photo life 秋田

秋田が分かる「かもしれない」ブログ

第33回紅葉自然観察会

2018-10-17 | 藤里町

 第33回紅葉自然観察会の様子をお伝えしようと思います。
 前日の駒ヶ岳登山から引き続き参加されている方もいれば、自然観察会のみ参加の方もいらっしゃいました。今日は田苗代湿原~岳岱自然観察教育林~太良橋とのこと。
 自然観察会は藤田公紀さんがメインガイドを務めました。


 快晴です。たぶん前日よりも良いくらい。朝は気温が下がって寒かったですが、出発の9時頃には温かくなっていました。


 昨日も通った道を再び走りますが、見落としていたポイントもチラホラ。この間の雨で山肌が崩れてしまったそうです。
 ほかにも、森林鉄道が通っていた時の橋なども教えてもらいました。
 太良鉱山には最盛期は250人(だったかな?)いたそうです。白神山地周辺では青森県側にあった鉱山には2000人いたそうです。


 この日も3班に分かれて行動しました。私は大森さんがガイドを務める2班。2班のメンバーは皆さん前日の登山も参加した面々でした。
 大森さんは、
道端の雑草は雑草と言わず、道草といいましょう。道草を覚えながらみちくさすれば、もっと野山が楽しくなる。とおっしゃっていました。


 フキノトウというと雪解けの春をイメージしますが、今から準備しているんだそうです。
 見分け方の分かる方々は感心しきりでしたが、私にはどれのことなのか・・・。


 この日は前日に続いて天気も良く、ツアーもたくさん計画されていたようです。ガイド協会の方々もフル稼働で、田苗代湿原だけでも何人と出会ったことやら。


 ユリの仲間だった気がします。秋というと赤い実が真っ先に思い浮かびますが、真っ黒。


 中が空洞になって、皮がギュッと巻き込みを見せている、典型的なラムズホーン。


 前日の筋肉痛など感じていないのか、足取り軽く進む2班メンバー。興味津々に話に耳を傾けていました。
 大森さんの山野の知識は豊富で、他の班の方々ははるか先に進んでいますが、私たちはじっくり山野草を見ながらです。




 大森さんがふたつの枝を鋏で切ってくれ、ちょっとかじってみてくださいと配り始めました。


 右がクロモジ(と、なんだったかな~)。ちょっと斑点みたいなのがついていました。ミントみたいな、爽やかな香りが。殺菌効果があるようです。


 湿原エリアに到着しました。昨日より天気がいい!
 キンコウカなども見ることができました。尾瀬には「アヤメ平」と呼ばれる場所があるそうですが、実は咲いているのはキンコウカなんだそうです。アヤメと似ているため間違ったみたいです。


 キノコもたくさん。


 山の植物は3年分のエネルギーを蓄えているそうで、これは来年咲いて


 こっちは再来年咲くそうです。


 この日もビデオカメラで熊撮影の方々がいらっしゃいました。双眼鏡片手に遠くの木々を見ていて、何かが動いたような気がするとのことでした!




 コシアブラ
 油を漉したから、コシアブラだそうです。


 田苗代湿原を発ち、岳岱へ。到着して間もなく昼ご飯となりました。食事中もたくさんの方が目の前を通り過ぎていきました。白神山地は今が旬ですね。


 食事後、約1時間半かけて教育林の中を散策します。
 400年ブナ~モリアオガエルの池~湧き水~千手ブナといったコース


 大森さんが持っているのはミゾソバという植物。
 葉っぱの形がウシに似ていることから別名、ウシノヒタイというそうです。
 ほかにも、ヌルヌルしたウナギも掴めそうなくらいザラザラした茎をもつ、その名も「ウナギツカミ」なんていう植物もありました(笑)


