ゼミ生のTくんが,ついに広島県・広島市の教員採用試験を突破した!最終的には30倍程度の倍率になったろうか。
彼女が教員採用試験の第一関門を突破したことは,今年8月10日に本ブログで報告した。学部4年生だった昨年に続いての一次試験突破も快挙だったが,彼女の志望する校種・教科の採用数が極めて少ないなかで,2次試験突破・採用決定にまでこぎつけたことは本当に大変だったと思う。よくやったと心から言いたい。
9月28日金曜日がその日だった。彼女は朝から修士論文のテーマ発表会があり,それを終えて一息ついていた。夕刻17時頃,広島県教委のWebsiteに採用試験の結果がアップロードされるということで,「一緒に見てもらっていいですか」と,彼女が研究室にやって来た。PCの画面に向かって,手に汗握りながら共にその瞬間を待つこと十数分。
17時ちょうどに結果のアップロードはされなかった。多少のじれったい思いを感じながら時間をおいてブラウザの更新ボタンを押すこと数回,ついにリンクが出現した。
「平成20年度教員採用試験最終合格者について[9月28日] 」。
「・・・・・」(←微妙な緊張感による無言状態
)
クリックすると,次に現れたのは
「1 選考試験結果 採用候補者名簿登載者受験番号(最終合格者)(78KB)(PDF文書)」。
ドキドキもんである。たった78kbの書類が人生を左右する。たかが78kb,されど78kb。少々誤用だが,気分はそういった感じだ。隣でTくんがばたばたしている。
「どうしよう,どうしよう・・・
」
そんな,今更ばたばたしたって仕方ない。これまでできることはしているし,試験は水物,今年ダメだったらまたこれまでのやり方をさらに進めていくしかないじゃないか。実力はつけてきているはずだ・・・とかなんとか云々かんぬん言いながら,
「ほら,ここ,自分でクリックしてごらん。」
「ぇ?・・・は・・・い・・・」
「ぇえっ?!? ェエッ!!!」
「んんっ?どうした!?」
「あるぅ,あるぅ,ありましたぁ。どうしよう,どうしよう,どうしよう・・・」
「
おめでとう!
」
「ぁ・あ・ぁりがとうございますぅ
・・・」
そう答えたTくんの目は,いつの間にか真っ赤になっていた。
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彼女は今大学院の博士課程前期1年生。広島県・広島市が今年から始めた大学院1年生の優遇措置,つまり大学院1年生が合格した場合,希望すれば大学院修了までの1年間,採用時期を延期する新制度の対象となっている。広島県・広島市教委の配慮のお陰で,これから1年半の間,さらに教員としての資質を磨くことに専念した学習と研究を大学で進められるのだ。
義務教育世界一の国フィンランドでも,教員養成はResearch basedとなっており,教員には研究的な態度が求められている。またそのことがフィンランドの教員の力量を高めている大きな要因であることも共通理解されている。大学での学びは教員にとって大きい。
「これからは,これまで以上に大変だぞ。大学での論文の執筆も大変だけど,大学院生優遇措置の第一期生がどんな力をつけてきたか,1年半後にはしっかり見極められることになる。これから優れた授業をいっぱい見て,よい授業のイメージをどんどん身体の中に採り入れていかなきゃいけない。また教科内容の力もさらにつけなければならない。現在臨時採用されている学校で行っている自分の授業も,もっともっと厳しい目で検討し直して,どんどん授業改善していかなきゃならない。やることは山積だが,いい先生になるための勉強だったら,どんどんできるなぁ。」
「はいっ!
」
「ぉ,さっきと違って力強い声だ。これなら大丈夫!」
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翌日には正式な通知が郵送で届き,安心を重ねた。さぁ,これからさらに厳しい水準を君には求めなくてはならなくなるだろうが,ともにがんばろう。それが子どもたちの幸せにつながる唯一の道だ。おっと,もちろん楽しみながら学ぼうね
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