自動製図ソフトパタピッで
おしゃれを遊ぼう!
パタピッマガジン
基本製図操作 スタイルブックから 6


ソーイング雑誌などを見ると「袖」も様々な引き方が載っています。
ここでも 例題を元に、問題点と解決策を一つ一つ解説します。
製図を経験したことのある人は、必ずと言っていいほど「袖」の製図に悩む様ですね。
部屋着などゆったりとしたサイズのドロップスリーブ(袖山の低い平面袖。シャツスリーブとも言う。)では製図の不具合はあまり表面には現れませんが、外出着やフォーマルを作ろうとすると・・・でき上がりがきれいな袖とそうでない袖、着心地の良い袖と動き難い袖は歴然とします。どうも手書きでは思うようにいかない様ですね。
袖は袖だけの問題ではなく身頃と関連しますので、身頃に問題がある場合は、袖をいくら補正してもダメです。
デザインに合った身頃、さらに着用者のサイズに合った身頃がまず前提にあり、そこに、見て美しく動きやすい袖がペアとなって初めて服としての評価が上がります。
服地屋さんに行くと、手作りの服を着た人を沢山見かけます。手作りと分かる服でふと目が行くのが袖です。袖を見ると手作りか既製服かが分かってしまうほど袖の製図には違いがあります。縫い方や素材の選択などの問題もありますが、きれいに縫えていてもやはりどこか袖の納まりが悪い服は残念ですね。
今までの解説でもたびたび触れてきましたが、手書き製図の解説に表示された数値は、着用者全てを許容する数値ではありません。「2.5」と表示してある部分は、ある人は「1」かも知れません。他の人では「3.5」かも知れません。サイズが異なれば数値も当然変化します。
「じゃあどうしたらいいの~ッ?」・・・適度な数値が分からなければ引くに引けませんね。 これは絶望的です。
「袖」については、手書きの解説書を頼りに最高のおしゃれを望むとしたら、製図の知識乏しい素人が挑むのは無謀でしょう。プロでさえ手書きで引く袖にはしばしば手を焼くのですから。
でも、諦めないで! パタピッ ソフトなら、様々な難しい点を全てプログラムに組み込んでいますので、製図がまったく分からない方でも、正しい数値の打ち込みで、きれいで着心地の良い袖が得られます。どうぞ安心して使用してください。

右図の袖山は「17」という寸法指示です。
着用者が異なりますので、袖の前提となる身頃のアームホールの長さもそれぞれに異なります。皆が袖山「17」の三角を描くと、袖幅(底辺)は太くなったり細くなったりします。それに気づいて、袖山を高くしたり低くしたりを試みる方もいらっしゃるでしょう。でもバランスをとるという作業は実に難しいものです。
この様な袖山の高いセットインスリーブでは、身頃のアームホールの高さと袖山の高さとの関係、さらにでき上がった袖の太さと着用者の腕の太さの関係はとても大切ですが、袖の製図解説はそれには触れません。
とても複雑になるからです。
でき上がった袖が期待はずれで格好悪かったという経験は誰もが体験します。・・・「きれいな袖」に出会えず、「既製服の様に作りたい・・・」の望みは泡と消え、手書きという手段では遠い夢と諦めて、ミシンを片付けてしまった人も多いことでしょう。
そんな現状を、仕事の現場で常に見ていましたので、パタピッ の開発に成功した時は、その皆に「ちょっと待った!」と呼び止めたかったというのが、実感です。
今は、パタピッ の身頃があり、袖がありますから安心です。
双方の関係を理解してどうぞ使いこなしてくださいね。
高級ブランドの製図もパタピッ があれば正確に引けますから、これからは「ファッションの創造」を思いっきり楽しんでいただきたいと思います。
さて、この袖はどう引けば良いのでしょうか。
この図解に「あなたは○○cm」「あなたは△△cm」・・・と解説しても良いのですが、すべての関連数値を表示するのも気が遠くなる作業ですし、引く側も「こんな面倒なら作らない!」となりますので、ここはパタピッ に任せることにしましょう。
この袖は、パタピッ ソフトで引くなら

