自動製図ソフトパタピッで
おしゃれを遊ぼう!
パタピッマガジン
基本製図操作 スタイルブックから 5


「原型」を簡単に定義した解説と、様々な面で起こっている問題点は前回のページをご覧ください。ここでは、前回の内容の延長として、例題を元に解説していきます。

右デザインは襟を切り開いて作るフリル襟です。前身頃に基本の襟の製図を引き、抜き出して展開する方法で襟の製図ができ上がります。
この製図でもやはり様々な問題点が見つかります。
その為、身頃の基本ラインは

この製図で活用するのは襟の部分です。
襟の幅や切り開き線、切り開き分量などが参考になるでしょう。
さてここで、実際に襟を引く際に、パタピッ と原型とを並べて迷う部分は襟のスタート位置でしょうか。例えば右製図のバストラインから8cm降りた部分を襟のスタートとしていますが、パタピッ ではこの「バストライン」がありません。
でも、バストポイント(BP)があります。パタピッ にもBPがあります。その辺りが基点になるでしょう。原型のバストポイントとバストラインとの距離は決まった数値ですので、そこから計算するのも良いでしょう。
でも、基本的には右の様な製図に書かれている数値は「自分」に対して程よいかどうかという点では確かな数値とは言えませんので、この点では臨機応変に対処することをお勧めします。
つまり、右のデザインの場合、胸がVに開きますので「どの辺りまで開いても良いか」という開き加減は着用者により異なります。ですから、鏡の前で「ここまで開いても構わない」という場所を決め、その位置を前ネックポイントからの寸法として計り、パタピッ の「前ネックポイント移動」に数値入力するとその位置までの製図ができ上がりますから、そこから襟を引く作業を行えば「理想」に近い服ができ上がります。
パタピッ ソフトは写真や実物の服から製図を起こすことができるソフトですが、写真や実物の服を見て身頃の基本ラインは引けるようになっても、この様な付属の部分については、「どう引いたらいいのだろう?」と迷うことが多々あります。そんな時の助っ人として様々な雑誌やテキストが参考になります。そして、そこに書かれた数値は絶対ではないという認識で、「自分なら○○cmがいいかもしれない」と柔軟に対処してみましょう。分かりにくければ仮縫いをするなどで慎重に仕上げていけば良いのです。
同様のデザインをいくつか経験する内には実力が付き、写真を見ただけで「あっ あの時の方法と同じだ!」と思い出しますので、多くを経験することで頭の中には製図知識がたくさん蓄積され、どんなデザインにぶち当たっても怖くなくなりますよ。
何しろ、一番肝心なシルエットを決める基本ラインが、パタピッ ソフトを使えば数値操作で簡単に誰でもできるのですから、創造の夢はどんどん広がっていきます。

パネル切り替えの身頃ソフトを使用すると、右の基本の製図ができあがりますが、セットを購入したユーザーは

前中心側の身頃を右の製図を参考に展開するとでき上がります。
この様に参考になる製図案内が書物で見つかると実に簡単に引くことができます。
襟の引き方が載っていますが、

スタイルブックには流行のデザインの引き方が沢山載っていますから、書店で参考になる雑誌をあれこれ購入して迷う時にいつでも見られる様に傍らに置いておくととても助かりますよ。

前身頃の切り開き線が参考になるでしょう。
右の製図方法では、バストダーツの寸法を「前後の差」として引くように指示していますが、パタピッ ソフトではバストダーツは自動で現れますから、その分量を右図の指示の様にたたむとタックが開かれます。切り開きの頂点(三角の頂点)などの位置は、この製図を参考にして良いでしょう。
だんだん活用方法が分かってきましたね。
デザインがどんどん広がっていきますね。

パタピッ ソフトで基本身頃を引き、バストダーツを左の様な製図案内を参考に移動しましょう。ダーツの頂点については、パタピッ ソフトで現れたままで構わないでしょう。引き手の思いで頂点を移動しても構いません。

パタピッ では、この様なデザインの場合は、ワンピースソフトの身頃部分とスカートソフトを組み合わせて使う方法をお勧めしています。
セットを購入したユーザーは、

仮に左図の引き方に沿って手書きで製図をした場合、この3点をつなげるバランス取りは、個々の異なる体型ではとても難しく、できれば隠したい体型的な癖を返って強調してしまう結果にもなり兼ねません。
ですからこのバランスについてはパタピッ ソフトに任せるのが安心です。
画面に現れた製図のウエストから下を削除します。(CADを持たないユーザーは線の削除ができませんが、印刷は上から順番に分割して印刷しますので、途中で印刷を終了すれば、スカート部分の印刷は免れます。または、どの部分を印刷したいか、部分部分を一枚ずつ指示ができますので、その方法でも無駄が省けます。
前後身頃とも上部分のみ印刷し、下のスカートは身頃製図のウエスト寸法を測って


ここではヒップの位置は何も書かれていません。このスカート部分はこの後、裾を切り開いてフレアを入れるデザインですので、ヒップは問題にしていませんが、もし切り開かずに上製図が完成図だとしたら、ヒップの寸法指示がない製図は問題ですから、製図を見る時にはヒップを考慮している製図かどうかは確認をしましょう。
さて、この図から裾開き数値をどう求めたら良いかですが、この「20」という数値も絶対ではありません。また、フレアで切り開く場合も、布の固さや体型により適度な数値を決めるのがベストなので、この「20」は参考程度と考えましょう。パタピッ に適当な数値を入れて実行ボタンを押し、画面に現れた製図の脇線の傾斜具合を見て、見た目の傾斜角度が同じ様であれば良しとしましょう。
実に曖昧ですが、服は布との兼ね合いで仕上がりは大きく変わりますので、この様な部分で忠実になる必要はありません。
(身頃製図に前後の幅の差がある場合は、スカートソフトでは「前後差」の入力項目がありますから、そこに数値を入れると脇の線はずばり一致します。)

肩から切り替えたデザインですから、

テーラードカラーは、第一ボタンの位置や襟の幅、襟の形など実に様々なデザインがあります。パタピッ ソフトでは基準としての襟が一つ自動ででき上がりますが、様々な襟に変更をしていただく方法をマニュアルに載せています。
スタイルブックの製図案内も参考になります。
「後ろ襟幅」や「ラペルの幅」に右の図の数値を入力して自動で仕上げ、その後 外回りの線をこの図を参考に仕上げるのも良いでしょう。
第一ボタンの位置は、右図ではウエストから4cm上の指示ですが、鏡の前で自分のウエスト上4cmから前ネックポイントまでの距離をメジャーなどで測ってパタピッ に入力しましょう。この位置もやはり自分の好みで柔軟に決めて構いません。「4」という数値は絶対ではありません。
手元に気に入ったジャケットがあれば、それを着用して前ネックポイントから第一ボタンの位置までの距離を測って決めても良いですね。ついでに、その襟の幅やラペルの幅、形などが気に入っているようでしたら、印刷後のパタピッ の基本の型紙にお気に入りの服の襟を乗せて写し書きすると良いでしょう。その服と瓜二つの服ができ上がります。
基本製図はパタピッ ソフトに任せ、部分製図をスタイルブックなどを活用して引きましょう。
また、実物の服が手元にあれば、その部分部分を写し書きすることで理想に限りなく近づきます。
偶然見つけたステキな服・・・「このデザインを私サイズでどうしても欲し~い!!」の欲求をパタピッ ソフトでどうぞ叶えてください。

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