 ブナの葉っぱにも特徴があるそうで、


 葉っぱの縁のくぼんでいるところに側脈が伸び、縁まで達するのはブナだけなんだそうです(実際には縁の直前でちょっとカーブしてる)。


 フキを使ったコップの作り方も披露してもらいました。


 葉の裏に小さな粒々が付いているホシダ
 400年ブナにたどり着くまでも足元には見どころ満載でした。


 久しぶりに見た森の巨人、400年ブナ
 実は先日の強風で、ここから数十メートルの場所を突風が通過し、大木が軒並み倒れてしまったそうです。奇跡的に助かったのです。




 樹上にできたギャップに向かい、細い木々が左に曲がりながら伸びていました。


 もうしばらくは、この姿を見ることができそうです。


 モリアオガエルの池に向かう途中、大森さんが指さしたブナの木。幹を黒い線が縦に走っていました。


 ブナは幹に水分が集まるような姿をしているそうで、雨が降ると葉っぱについた水分が幹を伝って流れ下ちるそうです。なので、あの黒い線を樹幹流というそうです。




 岳岱は岩の上に成長した木々が多くみられますが、これは風雨などの浸食作用によって周りの地面が削り落ちて岩が露出してしまった結果なのだそうです。この辺りはもっと降水量が多かったことが分かっているそうです。
 また、多く見られる岩は噴石ではなく、山が崩れたことによるものだそうです。


 なんとなくですが、川か何かが流れていたかのように地面がくぼんでいる気がしないでも。


 表面にびっしりキノコが生えた幹も!


 湧き水の場所まで到着しました。成分を調べてもらったら最高の軟水だ!とお墨付きをもらったとのこと。冷たくておいしいです。






 湧き水の近くにはロープが張られた地点がありました。この辺りはブナの一生を観察できる貴重なエリア。




 幹に生えたコケ
 大森さんの身長の2倍近くのところから上にコケが見えますが


 あそこまで冬は積雪するためとのことでした。




 キノコがびっしり!


 ツキヨタケだったかな。毒キノコですね。


 切り株を利用したテーブルと、背もたれまでついた木のイス。こんなところでコーヒーとか飲んでたら気持ちいいだろうなぁ。


 倒木によってできたのか、林間ギャップから見える青空。


 途中で、ブナの実をいただきました。アーモンドみたいな感じでした。
 三角形をしていましたが、帰りのバスでの藤田さんの話だと、三辺がちょっと内側に湾曲していて、今年は栄養がちょっと足りないそうです。豊富だと三辺が外側に向かって膨らんでくるそうです。


 千手ブナ


 コブがたくさん生えた木


 シーサーとクマが見えますか?




 岳岱を後にしてから太良橋に向かいました。橋にはひらがなと漢字で両側にプレートが付けられていて、理由があるそうです。参加者全員で橋を歩いて渡ってみました。



 町

「太良橋」
 |
 | 橋
 |
「だいらばし」

 山

 漢字は、その方向に町などの集落があるんだとか。昔の人は山を抜けて町へ向かうときの目印にしていたそうです。
 橋の秘密を聞いてからバスに乗り込み、藤里館へと戻りました。到着すると、午後3時。セグウェイの体験やツェルトカフェなど、白神ウィーク関連のイベントにギリギリ間に合いました。

 ツェルトの説明を聞いた時、テントや寝袋は畳めば500mlペットボトル大の大きさになると教えてもらいました。思った以上にコンパクト!
 でも、スノーシューなど本格的な登山用品を揃えるとなると、どれも5万円前後するという・・・。


 白神山地の奥は落葉が始まっているようでしたが、里山はこれからが見ごろです。
 峨瓏の滝や田中の大イチョウ、不動の滝などなど、世界遺産25周年を体感してみてはいかがでしょうか。

第57回白神山地紅葉登山と、白神山地食祭 秋

2018-10-15 | 藤里町

 10/13~14にかけて、第57回白神山地紅葉登山&第33回紅葉自然観察会が開催されました。
 さらに、10/13の夜には「白神山地食祭 秋」も開催されました。
 今回は10/13の様子をお伝えします。が、膨大な数の写真になっております(^_^;)