上の図で解説する袖山や袖口幅、他指示数値は参考にしないでパタピッ の基本操作に従って引いてください。
袖丈や袖口の幅など、何センチが適当か迷う場合は、手元の服で適当なものがあればその服を計って入力すると良いですよ。
画面に現れた袖幅(上図の三角の底辺の部分)も、手元の服と比較して増減するなどで操作すると良いでしょう。何度か修正を繰り返しても仕上がりまでに1分とかからないでしょう。
また、マニュアルやパタピッ Magazineでは、個々に合った適度な袖山と袖幅を解説していますので、それを参考にしていただければ、尚迷いも少ないでしょう。
パタピッ はバランスを自動計算するソフトですから、前後身頃のアームホールと袖丈や袖口寸法を打ち込むだけで身頃に合う袖を瞬間に仕上げます。脅威の機能です。
他社製では類似するものがありませんので、パタピッ の精度はここでも高く評価されています。

この図解も同様の問題がありますから、やはり図の数値は参考にしないで

自動ででき上がる半袖製図は、袖口が直線です。袖口のみ右の製図を参考にすると良いでしょう。

こちらも同じ理由で、図解の数値は無視して

又は、

いずれにしても、パタピッ ソフトで正確な基本ができ上がりますから、部分的に変更するだけでさまざまなデザインに応用することができます。
難しい基本製図をパタピッ に任せて、部分修正で楽しみましょう。


左製図は、右製図と一見異なるようですが、布で作ってみるとやはり二枚袖です。
どちらもソフトは

袖が二枚に分かれるこの類の袖は、二枚の縫合で袖山のカーブラインが乱れてはいけません。きれいにつながることが大事です。手書きではこのつながりが難しく、縫い合わせる際に補正が必要なことがしばしばです。
パタピッ は、どんな数値を打ち込んでも、このつながりはきれいです。
それを利用して、仮にパタピッ ソフトで引いた袖で「ちょっと細く(または太く)したいな」という補正が生じた場合は、やはり手修正では線が乱れますので、新たにパタピッ ソフトで、「細く(または太く)」入力して製図を起こし直した方が間違いがありません。
この様に補正の際にもパタピッ ならきれいに簡単に行えます。
二枚袖は袖の中で最も難しい製図です。アパレル業界やオーダー事業者にとって、この一瞬に完了する二枚袖は、コスト削減を実現するロボットとなっています。
下の2つの製図は、袖山にギャザーを入れたパフスリーブです。元の基本製図をパタピッ ソフトで引き、図を参考に切り開きましょう。


