名前を告げてテーブルに案内された。


(2,000円也)

陶板焼きのステーキに歩荷した赤ワインでご飯を3杯お替りして明日に備える。

(2/3) 3時半起床、5時半を少し遅れて出発。前日に付けたトレースを追う。

下部岸壁に続く痩せ尾根に入る手前でアイゼンと登攀具を準備する。


(痩せ尾根)


(1P: 雪べっとり)

1P目、右に数10m下ったあたりにフィックスロープが垂れており、後続の4人Pは「そこは右に降りてゆくの」と教えてくれている風だった。我々はは正面の壁から登る。ビレイ支点は直ぐに見つかるも、雪に覆われた壁に2ピン目は見つけ辛い。直ぐに右上して凹角に入りたいのだけれど、支点が取れない状態でムーヴが起こせず、直上に進んで行き詰まる。やばい、落ちられないと思って必死に壁を見回したら幸い右に支点が取れ、早速のA0で少し下り右に軌道修正。凹角に入ってしまえば簡単で、見つからない残置支点はとりあえず無視して甘いピナクル状の岩にスリング掛けてランナーを取る。ビレイ点には立派なペツルと残置スリングが見つかった。


(1P終了点から)

2P目はA川さんリードで、左から回って稜線に。フォローするとアックスが効いて快適。その先の易しい雪稜もツルベのスタッカートで50m一杯を2ピッチ程(?)出す。立ち木が丁度良い位置にいくつかあるので、ビレイヤーから見えなくなるけれど安心してロープを伸ばせた。


(2P)


(3P)


(4P)




(上部岸壁)

上部岸壁1P目は僕がリード。ここも残置の中間支点が見つけ辛く易しいところはランナウト。凹角から最後に抜け出すところでちょっと被ってきて、広い範囲で雪を払って支点を掘り出した。ホールドもガバだと思ったら雪の塊だったりでアックス引っ掛け重視で行ったのだけれど、途中でトルキングしたアックスが抜けなくなり焦る。A川さんに拠るとさらに左にルートを取ったほうが易しいらしい。




(小ハング下まで)

そこから1ピッチの雪稜で小ハングのピッチ。ここもリードさせて貰う。出だし直ぐのリングボルトを取ったら、小ハングしたまではランナウト。小ハングはさすがに支点を掘り起こして安心。ハングの抜けた先のホールドが今ひとつ見つけられず、アックスで掛けるか手で取るか何度か悩み、左手に掛かりの良いホールドを見つけて越えた。
痩せた尾根を右に返した先の安定したところで、リングボルトとピナクルから支点を取ってビレイ。A川さん到着してリングボルトの左の海老の尻尾を払うとペツルのハンガーが2つ出てきた。全然気づかなかった。かなり時間を掛けてしまい、後続のガイドPは待ち切れなかったのか左の斜面から巻いていった。


(小ハング)

ここからはバンドをトラバースして主稜線に抜けることも出来るけれど、折角だから凹角直上のピッチも登っておくことに。


(最終ピッチ)

またまたリードさせて貰う。右に上がれば楽そうだけれど、1ピッチ目と同様に最初の一歩が出せない。残置支点を追って直上するも最後で詰まってしまった。アックステンションで逡巡した挙句、残置を掴んでクライムダウンして仕切り直すと、降りてくる途中で右手に支点が見つかった。
助かった。これが取れればムーヴが起こせて、右の傾斜の緩い斜面に入ることが出来た。
最後は平らな場所に出て、支点が見つからないのでピナクルとクラックに挟んだアックスで支点形成。A川さんを迎えて登攀終了。




「チャレンジアルパイン」だと支点が豊富と書かれているけれど、雪で埋まるとこうも見つからないものなのか。探すと時間が掛かるので、易しいところは結構ランナウトしていた。
更に雪で困ったのはホールドで、特にカチ系は雪で埋もれていて目視では見つけられず、アックスのピックで探って掛かるところを手袋で掘り出すことが多かった。お陰でオーバー手袋は両手とも穴が開いてしまった。

それでも取りつきまでのトレース付けから始まり、登攀日も先行無しで自分たちがルートを開いて行く感覚は爽快だった。
既に3回登っているA川さん、お付き合いいただきありがとうございました。


(雪べったり