Hei!(「ヘイ」って読んで「やあ」って意味)~義務教育世界一の秘密

義務教育世界一の国の教師養成の実態を探る旅。フィンランドの魅力もリポート!その他,教育のこと気にとめた風景など徒然に。

『箴言と考察』/古書の扱い

2007年10月22日 | Weblog
amazon.comで『箴言(しんげん)と考察』を購入した。30年くらい前に購入して大切に読んでいたはずだったが,それが見つからなかったため。よくよく考えてみると,卒業生にプレゼントしたことを想い出した。

新たに手に入れるしかない,と同書をamazon.com検索で探し出し注文。送付されてくるまでが3日程度。本体価格300円,送料340円,計640円だった。すでに絶版になっているから,もちろん古書だ。

検索ではいくつかの候補があったが,自分が読んでいた頃の版を手に入れたいと思って昭和49(1974)年改版第32刷を選んだ。以前持っていたものとちょうど同じ版だと思う。何人かの訳者の版を読んだことがあるが,この訳が一番しっくりくるのだ。「多少日焼けあり」などと書かれていたため,まぁそんなものだろうと思っていたが,送られてきた本はピッカピカの新品同様。それがこの写真。

いったい,どこのどなたが持っていらっしゃった本なのかは全く知らない。本棚の奥に単に忘れ去られて読まれなかっただけなのか,それとも大切に大切に保管されていたのかももちろん。また所有の本人が古書店に売却したのか,本人はすでに亡くなって遺族がそうされたのかもまったく分からない。しかしとにかく発行後30年以上の時の流れを経て今手元にある本は傷みもなく,30年の時を埋めてくれている。

何人の所有を経たかも分からない古書がこのようにきれいに保存されていることにまず驚かされた。同時に,これから30年たったときにこの本がこの保存状態を同様に保っていられるだろうかと,自分自身が大切に本を所有することの責任について考えさせられた。

「自分が金を出して買った本だから,焼こうが破ろうがそれは自分の勝手」,こう考える人もいるだろう。しかし,それは思い上がりだ。今ある本を手に入れる機会を得た者には,自分が読み楽しむということと同時に,次の時代に伝える責務も負っている。そのことを,われわれは自覚しなくてはならないのではないか。

人の命はたかだか数十年だ。クラシックカメラの世界ではよく言うのだが,この数十年の人生の間に何かを所有するということは,人類の長い歴史のなかでいえばホンの一瞬の間,かりそめの所有をしている,いやさせてもらっているにしかすぎない。何らかの事情でいつかは自分の所有を離れる時が来るだろう。そんなときに,次の世代の誰かが,自分自身に何らかの影響を与えたこの文化に触れることができるように配慮する,そんな謙虚さが私たちには求められている。
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