パタピッ ソフトは、セットインスリーブにもドロップスリーブにも対応し、数値操作で子供の製図から大人の製図まで引くことができます。
印刷時に縮小すれば、人形用の製図にもなりますし、逆に宣伝用の巨人服なども可能です。
いせ分量の調整も数値操作で可能です。
あらゆるデザインに対応するパタピッ ソフトを道具に、製図が苦手な人や、製図経験の浅い人でも 既製服のシルエットを満喫していただきたいと思います。
せっかく時間をかけて作る服です。ステキな服でお友達をアッと言わせましょう。
製図は服のシルエットを決める「設計図」です。設計図が良ければ格好の良い服ができ上がります。 同じ時間をかけ、ステキな服地を使うのなら、確かな設計図でおしゃれに作りたいものです。
作る服が常におしゃれであれば、次々と夢は膨らみ、繰り返し作るという自然な流れに、これもまた自然な流れで技術もついてきます。
「製図」とはどんなものか、少し分かっていただけたのではないかと思います。
パタピッ ソフトは今までに無い製図手段である為に、切り替えがなかなかスムーズに行かない様子が見えます。
これまで製図の基本を解説してきましたが、それらを通して従来の製図の問題点を知り、正しい製図が何かを知ることで迷いは少なくなるでしょう。
既製服が蔓延する社会で、手作りでも妥協しない人達が増えました。
プロが時間をかけ試作を繰り返して作り上げた服がウインドーに並びます。その沢山の既製服の中から、目に止まる最高峰の服を、経験の浅い素人が自分の手で作りたいと望むのですから、これは昔なら無謀でした。
きれいなシルエットの服にはそれを正確に形取る製図(設計図)が必要です。良い家の設計図を素人が引けないのと同様に、良い服の設計図も十分な知識がなければ引けません。
それには服という製図の法則が組み込まれたソフトという道具が必要です。
その法則が組み込まれたパタピッ というソフトが傍らにありますから、どうぞその道具を使って夢を実現してください。
よ~く服を眺めてみましょう。パタピッ を少し操作して動きがつかめると、パタピッ で引ける製図がとても多いことに気付くでしょう。
とても複雑で難しい服は最初は避けてくださいね。それらを間引いても、自分でできる服はまだ山の様に存在します。
パタピッ が世に出てまだ数年ですので、多くの既製服メーカーの現場では、まだ手書きで製図を引いているところも多く、またCADシステムを導入している企業でも、パタピッ の様な自動機能がありませんので、パソコンを使ってはいるものの手書きをしていると同じ状況です。有能なパタンナーが長い時間をかけて製図を引き、試作を繰り返しながら商品を完成させ市場に出すというシステムがまだまだ一般的です。
少しずつですが、アパレル業界、オーダー事業等でパタピッ が浸透しはじめています。一般家庭でも広がっています。
パタピッ は、特に宣伝や営業活動は行っていません。目に触れる機会が少ない為、まだまだ浸透するのに時間がかかるでしょうが、その期間にサポート体制としてのマニュアル作り等を充実させ確固たる基盤を作ろうと考えいます。
コンピューターの時代、スピードを競う時代の申し子として製図の分野でパタピッ が生まれました。
起爆剤として期待され、また高く評価され、パタピッ を取り巻く土俵ができあがりつつあります。
どうぞ一足早く使いこなして、服を創作する力を積み上げてください。ファッションは奥が深く、極めれば極めるほど底知れぬ面白さを含んでいます。
困難といわれた製図の高い壁は、パタピッ を道具に難なく超えることができました。
そこから広がる創造の限りない夢をどうぞ現実のものにしてください。
この後は、本来のパタピッ Magazineに戻って、様々なデザインを紹介し、パタピッ 操作を解説します。引き続きお楽しみください。

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基本製図操作 スタイルブックから 5


「原型」を簡単に定義した解説と、様々な面で起こっている問題点は前回のページをご覧ください。ここでは、前回の内容の延長として、例題を元に解説していきます。

右デザインは襟を切り開いて作るフリル襟です。前身頃に基本の襟の製図を引き、抜き出して展開する方法で襟の製図ができ上がります。
この製図でもやはり様々な問題点が見つかります。
その為、身頃の基本ラインは

この製図で活用するのは襟の部分です。
襟の幅や切り開き線、切り開き分量などが参考になるでしょう。
さてここで、実際に襟を引く際に、パタピッ と原型とを並べて迷う部分は襟のスタート位置でしょうか。例えば右製図のバストラインから8cm降りた部分を襟のスタートとしていますが、パタピッ ではこの「バストライン」がありません。
でも、バストポイント(BP)があります。パタピッ にもBPがあります。その辺りが基点になるでしょう。原型のバストポイントとバストラインとの距離は決まった数値ですので、そこから計算するのも良いでしょう。
でも、基本的には右の様な製図に書かれている数値は「自分」に対して程よいかどうかという点では確かな数値とは言えませんので、この点では臨機応変に対処することをお勧めします。
つまり、右のデザインの場合、胸がVに開きますので「どの辺りまで開いても良いか」という開き加減は着用者により異なります。ですから、鏡の前で「ここまで開いても構わない」という場所を決め、その位置を前ネックポイントからの寸法として計り、パタピッ の「前ネックポイント移動」に数値入力するとその位置までの製図ができ上がりますから、そこから襟を引く作業を行えば「理想」に近い服ができ上がります。
パタピッ ソフトは写真や実物の服から製図を起こすことができるソフトですが、写真や実物の服を見て身頃の基本ラインは引けるようになっても、この様な付属の部分については、「どう引いたらいいのだろう?」と迷うことが多々あります。そんな時の助っ人として様々な雑誌やテキストが参考になります。そして、そこに書かれた数値は絶対ではないという認識で、「自分なら○○cmがいいかもしれない」と柔軟に対処してみましょう。分かりにくければ仮縫いをするなどで慎重に仕上げていけば良いのです。
同様のデザインをいくつか経験する内には実力が付き、写真を見ただけで「あっ あの時の方法と同じだ!」と思い出しますので、多くを経験することで頭の中には製図知識がたくさん蓄積され、どんなデザインにぶち当たっても怖くなくなりますよ。
何しろ、一番肝心なシルエットを決める基本ラインが、パタピッ ソフトを使えば数値操作で簡単に誰でもできるのですから、創造の夢はどんどん広がっていきます。