 10/7より、秋の白神ウィークとしてイベントが開催されてきましたが、最後の土日は知床、小笠原、屋久島と全国の自然遺産が藤里町に勢ぞろいしました。
 岳岱や小岳、駒ヶ岳等々、各種ツアーで訪れた方々も多かったようです。
 この登山は回数も重ねられた定番のツアーとなっているようで、以前にも参加された方もいらっしゃったようです。この日の参加者は21名でした。


 今回の登山ルートは前回9月のルートとは逆に、黒石沢登山道から田苗代湿原を通り駒ヶ岳~前岳~樺岱へと下りるコースになります。
 湿原を越えてから登りが続き、山頂到着後は鎖場を下って、樺岱の新しいコースを通ってきます。
 この日、樺岱側では「ミス日本みどりの女神と歩く樺岱トレイル」が開催されていて、そちらに参加された方も多かったようです。


 今回は秋田白神ガイド協会の大森豊さんがメインを務め、秋林俊一さんと小山弘貴さんの3人で各班をまとめて行動しました。他に、辻純子さんと西村美樹さんがサポートガイドとして同行しました。


 大森さんは樹木や植物に詳しく、行きのバスの中からたくさんの話題に耳を傾けることができました。
 針葉樹と広葉樹では年輪の幅が広くなる向きが逆になるそうです。


 黒石沢登山口に到着。
 今年は先日の台風の影響もあってか、色づいた葉が落ちてしまったとのこと。例年なら手前の林の葉っぱで奥の山が見えないこともあるのですが、スカスカだそうです。さらに、強風で倒れてしまった樹木も多いとのこと。青森県側では、「マザーツリー」として有名だった大木も被害を受けたとか。


 とはいえ、紅葉真っ盛りの時期。見事に色づいていますね。惜しむらくは、釣瓶落し峠に向かうことができないこと。




 田苗代湿原に向かうまでの道は前日に降った雨で足元も少しぬかるんでいて、天気の割には気を付けながら進みました。






 オオカメノキだったかな。亀の甲羅に似たかたちの葉っぱなのだそうです。広葉樹はホントに葉っぱが大きい!




 樺岱コースよりも山頂には早く着くことができるようです。


 今年は木の実が豊作な年とのこと。さらに、田苗代湿原のニッコウキスゲも豊作だったそうです。


 参加者の中には、イタリア人の女性とスコットランド人の男性も参加されていました。海外からの取材のようです。
 

 湿原と湿原の間の道も葉っぱが赤く色づいていてきれいでした。








 湿原も一見するときれいなのですが、植生に悪影響を及ぼしているものもあるそうです。特に湿原といいながら水が少なくなり陸地化が進んでいるとのこと。


 この日の湿原にはビデオカメラで遠方を撮影していた方々もいらっしゃいました。どうやら熊の映像を狙っていたようです。






 このように裂けてしまった樹木も多くみられました。




 ここからいよいよ、本格的な登りのスタートです。




 山頂近くに到着したとき、奥に見える山々は十和田~八甲田方向とのこと。


 右側にカクッとくびれた場所がありますが、あそこが十和田湖のカルデラだそうです。山の上から見ると、距離感が圧縮されて近くに見えます。驚きますね。


 画面中央からやや左の奥に見える山が岩木山。ちょっと雲が多いけれど、山頂も顔を出してくれるかな?


 さっきの十和田湖のカルデラと聞いたポイントの奥にうっすら見えるのは八甲田の山々だそうです。


 樺岱コースとは違い、あれ?ついた。という感じの到着でした(^-^;)
 途中も草花の話を聞きながらゆっくり登ってきたし、思いのほか疲れていません。これならまた登れる?
 天気予報ほどの快晴とはいかなかったようですが、これも山の上だからなのかな。虫も少なく暑すぎず、登山しやすかったと思います。


 山頂では待ちに待ったランチタイムです。お湯を用意してカップラーメンやホットコーヒーを味わう方々も!保温できる水筒にお湯入れてくれば、私にもできるかな~?