パネル切り替えの身頃ソフトを使用すると、右の基本の製図ができあがりますが、セットを購入したユーザーは

前中心側の身頃を右の製図を参考に展開するとでき上がります。
この様に参考になる製図案内が書物で見つかると実に簡単に引くことができます。
襟の引き方が載っていますが、

スタイルブックには流行のデザインの引き方が沢山載っていますから、書店で参考になる雑誌をあれこれ購入して迷う時にいつでも見られる様に傍らに置いておくととても助かりますよ。

前身頃の切り開き線が参考になるでしょう。
右の製図方法では、バストダーツの寸法を「前後の差」として引くように指示していますが、パタピッ ソフトではバストダーツは自動で現れますから、その分量を右図の指示の様にたたむとタックが開かれます。切り開きの頂点(三角の頂点)などの位置は、この製図を参考にして良いでしょう。
だんだん活用方法が分かってきましたね。
デザインがどんどん広がっていきますね。

パタピッ ソフトで基本身頃を引き、バストダーツを左の様な製図案内を参考に移動しましょう。ダーツの頂点については、パタピッ ソフトで現れたままで構わないでしょう。引き手の思いで頂点を移動しても構いません。

パタピッ では、この様なデザインの場合は、ワンピースソフトの身頃部分とスカートソフトを組み合わせて使う方法をお勧めしています。
セットを購入したユーザーは、

仮に左図の引き方に沿って手書きで製図をした場合、この3点をつなげるバランス取りは、個々の異なる体型ではとても難しく、できれば隠したい体型的な癖を返って強調してしまう結果にもなり兼ねません。
ですからこのバランスについてはパタピッ ソフトに任せるのが安心です。
画面に現れた製図のウエストから下を削除します。(CADを持たないユーザーは線の削除ができませんが、印刷は上から順番に分割して印刷しますので、途中で印刷を終了すれば、スカート部分の印刷は免れます。または、どの部分を印刷したいか、部分部分を一枚ずつ指示ができますので、その方法でも無駄が省けます。
前後身頃とも上部分のみ印刷し、下のスカートは身頃製図のウエスト寸法を測って


ここではヒップの位置は何も書かれていません。このスカート部分はこの後、裾を切り開いてフレアを入れるデザインですので、ヒップは問題にしていませんが、もし切り開かずに上製図が完成図だとしたら、ヒップの寸法指示がない製図は問題ですから、製図を見る時にはヒップを考慮している製図かどうかは確認をしましょう。
さて、この図から裾開き数値をどう求めたら良いかですが、この「20」という数値も絶対ではありません。また、フレアで切り開く場合も、布の固さや体型により適度な数値を決めるのがベストなので、この「20」は参考程度と考えましょう。パタピッ に適当な数値を入れて実行ボタンを押し、画面に現れた製図の脇線の傾斜具合を見て、見た目の傾斜角度が同じ様であれば良しとしましょう。
実に曖昧ですが、服は布との兼ね合いで仕上がりは大きく変わりますので、この様な部分で忠実になる必要はありません。
(身頃製図に前後の幅の差がある場合は、スカートソフトでは「前後差」の入力項目がありますから、そこに数値を入れると脇の線はずばり一致します。)

肩から切り替えたデザインですから、

テーラードカラーは、第一ボタンの位置や襟の幅、襟の形など実に様々なデザインがあります。パタピッ ソフトでは基準としての襟が一つ自動ででき上がりますが、様々な襟に変更をしていただく方法をマニュアルに載せています。
スタイルブックの製図案内も参考になります。
「後ろ襟幅」や「ラペルの幅」に右の図の数値を入力して自動で仕上げ、その後 外回りの線をこの図を参考に仕上げるのも良いでしょう。
第一ボタンの位置は、右図ではウエストから4cm上の指示ですが、鏡の前で自分のウエスト上4cmから前ネックポイントまでの距離をメジャーなどで測ってパタピッ に入力しましょう。この位置もやはり自分の好みで柔軟に決めて構いません。「4」という数値は絶対ではありません。
手元に気に入ったジャケットがあれば、それを着用して前ネックポイントから第一ボタンの位置までの距離を測って決めても良いですね。ついでに、その襟の幅やラペルの幅、形などが気に入っているようでしたら、印刷後のパタピッ の基本の型紙にお気に入りの服の襟を乗せて写し書きすると良いでしょう。その服と瓜二つの服ができ上がります。
基本製図はパタピッ ソフトに任せ、部分製図をスタイルブックなどを活用して引きましょう。
また、実物の服が手元にあれば、その部分部分を写し書きすることで理想に限りなく近づきます。
偶然見つけたステキな服・・・「このデザインを私サイズでどうしても欲し~い!!」の欲求をパタピッ ソフトでどうぞ叶えてください。

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基本製図操作 スタイルブックから 4



パソコンという道具が一般に普及したのは近頃のことですから、手書きで製図を起こす手段としては、この様な「原型」は製図の案内役として日本の近代ファッションを何十年と息長く支えてきました。
この類の手書き原型は、現代に至るまでこの他に数種類が使われてきました。
平面の布を立体という人間の身体にフィットさせるという作業は実に複雑でまた繊細です。右図の様な製図解説で十分に満たすものではありません。手書きでは、多分これ以上難解にはできなかったのでしょう。補助として原型を補正する手引きも用意されていますが、洋裁離れが進む近頃では、原型に忠実に引くことすら悲しいかな疎まれてしまう様子が見られます。そんな中で掲載紙面を広げてきたのが、先に解説した「囲み製図」ですが、更に粗雑さを加速させているのが現状です。
アパレル業界では「立体裁断」という手段があります。ボディーに布を巻きつけて製図を起こす方法ですが、平面で計算するよりボディーに布を巻き付けた方がイメージを具現化し易いので利用されている方法です。
標準サイズのボディーに布をピン打ちしながら服のイメージを作り上げていきます。既製服ではこの方法でじっくり時間をかけて試作を繰り返しながらマスターパターン(標準サイズ(例えば9号)のパターン)を作成し、そこから各サイズ(5号、7号、11号、13号など)に展開していきます。
この立体裁断という手段は、個人が一つの服を作成するにはあまりに時間がかかりすぎ実用的ではありません。自分の身体と同じボディーを用意する手間も大変です。オーダー事業などでも、お客様の体型が異なりますから、やはり平面製図に頼るしかありません。
パタピッ ソフトの動きは、身体を立体と捕らえて複雑にプログラムを組み込んでいますので、どちらかというとこの「立体裁断」に近いでしょうか。さらに、ボディーは各個人を想定していますので、「立体裁断」でも「平面製図」でも叶えられなかった難しい「バランス」を瞬間で計算し製図を作り上げます。
文頭で説明しましたが、原型はバストサイズから計算してでき上がります。バストが大きいと背肩幅は広く、アームホールも大きくなり、結果として袖が太くなります。バストが大きくても肩は狭く腕の細い人は補正が難しくなります。あれこれ補正を繰り返すうちにバランスは崩れ、格好の悪い服に仕上がってしまったという経験をした人も多いでしょう。
原型とパタピッ ソフトと一致する点はネックラインです。パタピッ のネック情報を「0」と入力した時のネックラインは原型と同じ「首の付け根」です。組み込んだプログラムの計算の違いがありますので微妙にサイズは異なりますが、「0」入力で「首の付け根」という認識は同じです。
上の製図は、スクエアネックのブラウス製図です。「このデザインを作ってみたい」という人は、前身頃、後身頃のネックラインからの距離が参考になるでしょう。他の部分はまったく異なります。
原型からの製図では「背肩幅」や「アームホール」が合わないという問題が生じます。問題点をパタピッ 操作で解決しながら活用していただきたいと思いますので、ネックライン以外はパタピッ の動きに任せましょう。パタピッは「背肩幅」が指示でき、アームホールを調節することができます。これらの問題はパタピッ 操作で簡単に解決します。
このデザインは、バストダーツとウエストダーツのブラウスですから、パタピッ ソフトでは