 大森さんの解説で白神山地について学びました。青秋林道開発の反対運動はふたりから始まり、全国的に広がっていったそうです。


 足元の鎖場を越えて向かうは、あちらの樺岱。




 ロープを掴んで、後ろ向きで階段などをおりていきます。




 サポートガイドの方々が先に向かって用意していてくれたおかげで、危険な場所も安全に下りることができました。
 この後も道幅が狭く崩れそうになっているところもあったり、頭上の枝に気を付けたり。背が高いとくぐり抜けたつもりでもバッグが引っかかったりして大変です。




 左が日本海側ですが、山の稜線を挟んで緑の濃さに違いがあるように思いました。




 ツリガネタケのたくさん生えた幹をみつけました。
 こうなってしまうとキノコに養分を摂られて枯れてしまうそうです。


 立っている幹や足元に横たわる朽ちた枝を見てみると、どちらも傘が下を向いているという不思議。ガイドさんに教えてもらいましたが、なぜなのかまで聞いてこなかった・・・。
 

 笹の葉は光を通しにくいので周りの木々が大きくなりにくいんだそうです。


 先日の台風で倒れたのか、登山コースに横たわる大木。登山って障害物競走のようです。


 うまく枝に引っかかってる幹もありました。








 9月のときはこんな感じでしたね。まだ倒れずに頑張ってる。
 木は幹が空洞化すると皮をグッと内側に巻き込むようにして育つそうです。羊の角ににているからラムズホーンというそうです。


 新しく整備された樺岱トレイルコース。


 今までよりも遠回りになるようですが緩い傾斜で足元もフカフカ、歩きやすかったです。




 無事に樺岱登山口の到着しました。山に挨拶を行い、軽くストレッチをしてバスに乗り込みました。


 樺岱登山口周辺は杉の植林が計画的に行われてきたこともあり、所々の林間に空白部分が見られるそうです。
 道中の路面状況がガタガタするところが多く、ゆっくりと藤里館に到着し、この日は解散となりました。
 温泉で汗を流してから、夜の白神山地食祭に参加しました。チラシではマグロの解体ショーや駒踊り披露もあるそうです。
 藤里町の写真コンクールで知り合った方々も出席するということで、一緒のテーブルに参加させていただきました。


 開会してまもなく解体ショーがスタートです。


 八森沖で捕れたマグロだったようです。深浦町もマグロを町おこしにして、十二湖周辺でもマグロ丼を食べることができますよ!




 みなさんテーブルよりもこっちに釘付けでした。




 普通の魚は三枚におろしますが、マグロは五枚におろすんだそうです。このマグロは刺身や握りずしとしてテーブルに並びました。お腹いっぱいに食べたいくらい、すごくおいしかったですよ!


 マグロの他にも、藤琴川で採れたモズクガニの「ガニ汁」や、


 マイタケの天ぷらもいただくことができました。揚げたてのアツアツのサクサクを食べれちゃう贅沢なイベントですね。




 食事も進んだところで、会場では駒踊りがスタートしました。


 今回は志茂若さんが来てくださったようです。踊るにはスペースも限られるでしょうが、目の前で見ることができるのは祭り当日とは違った迫力も感じました。




 食事会の最後には豪華景品が並んだ抽選会が行われました。すると、隣のテーブルから3人の当選者が!
 お話を聞いてみると、東京から来たけど小笠原からではなく、知人どうしの旅行で偶然イベントを知って参加したとか。今後も白神山地に興味を持ってくれたらいいですね!

 次回は「第33回紅葉自然観察会」の様子をお伝えします。