市販の洋裁関連の書物で気になる点として「ゆとり分量」があります。この製図でもゆとりに注目てみましょう。原型にはすでに10cmのゆとりが入っていますので、さらに前身頃で2cm、後身頃で3cmが加わりますので、合計20cmのゆとりとなります。かなり大きなブラウスです。
更に、ブラウスやジャケットなどの上着類では、ヒップとの関係もとても大事です。どの書物でもこの個人のヒップは考慮の対象外です。実際に作ると、「ヒップがきつすぎる」という人や、逆に「ヒップがぶかつく」という人など、なかなかジャストフィットという訳にはいきません。パタピッ 操作では「ヒップ」入力がありますので、この点でも簡単に問題は解決します。
手書きという手段で製図を解説する場合は、肩幅を合わせ、バストを合わせ、ウエストやヒップ、アームホールを合わせる・・・などなど、多くを満たすのはやはり限界かと思われます。
以前にも説明しましたが、服はバランスがとても重要です。上から「背肩幅」「バスト」「ウエスト」「ヒップ」の順できれいなシルエットを描きながら製図を仕上げなければいけません。どの箇所も個人個人皆異なるサイズです。それをバランスよくつなげるという解説は複雑怪奇で、まず不可能でしょう。ここはやはりコンピューターに組み込んだプログラムに任せるのが賢明です。何しろ数値を打ち込んで待つこと数秒でそのバランスを整えた身頃製図ができ上がるのですから。
原型から起こす製図では、「自分の身体に合わせて製図すると格好が悪くなる」と思っている方が多いようです。これは、手書きでは「バランスを整える」ということが難しく、補正の過程で返って体型を強調してしまうからです。実際にパタピッ ソフトで引く多くのユーザーはこの点は楽にクリアしています。手書き製図より明らかに服のシルエットは美しく、各箇所では程よいゆとりの自分サイズの服ですから着心地が良いのです。
※ 購入当初は自分サイズより標準サイズで数値入力してこわごわ使用する様子も見られますが、いざ作るとやっぱり「ヒップがきつかった!」や「肩幅が合わない!」という現象が起こり補正しなければいけません。それならと自分サイズで入力すると着易くておしゃれでバランス良くでき上がるので、こわごわ使用していたユーザーも結果としては自分サイズで使用するようになります。
という訳で、上のブラウス製図は、


もうお分かりですね。


肩から切り替えた身頃製図とショールカラーの上着です。


襟はネックラインを計り


パタピッ ソフトでは、サイドダーツの前身頃と、バストダーツをアームホールに移動した前身頃の2つの製図が画面に現れますから、移動した方の製図をそのまま印刷して使用してください。右図の様に展開する手間は要りません。
このデザインは

襟は、


身頃ソフトを使用してぺプラムの部分を参考に引くと良いでしょう。
バストダーツをたたんでウエストダーツを切り開く図解が載っています。これも参考にして良いでしょう。

これももうお分かりですね。

前身頃のウエストダーツは削除しましょう。ピンタックのデザインがポイントですから、ウエストダーツの線が邪魔になるのでしょう。同様にバストダーツもこのデザインでは消去されていますが、バストダーツもウエストダーツもない前身頃は平坦すぎて返って問題です。特にバストの大きな方は、バストダーツは必要です。平坦すぎる製図はバスト周辺にしわができますので、せめてバストダーツは必要でしょう。パタピッ の基本操作でパストダーツは自動で現れたり消えたりします。必要に合わせて操作してください。
襟は

先の例題では、身頃に限定し袖の解説を省略しましたが、この製図では袖も載せてみました。
後の項目で「袖」の解説をしますが、その前座としてこのデザインで少し説明します。
原型を使用した手書き製図では、身頃を作成した後、袖を図の案内に従って製図します。前アームホールと後ろアームホールの寸法と袖山の寸法でまず案内線としての三角を描き、図の数値に従ってカーブを描いて仕上げます。
手書き製図の袖の問題点は「袖幅」(袖の太さ)の表示が無いことです。これも、様々な体型の異なるアームホールと袖山、袖丈などのバランスを満たすべく数値表示をするとなると難しく、どの製図も「袖幅」の表示を避けています。ここでも表示の難しさ、限界が見えます。
このデザインの袖は


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